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無口な百合は視られる②
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百合の耳を梵天が優しく撫でる。
くすぐったくはあるがこれは間違いなく気持ちいいという感触の方が上回っていた。
思わず百合は目を閉じ、末樹はその百合を見つめ微笑む。
それから数分時間が経った。
「ねえ百合ちゃん?今日はキス、する?」
「っ…!?」
緊張がようやく解け始めていたところで再び顔が紅潮する。
先週の――涙目になり誰の命令でもない自分の意志でキスを求めた出来事を思い出す。
「や…やだ…!」
「えー?でも先週はキスしたいー!って言ってたじゃん?」
「い…言って……ない……」
末樹は梵天の手を止め、耳に息を吹きかける。
そして百合の唇をゆっくりと人差し指でなぞる。
「いいの?キス…しなくて」
「ぇと…状況に…よる…」
「んー、それじゃダメー」
勇気を振り絞って答えた否定以外の答えも太陽の笑顔で断られた。
「いえす、おあ、のー。はいかいいえで答えてね?」
膝枕されながら寝転ぶ少女の唇を指で弄びながら、
「これは命令だよ?答えの内容は自分の正直な気持ちを言って?でも黙秘はダメ」
耳も顔も真っ赤になり、答えに迷っている少女の顔を見つめながら、問う。
「後で、私とキスしたい?」
「…………はぃ」
「へへっ、可愛い」
百合の唇をぽんぽんっと優しく触り、手を離し、再び耳かきを始める。
「後でのお楽しみね?」
なぜノーの答えを言わなかったのか、百合は自分の行動の意味が分からなかった。
いつもと違って、今は冷静な状態でいるはずなのに。
「はい!こっちは終わり!百合ちゃん、反対むいて」
百合は半回転し、反対の耳を末樹に見せる。
百合の顔は末樹のお腹のすぐ前。
良い匂いがする。
温かい。
「うーん、もうちょっとこっち」
末樹の誘導で更に顔の位置をお腹寄りに動かされる。
というよりも、百合の鼻と口が末樹の制服に密着する。
出来るだけ自分の息がお腹にかからぬよう、息を小さくなる様我慢する。
末樹がまた梵天で耳かきを始める。
末樹の言う通り自分の耳は綺麗である自信がある。
耳かきは自分でいつもやっているが、最近は更に念入りだ。
だって末樹と未久に舐められた経験があるのだから。
耳だけでない、体全身清潔に気を付けている。
とにかくこの耳かきはその為あまり意味をなさないだろう。
ただ膝枕して耳かきをする、という行為を行う事に意味があるのだろう。
「お父さんの借金って残りいくらあるの?」
いつもと違い、少し末樹の問う声が固い。
「私たちに弄ばれる期間どれくらい残ってるの?」
末樹と未久に金曜日の放課後1時間、自分の時間を渡す事で、
毎週借金返済の援助をして貰っている。
たった1時間でもの凄い金額を、だ。
だがそれでも
「まだ…沢山…」
「ねえ、提案していい?」
末樹の声にはまだ固さがある。だがどこか決意に満ちたような声。
「明日の24時間、私にくれない?そしたら残りの借金全て、返済する」
ちらりと末樹の顔、とても真剣な表情だった。
くすぐったくはあるがこれは間違いなく気持ちいいという感触の方が上回っていた。
思わず百合は目を閉じ、末樹はその百合を見つめ微笑む。
それから数分時間が経った。
「ねえ百合ちゃん?今日はキス、する?」
「っ…!?」
緊張がようやく解け始めていたところで再び顔が紅潮する。
先週の――涙目になり誰の命令でもない自分の意志でキスを求めた出来事を思い出す。
「や…やだ…!」
「えー?でも先週はキスしたいー!って言ってたじゃん?」
「い…言って……ない……」
末樹は梵天の手を止め、耳に息を吹きかける。
そして百合の唇をゆっくりと人差し指でなぞる。
「いいの?キス…しなくて」
「ぇと…状況に…よる…」
「んー、それじゃダメー」
勇気を振り絞って答えた否定以外の答えも太陽の笑顔で断られた。
「いえす、おあ、のー。はいかいいえで答えてね?」
膝枕されながら寝転ぶ少女の唇を指で弄びながら、
「これは命令だよ?答えの内容は自分の正直な気持ちを言って?でも黙秘はダメ」
耳も顔も真っ赤になり、答えに迷っている少女の顔を見つめながら、問う。
「後で、私とキスしたい?」
「…………はぃ」
「へへっ、可愛い」
百合の唇をぽんぽんっと優しく触り、手を離し、再び耳かきを始める。
「後でのお楽しみね?」
なぜノーの答えを言わなかったのか、百合は自分の行動の意味が分からなかった。
いつもと違って、今は冷静な状態でいるはずなのに。
「はい!こっちは終わり!百合ちゃん、反対むいて」
百合は半回転し、反対の耳を末樹に見せる。
百合の顔は末樹のお腹のすぐ前。
良い匂いがする。
温かい。
「うーん、もうちょっとこっち」
末樹の誘導で更に顔の位置をお腹寄りに動かされる。
というよりも、百合の鼻と口が末樹の制服に密着する。
出来るだけ自分の息がお腹にかからぬよう、息を小さくなる様我慢する。
末樹がまた梵天で耳かきを始める。
末樹の言う通り自分の耳は綺麗である自信がある。
耳かきは自分でいつもやっているが、最近は更に念入りだ。
だって末樹と未久に舐められた経験があるのだから。
耳だけでない、体全身清潔に気を付けている。
とにかくこの耳かきはその為あまり意味をなさないだろう。
ただ膝枕して耳かきをする、という行為を行う事に意味があるのだろう。
「お父さんの借金って残りいくらあるの?」
いつもと違い、少し末樹の問う声が固い。
「私たちに弄ばれる期間どれくらい残ってるの?」
末樹と未久に金曜日の放課後1時間、自分の時間を渡す事で、
毎週借金返済の援助をして貰っている。
たった1時間でもの凄い金額を、だ。
だがそれでも
「まだ…沢山…」
「ねえ、提案していい?」
末樹の声にはまだ固さがある。だがどこか決意に満ちたような声。
「明日の24時間、私にくれない?そしたら残りの借金全て、返済する」
ちらりと末樹の顔、とても真剣な表情だった。
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