44 / 88
5章【親友の弟の目的を知った俺は、】
9 *
しおりを挟むさすがに『女みたいだ』とまでは、言わない。
だが、腰を掴んで、そのまま力を入れたら折れてしまいそうだ。
色も白く、華奢で儚げな印象を与えてくる。
──ヤバイな。
完全に、引き際を見失っているぞ。
冬人は緊張しているのか、浅い呼吸を繰り返していた。……なのに、そんな姿を見ても、止めてやれそうにない。
むしろ、煽られているような気さえしてくるほどだ。
──触れられたら、諦めるか?
冬人の考えを、改めさせたい。
そんな大義名分をなんとか用意し、俺は手を動かした。
「やめ、ろ……っ。触るな、っ」
イヤがる冬人をうつ伏せにさせ、ベッドに押し付ける。
露わになった素肌──背中を、人差し指でそっと撫でた。
「ん、っ」
冬人は、体を大きく跳ねさせる。突然触られて、驚いたのだろう。
そのまま冬人は、シーツを強く握った。
「されるがままになってるぞ。止めなくていいのか?」
顔を寄せ、肩甲骨に舌を這わせる。
冬人はブルブルと震えたまま、首を横に振った。
「やめ、ない……っ! 私は、兄に、なる……っ」
怯えているのに、強情だ。
──なら、最後の手段。
「あ、っ!」
冬人の下半身を隠している布を、全て剥ぎ取る。
驚いている冬人に気付いていながらも、俺は小振りな冬人の尻を揉んだ。
「う、あ。や、やだ……っ」
「なんでだ? 俺はさっき『止めなくていいのか』って確認しただろ」
「は、ぁ……っ!」
尻の穴を、指で撫でる。そうすると、冬人は耳まで赤くなった。
だが、そんな自分を少しでも隠そうとしているのか……冬人は顔を、枕に埋めてしまう。
「やだ、いやだ……っ! そんな……そんなところ、触るな、っ」
「笑えない冗談だな? 今からここに突っ込むんだから、触るしかないだろ?」
「は、っ? ……えっ?」
冬人の理解は、待ってやらない。
自身の人差し指を、唾液で湿らせる。
そして、その指を。
──俺は冬人の尻穴に、そっと差し込んだ。
「あ、あ……ッ! いやだ、やだ、やめて……ッ!」
当然、冬人は大きな拒絶を示す。
「キッツいなぁ。まっ、処女なら当然か」
「やだ、やだって! いやだ、動かさないで……ッ!」
「オイ冬人。暴れると痛いぞ?」
いつもの聡明な言葉遣いではなく、年相応の反応だ。
ジタバタと暴れようとする冬人の足の上に、押さえつけるように座る。
ならばと、冬人は両手を振って邪魔してきた。無論、使っていない方の手で冬人の両手を押さえ付けたが。
「やだ、いやだ……ッ! こ、怖い……ッ! 平兵衛さん、やめて……っ」
抵抗ができなくなった冬人の内側を、角度を変えて愛撫する。
人差し指を根元まで入れて、グリグリと乱暴に動かす。
すると、ある一点が擦れた途端……。
「いやだ、やだ……っ! や、やめ──んん、ッ!」
──冬人が、艶めかしい嬌声を上げた。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説

僕の部下がかわいくて仕方ない
まつも☆きらら
BL
ある日悠太は上司のPCに自分の画像が大量に保存されているのを見つける。上司の田代は悪びれることなく悠太のことが好きだと告白。突然のことに戸惑う悠太だったが、田代以外にも悠太に想いを寄せる男たちが現れ始め、さらに悠太を戸惑わせることに。悠太が選ぶのは果たして誰なのか?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…
まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。
5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。
相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。
一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。
唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。
それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。
そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。
そこへ社会人となっていた澄と再会する。
果たして5年越しの恋は、動き出すのか?
表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。

キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
いとしの生徒会長さま
もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……!
しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる