大嫌いな幼馴染みは嫌がらせが好き

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

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4話・すれ違うのが好き

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 ――何で、ロープなんて取り出したんだろう。

 物騒なものを取り出された俺は、更に戸惑った。
 だが、ロープの使い道なんて【縛る】だけ。

 あろうことか、笑みを浮かべた先輩は。


「な、何で……っ! やめてくださいっ!」


 ――ロープを、俺の手首に縛りつけてきた。

 俺は慌てて抵抗して、身をよじる。
 だけど、リーダー的先輩がそれを見逃さない。


「黙ってろッ!」


 ガンッ、と。
 一発、顔を殴られた。

 誰かに力一杯顔を殴られた経験なんて、なかったけど。


(痛い……っ)


 頭が、クラッとする。

 その一瞬の間に、両手首を完全にロープで固定された。
 身動きのできない状態に追い込まれた俺は、先輩たちを見上げる。

 すると、無表情な先輩が突然……俺のネクタイを、ほどいた。


「や、やめ……っ!」


 そのままワイシャツのボタンも外された俺は、制服を力任せにはだけさせられる。

 俺の上半身は、三人の先輩に晒された。


「ふぅん? キスマークとかはないんだな?」
「ここには、ですけどね?」
「あ~……あそこか~」


 人の体をジロジロ見ながら、勝手に話が進められている。
 手を動かすが、ロープはほどけない。


「なにがしたいのか分かりませんが、やめてください……っ!」


 そんな台詞を吐いて、止まる人なんてたぶんいないだろう。
 当然、先輩たちは止まらない。

 むしろ、エスカレートしていく。


「うわっ!」


 ――いきなり、ズボンと下着を一気に下ろしてきたのだ。

 そして、先輩たちの探しているものが……見つかったらしい。


「うわっ! 本当にあるぞ、キスマーク!」
「いやらしいですね……」
「ん~」


 それは前回、高遠原に抱かれたとき。

 その日の高遠原はやけに、俺の体にキスマークをを付けたがったのだ。
 初めは首筋を狙われたのだが『見えるところに付けたらそこを引っ掻きまくる!』と吠えてみた。

 すると、まるで『折衷案だ』とでも言いたげに、内腿を選んだのだ。


「……っ」


 まさかそんなところ、人に見られるなんて思わないだろう?

 俺は一気に、顔を赤くした。


「まぁ、俺たちの目的はこんなモンを探すことじゃねぇよ」
「そういえば、明日は金曜日ですね」
「あ~、やっちゃおっか~?」


 勝手に人の体を眺めてきた三人は、ブツブツと思い思いのことを呟いている。
 するといきなり。


「や、やめてくださいっ!」


 俺の体に顔を寄せてきた。

 首に、二の腕に、胸に、内腿に。
 先輩たちは唇を寄せて、ただただ……見せつけるように、キスマークをつけ始める。

 ――寒気がする。

 ――体が、冷えていく。


「さて、と。このくらいでいいだろ」


 リーダー的先輩がそう言うと、残りの二人も俺から離れる。


「諸星くん、だったっけ。……高遠原に見られたら、こう言っとけ」


 無表情の男が俺のロープをほどく中、リーダー的先輩が囁いた。


「――これは、お前がしたことの報いだ……ってな」




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