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7章【親友の弟がよそよそしかった理由は、】

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 クリーニング屋の場所を教えてから、三日後。
 俺と冬人は、同じ現場に来ていた。

 結局、あの日。冬人がなにをクリーニングしたのかは、見ることができなかった。……だが、わざわざ干渉することでもないだろう。

 冬人は感謝の言葉を伝えてくれたし、俺はクリーニングしたものを言及するような真似はしなかった。

 ……っと、速攻で話題がズレたな。話を戻そう。

 同じ現場ですれ違うことはあったりしたが、こうして同じ目的で撮影をするのは久し振りだ。
 初めて一緒に再現映像を撮ってから、冬人と同じ仕事をする機会がなかった。だからか、なんだか変な感じもする。

 いくら一緒に住んでいようが、仕事は別だ。妙に新鮮な気持ちで、俺と冬人は別々の仕事を終えた後に、合流した。

 ……ちなみに圧倒的な余談だが、初めて一緒に撮影したあの再現映像の放送日は、明日だ。冬人がそのことを覚えているかは知らないが、俺は一応録画予約をしている。冬人がわざわざ見たがるかは分からないが、まぁ、一応だ。

 ……さて。今日の撮影場所は、今は使われていない倉庫だ。会社がそこを使えるよう申請して、なんとか許可をもらったらしい。

 今日撮影するのは、ある雑誌の特別企画と題した内容だ。
 人気のモデルや、今後に期待されるモデルをピックアップし、掲載する。ザックリ言うと、モデル特集用の写真だな。

 【誰も使っていない倉庫】という、ちょっとアブナイ雰囲気のあるところで、ワイルド且つ危険なイメージの写真を撮るとかなんとか。……ふむ。期待のモデルや注目のモデルに【危険なイメージの写真】とは、これいかに。

 衣装も、コンセプトに則っている。俺と冬人、他にも数人がスーツや制服、どっかのヤンキーっぽいパンクな服に身を包んでいる。

 ちなみに俺はスーツで、冬人は着崩した制服だ。
 冬人は二十歳だし、俺に比べるとついこの前まで現役高校生だったからか、違和感が全くない。

 ……もう一度言うが、期待のモデルや注目モデルに【パンクな服】とは、これいかに。


「──はい、オッケー!」


 そんな俺の疑問は誰も抱いていないのか、特段なんのアクションも起こしていない冬人が、カメラマンの前でポーズを取っている。

 倉庫の中には積み重ねられた鉄板や、なにを覆っているのか分からないブルーシート。それにビニールの紐で束ねられた長い鉄パイプや、汚れたコンテナもいくつかある。

 人の力では持てないくらい大きなコンテナが重なって、人の背丈よりも高くなっているものもあった。
 その上に鉄パイプが置いてあり、正直、少し危険な配置な気がする。

 俺が周りの様子を眺めているとカメラマンがいい反応を出し、冬人の撮影が終わったらしい。俺は足早に、冬人へ近寄った。


「よう、冬人。お疲れ様」
「……」
「……冬人?」


 一度声をかけてみるが、冬人からの返事はない。
 もう一度声をかけると、ようやく冬人が顔を上げた。

 ……その表情は、数日前から変わらず、どこか暗いものだ。




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