大嫌いな幼馴染みは嫌がらせが好き

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

文字の大きさ
上 下
79 / 84
オマケ話【俺様の可愛い恋人は】

2

しおりを挟む



 翌朝。


「……美鶴」


 俺様の隣で寝転がっている真冬が、甘えるようにすり寄ってきた。

 『珍しいな』と、思うと同時に。


(……クソ、可愛すぎるんだよ……ッ)


 普段はこんなこと、絶対にしてこない。
 なのに、今日はそういう気分だったのか……真冬は俺様から離れようとしなかった。

 今まで散々、真冬には逃げられてきたのだ。いくら俺様の自業自得だったとはいえ、精神的にくるダメージってモンはあった。

 それが今、こうしてくっついてきていると思うと……感慨深い。感激もひとしおってやつだ。

 俺様は頭を撫でてやりながら、真冬と向かい合った。


「何だよ、真冬?」
「……別に。……呼んだだけ、だ」


 自分の行動を、恥ずかしく思ったんだろう。
 向かい合った真冬の顔が、真っ赤になっている。


(……コイツ。こういう可愛さ、どこで学んでくるんだ?)


 頭を撫でたら、いつだって真冬は嬉しそうだ。

 だがそれと同じく、喜んでいるということをいつだって必死に隠そうとする。


「や、やめろよ……っ」


 と言うのは、まさに口だけ。
 その証拠に、真冬の声には怒気がない。

 付き合ってからも、真冬はあまり素直にならなかった。
 ツンとして、素っ気無い言葉ばかり使う。

 だが、ガキの頃から真冬だけを見てきた俺様は……些細な変化にも気付ける。


「真冬、こっち向け」
「……ん」


 例えば、俺様に命令されても文句を言わないとき。
 そういうときは決まって、他のことを考えている。

 例えば、今だと、そうだな……。
 ……キスしてほしいとか、もっと甘えてもいいのか……とかだろうな。

 だったら、やってやることは一つ。

 ムッとした顔の真冬に、キスをしてやる。


「っ!」


 俺様の読みは的中だったらしい。

 真冬は真っ赤になり、毛布の中に顔を隠した。


「キス以上のこともしてるのにか?」
「う、るさいな……っ!」


 つい数時間前にセックスしたばかりだぞ?
 ……だが、真冬にとったらキスってのは恥ずかしいモンらしい。

 このままもっと恥ずかしがらせるのも楽しそうだが、それだと真冬が毛布から出てきてくれないだろう。

 俺様は瞬時に、別の話題を提示する。


「真冬、メシでも作ってくれよ」
「はぁ?」


 案の定。
 すぐに、真冬は毛布から出てきた。

 ……もう顔は赤くないのか。つまんねェ。


「いっつも思うんだけど、何で俺が飯作らないといけないんだよ!」
「は? イヤなのかよ?」
「絶対ヤダってわけじゃないけど、その……腰、とかさ……っ」


 ボソボソと、真冬がなにかを言っている。


「……あぁ。散々抱かれたせいで、腰が痛いのか?」
「わざとらしくハッキリ言うな! 美鶴のドアホ!」


 俺様のことをあれだけ激しく求めたんだ。

 それは、腰だって痛くもなるだろうな。




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

いとしの生徒会長さま

もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……! しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

たまにはゆっくり、歩きませんか?

隠岐 旅雨
BL
大手IT企業でシステムエンジニアとして働く榊(さかき)は、一時的に都内本社から埼玉県にある支社のプロジェクトへの応援増員として参加することになった。その最初の通勤の電車の中で、つり革につかまって半分眠った状態のままの男子高校生が倒れ込んでくるのを何とか支え抱きとめる。 よく見ると高校生は自分の出身高校の後輩であることがわかり、また翌日の同時刻にもたまたま同じ電車で遭遇したことから、日々の通勤通学をともにすることになる。 世間話をともにするくらいの仲ではあったが、徐々に互いの距離は縮まっていき、週末には映画を観に行く約束をする。が……

幼馴染は俺がくっついてるから誰とも付き合えないらしい

中屋沙鳥
BL
井之原朱鷺は幼馴染の北村航平のことを好きだという伊東汐里から「いつも井之原がくっついてたら北村だって誰とも付き合えないじゃん。親友なら考えてあげなよ」と言われて考え込んでしまう。俺は航平の邪魔をしているのか?実は片思いをしているけど航平のためを考えた方が良いのかもしれない。それをきっかけに2人の関係が変化していく…/高校生が順調(?)に愛を深めます

処理中です...