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第十七章 パーティーでの失態
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午後四時にもなれば日も暮れて真っ暗になるウィーンの冬。
そこでのストレス発散と言えば、舞踏会です。
上流階級の人々が特注のタキシードを着て、ダンスフロアを華麗に舞う……
そんな世界を一目見たくて、場違いは重々承知で、僕は舞踏会に参戦しました。
パートナーもいませんし、踊れもしません。
けれど僕は一万円を出してタクシードをレンタルし、ウィーンの文化を全身で感じました。
けれど、不幸はそんな華やかな舞踏会でも起こるのです。
酔っぱらっていた僕は、お腹に巻くカマーバンドをどこかでなくし、レンタル屋さんに三千円相当の弁償金を払ったのでした。
僕は酔うと常々物をなくします。
クリスマスパーティーでアイポッドをなくすは、宅飲みからクラブに行く間に財布を落とすは、良いことなしです。
誕生日に友だちを家に呼んで自分だけ酔いつぶれて寝てしまった日には、自分を呪いたくなりました。
もともと僕はお酒に弱いのかもしれません。
日本の大学で初めて飲み会に誘われた時、最寄り駅まで父が迎えに来てくれたのですが、新車に揺られ酔いが回り、車内でゲロってしてしまい、しばらく匂いが車から取れませんでした。
その日から嘔吐するまで飲むことはなくなったのですが、ウィーンの大学の日本学科のパーティーに誘われたさい、気になる女の子に優しくされ、ついつい調子に乗って大酒を食らい、パーティー会場のど真ん中で盛大にゲロってしまいました。
以来、僕は日本人でありながら日本学科に出禁となり、その女の子にも愛想をつかされ、ある意味で『日本学科の伝説の男』となってしまったのでした。
ゲーゲー言っているだけならまだ良いのですが、たちの悪いことに、僕は性格もかなり大胆不敵になってしまったようです。
ある日、僕はパーティーから一人でトラム乗り場へ向かっていました。
ウィーンでは、特に学生はお金がないため、お酒をスーパーで買い、フラットでパーティーをします。
三人も住んでいるようなフラットであれば、そこら辺の小さなバーより広く、近所の人が直接苦情を言いに来るか警察を呼ぶまで、かなり楽しく過ごせます。
フラットパーティーの後、例のごとく酔っぱらった僕は、そこが麻薬売買で有名な場所であることにも気づかず、ふらふらと歩いていました。
すると、いかにも怪しい中東系の男たちが絡んできました。
おそらくマリファナか何かを売ろうとしていたようですが、僕は一人の時は音楽を聴いているので何も聞こえず、無視して行こうとしたのですが、彼らは道を塞ぐように立ってきます。
いい気分になっていた僕は、考えなしに思い切り目の前の男の股間を蹴り上げ、速攻で逃げました。
奇声を上げながら男たちが追ってきます。
「追いつかれたら殺される!!」
僕は恥ずかしさも忘れ「ヘールプッ!」と叫びながら全力で遁走し、ハーフマラソンの準備中だったこともあり、なんとか逃げ延びることができたのでした。
そこでのストレス発散と言えば、舞踏会です。
上流階級の人々が特注のタキシードを着て、ダンスフロアを華麗に舞う……
そんな世界を一目見たくて、場違いは重々承知で、僕は舞踏会に参戦しました。
パートナーもいませんし、踊れもしません。
けれど僕は一万円を出してタクシードをレンタルし、ウィーンの文化を全身で感じました。
けれど、不幸はそんな華やかな舞踏会でも起こるのです。
酔っぱらっていた僕は、お腹に巻くカマーバンドをどこかでなくし、レンタル屋さんに三千円相当の弁償金を払ったのでした。
僕は酔うと常々物をなくします。
クリスマスパーティーでアイポッドをなくすは、宅飲みからクラブに行く間に財布を落とすは、良いことなしです。
誕生日に友だちを家に呼んで自分だけ酔いつぶれて寝てしまった日には、自分を呪いたくなりました。
もともと僕はお酒に弱いのかもしれません。
日本の大学で初めて飲み会に誘われた時、最寄り駅まで父が迎えに来てくれたのですが、新車に揺られ酔いが回り、車内でゲロってしてしまい、しばらく匂いが車から取れませんでした。
その日から嘔吐するまで飲むことはなくなったのですが、ウィーンの大学の日本学科のパーティーに誘われたさい、気になる女の子に優しくされ、ついつい調子に乗って大酒を食らい、パーティー会場のど真ん中で盛大にゲロってしまいました。
以来、僕は日本人でありながら日本学科に出禁となり、その女の子にも愛想をつかされ、ある意味で『日本学科の伝説の男』となってしまったのでした。
ゲーゲー言っているだけならまだ良いのですが、たちの悪いことに、僕は性格もかなり大胆不敵になってしまったようです。
ある日、僕はパーティーから一人でトラム乗り場へ向かっていました。
ウィーンでは、特に学生はお金がないため、お酒をスーパーで買い、フラットでパーティーをします。
三人も住んでいるようなフラットであれば、そこら辺の小さなバーより広く、近所の人が直接苦情を言いに来るか警察を呼ぶまで、かなり楽しく過ごせます。
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すると、いかにも怪しい中東系の男たちが絡んできました。
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いい気分になっていた僕は、考えなしに思い切り目の前の男の股間を蹴り上げ、速攻で逃げました。
奇声を上げながら男たちが追ってきます。
「追いつかれたら殺される!!」
僕は恥ずかしさも忘れ「ヘールプッ!」と叫びながら全力で遁走し、ハーフマラソンの準備中だったこともあり、なんとか逃げ延びることができたのでした。
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