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5章【親友の弟の目的を知った俺は、】

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 冬人から視線を逸らし、ため息を零す。

 ──なんだか、妙に疲れた。

 話を終わらせようと、締めの言葉を口にする。


「いいから、冬樹になるなんて──」


 俺の言葉を。


「──脱げ」


 ──冬人は、俺の求めない言葉で遮った。

 慌てて、冬人へ視線を戻す。すると冬人は膝立ち状態になり、俺に近寄っていた。
 そのまま冬人は、ズボンの上から。

 ──俺の逸物を、遠慮がちに撫でたではないか。

 震える手は、まだ悩んでいるという証拠だろう。その顔も、踏ん切りがついたようには見受けられない。
 中性的な顔立ちで、いつもは気難しい顔をしている冬人が……恥ずかしさに、顔を赤くしているのだから。

 私事ではあるが、仕事に忙殺されて最近【そういうこと】とはてんでご無沙汰だった。
 それに加えて、今の俺はアルコールで酔っている。……『酔っている』と自覚できるレベルではあるが。

 そして、ダメ押し。これこそが、最も大きな要因。

 ──正直。

 ──今の冬人は、凄くキレイだ。


「……へぇ?」


 ──脅し足りない。

 ──もっと動揺させたい。

 ふたつの気持ちが、俺を動かした。

 冬人の言った通り、俺は自身のズボンに手を掛ける。


「……っ」


 一瞬だけ、冬人は怯んだ。
 だが、ここまできて引いてやるつもりはない。
 それは俺だけではなく、おそらく冬人も同じなんだろう。

 ……だが、タチが悪いのは俺の方だ。

 ──俺は正直、キレイな奴なら男だろうが女だろうが、どっちだっていいんだからな。


「分かった、応じてやる。……だがな、冬人。いくら初めてとは言え、歯は立てるなよ」
「歯を、立てる……?」


 俺の言った言葉の意味を、冬人は理解できていない。それでも、俺は引いてなんかやらなかった。
 ズボンを寛がせ、下着から逸物を取り出す。

 ──そのまま。


「──んむッ!」

 
 開かれた冬人の口に、俺はムリヤリ。

 ──自分のペニスを、突っ込んだ。


「んっ、んぐ……っ!」


 奥までねじ込むようにすると、冬人が苦しそうな声を漏らす。当然だ。


「オイ、冬人。ただ口に入れてるだけで終わり……じゃ、ねぇよな?」


 罪悪感は、ある。頭の片隅に、冬樹がチラついたのだ。
 それでも、止めてやれそうにない。

 冬人の腰に触れた、あの一瞬。
 少し、肌が冷えていた。
 だからか、やけに……。

 ──温かい口腔が、熱く感じた。

 そんなものを与えられて理性がフル稼働するほど、俺はできた男じゃない。

 
「んん……っ、ん、ふ、っ」


 目の端に涙を浮かべながらも、冬人が舌を恐る恐る動かす。
 それがなんとも、くすぐったい感覚だ。


「ハハッ。ヘタくそだなぁ、冬人?」
「んぐっ、んん、ッ!」


 一度腰を引き、また奥まで突っ込む。
 俺から動くことを想定していなかったのか、冬人は驚いたような声を出した。

 ──キレイな顔が、苦痛やらなにやらで歪んでいる。

 ──存外、悪くない光景だ。

 そう思った時点で、かなりヤバい状況だと。
 俺はこの時、自覚するべきだった。




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