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8章【合戦前エントロピー】

7 *

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 ――状況を、冬総は把握できていなかった。


「フユフサ。……これは、ルサンチマンじゃないよ」


 そう呟いた秋在は。

 ――何故か、冬総の男根を握っていた。


「あ、あの……秋在、さん? これは、いったい……?」
「誰が『喋っていい』って言ったの」
「ご、ごめん……」
「ダメ、許さない。……言っても言わなくても分からない悪い子なフユフサには、体罰」


 秋在が片手で、男根を強く握る。

 そして……もう片方の手で、冬総のモノをペチン、と、叩いた。


「……ッ」


 絶妙に痛く、そして妙に……恥ずかしい。

 冬総は今、下履きだけを脱がされ。

 最愛の恋人に、逸物を叩かれているのだ。


(何だ、この状況……ッ! メチャクチャ恥ずいし、なんか、落ち着かないって言うか……ッ)


 ペチン、ペチン……と。

 秋在は何度も、冬総の逸物を叩いた。

 男としては、屈辱的な行為だろう。

 ――しかし、相手が秋在ならば……?

 不意に、秋在が眉間に皺を刻んだ。


「……フユフサ。ボク、お仕置きしてるんだよ」
「……ッ」
「フユフサが魔女だったなら、今頃その体は燃やされてるんだよ。……自分の立場、分かってるの。……『イエス』か『ノー』で答えて」


 先端を、指の腹で力一杯、押される。

 その行為に眉を寄せながら、冬総は呻かないように気を配りつつ、なんとか答えた。


「イ、イエス。……だけど、相手が秋在だと……可愛くて、反応しちまうって……ッ」
「誰が『イエスかノー以外も答えていい』って言ったの」
「ご、ごめん……ッ。……でも、秋在――」
「度し難いおバカなフユフサには、極刑」


 秋在はそう言うと。

 ――冬総の逸物に、舌を這わせた。


「あ、きあ……ッ」


 先端を、丁寧に舐められる。

 まさか【お仕置き】という名目で、秋在から口淫をされるだなんて。……冬総は、考えていなかった。

 しかし、これだけでは冬総にとって【お仕置き】にならないと、秋在は分かっている。


「今日は、ボクの体に触らせてあげない」


 根元から、先端まで。

 秋在の小さな舌が、ゆっくりと這う。

 ゾクゾクと背筋を駆け抜ける快感に、冬総は堪らず……手を伸ばす。


「秋在、頼む……ッ。秋在に、触りたい……ッ」


 自分の逸物を、恋人が懸命に舐めているのだ。

 状況がどうであれ、頭を撫でて労わってあげたい。

 しかし、秋在はそれを許さなかった。


「自分の立場は」
「ご、ごめんなさい……」
「極刑の極刑」
「い、ッ」


 逸物を、甘噛みされる。

 小さな痛みが走り、冬総は思わず呻いてしまう。

 それでも、先端からは先走りの液が漏れている。


(俺、マゾとかじゃねェんだけどなぁ……ッ!)


 痛いのは嫌いだし、こういった趣味嗜好は持ち合わせていない。

 それでも逸物は、冬総本人の意思を気にしたりせず、萎えはしなかった。




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