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耳【告白】
耳①
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「ずっと好きでした――!付き合ってください!」
15歳以下の告白は法律で禁止され、ようやく16歳になった高校生達は我慢していた告白を始める。
「えっと…」
16歳以上になってもいくつかルールがある。
・告白は2年に1回のみ
・告白は相手の身体の任意の一部のみを10分以上舐めながらしなければならない
・告白された者は10分間抵抗してはならない
・告白の返事は10分後に発言されたものが適用される
・告白中は性器を舐めたり触れる事は禁止
等々…。
どれも少子高齢化対策として告白成功率を上げるものと言われているが学生にとってその真偽は謎である。
だがしかし、定められたこのルールは絶対順守しなければならない。
「俺…他に好きな人がいて」
そんな国のとある高校の人気の無い空き教室――。
奇麗に整えられた長髪の女子生徒が顔を紅く染めながら想いを伝えていた。
思いもよらぬ告白に面食らった男子生徒は
今目の前に女子生徒ではない想いを寄せる女性を思い浮かべる。
必死の想いも断られそうな雰囲気にある事を女子生徒は察し瞳に涙が浮かびそうになる。
「好きです…。好き…」
だがようやく告白できたのだ。諦めるわけにはいかない。
潤った瞳で相手の男の目を見つめ、ゆっくり近づく。
「ずっと…ずっと好きで」
自分より少し背の高い男子生徒の目の前に立ち、少し背伸びをして顔を近づける。
「ちょ、ちょっと――!」
キスをされると錯覚する程に顔を急激に近づけられ一瞬抵抗する為に手を肩に添えようとするも
その女子生徒の唇は良い匂いとともに顔の横を過ぎる。
ふわりとした髪が男子の鼻を一瞬くすぐる頃、その女子の奇麗な顔が自身の真横まで近づかれた事に気付く。
「好き――」
ゾクっと。
男子生徒は状況を理解する刹那、自身の耳に暖かな吐息が大げさに混じった心地よい囁き声が届き、身体を跳ねる。
「抵抗しないで――」
ふぅっと、息を耳に吹きかける。
強すぎず弱すぎずのその風は、男子生徒の微かな抵抗を封じるには充分すぎる程に力が抜ける。
「好き……好き……」
いつも聞く声なのに耳元で囁かれるとこんなに心地よいものか。耳元から脳に、背筋に、手に、足に、優しく響く。
告白された者は10分間抵抗してはならない。
抵抗する力も入らない。
「ん…」
暖かくて柔らかい触感と共に男子生徒の耳が濡れた。
その濡れた感触は、女子生徒の舌が耳のふちをなぞったものだと理解するのに時間はかからなかった。
今の世界には昔になかったルールがある。
告白は相手の身体を舐めながら。
15歳以下の告白は法律で禁止され、ようやく16歳になった高校生達は我慢していた告白を始める。
「えっと…」
16歳以上になってもいくつかルールがある。
・告白は2年に1回のみ
・告白は相手の身体の任意の一部のみを10分以上舐めながらしなければならない
・告白された者は10分間抵抗してはならない
・告白の返事は10分後に発言されたものが適用される
・告白中は性器を舐めたり触れる事は禁止
等々…。
どれも少子高齢化対策として告白成功率を上げるものと言われているが学生にとってその真偽は謎である。
だがしかし、定められたこのルールは絶対順守しなければならない。
「俺…他に好きな人がいて」
そんな国のとある高校の人気の無い空き教室――。
奇麗に整えられた長髪の女子生徒が顔を紅く染めながら想いを伝えていた。
思いもよらぬ告白に面食らった男子生徒は
今目の前に女子生徒ではない想いを寄せる女性を思い浮かべる。
必死の想いも断られそうな雰囲気にある事を女子生徒は察し瞳に涙が浮かびそうになる。
「好きです…。好き…」
だがようやく告白できたのだ。諦めるわけにはいかない。
潤った瞳で相手の男の目を見つめ、ゆっくり近づく。
「ずっと…ずっと好きで」
自分より少し背の高い男子生徒の目の前に立ち、少し背伸びをして顔を近づける。
「ちょ、ちょっと――!」
キスをされると錯覚する程に顔を急激に近づけられ一瞬抵抗する為に手を肩に添えようとするも
その女子生徒の唇は良い匂いとともに顔の横を過ぎる。
ふわりとした髪が男子の鼻を一瞬くすぐる頃、その女子の奇麗な顔が自身の真横まで近づかれた事に気付く。
「好き――」
ゾクっと。
男子生徒は状況を理解する刹那、自身の耳に暖かな吐息が大げさに混じった心地よい囁き声が届き、身体を跳ねる。
「抵抗しないで――」
ふぅっと、息を耳に吹きかける。
強すぎず弱すぎずのその風は、男子生徒の微かな抵抗を封じるには充分すぎる程に力が抜ける。
「好き……好き……」
いつも聞く声なのに耳元で囁かれるとこんなに心地よいものか。耳元から脳に、背筋に、手に、足に、優しく響く。
告白された者は10分間抵抗してはならない。
抵抗する力も入らない。
「ん…」
暖かくて柔らかい触感と共に男子生徒の耳が濡れた。
その濡れた感触は、女子生徒の舌が耳のふちをなぞったものだと理解するのに時間はかからなかった。
今の世界には昔になかったルールがある。
告白は相手の身体を舐めながら。
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