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2話・無理矢理が好き
5 *
しおりを挟む玄関でされたのと、同じように。
何の躊躇いもなく、高遠原は俺のペニスを扱き始めた。
「あっ、んぅ……っ!」
さすがは同じ男、なのだろうか。
緩急をつけて、どうしたらより一層気持ち良く感じるのか。
高遠原はそれを、心得ている。
「真冬、お前さァ……敏感すぎだろ」
「ひぁ、んっ! は、はな……せ……っ! ん、ん……っ!」
抵抗したくても、体が上手に動かない。
いやでいやで、堪らないのに。
「エロい音たててるくせに、離せってのは可笑しな話じゃねェか? ん?」
――先端が、濡れている。
俺が高遠原をいやがる以上に。
体は、快感に正直だ。
「はっ、ぁ……ぅ、んっ!」
こんなこと、コイツにされたくない。
なのに。
(さっき出したばっかりなのに、また……っ!)
体が、熱くて仕方ない。
認めたくないけど、認めるしかないだろう。
俺は……俺、は。
――イきたくて、仕方ないんだ……っ。
「ぃ、やだ、っ! やだっ、手、はな――んんっ、ひっ、あ……あぁ、っ!」
頭では、しっかりと拒絶している。
なのに、体は……どうしたって、貪欲だ。
「ふ、あっ、ぁあっ!」
『射精したい』という欲求のままに。
精液が、吐き出された。
「んん、ん……っ!」
白濁としたそれは、大嫌いな男の手と服を、瞬く間に汚していく。
汚されている張本人はそれを不快に思った様子も見せず、ただただ、口角を上げている。
「はぁ、は……っ」
二度目の射精による疲労感で、俺はぐったりと脱力した。
すると、視界の端で高遠原がなにかをし始めている。
よく見ると……自分の手についた俺の精液を、指で弄んでいるらしい。
かと思うと。
「……っ! なっ、なに……っ?」
――いきなり……俺の体を、うつ伏せに寝かせてきた。
「なぁ、真冬。……男同士のヤり方、知ってるか?」
「は、っ? そ、そんなの知ら――やっ、いやだっ! 俺はそんなこと、シたくないっ!」
『知らない』と答える前に、直感が伝える。
――高遠原は今……俺と【男同士のセックス】をしようとしているのだ、と。
慌てて振り返ろうとするが、高遠原が背後で笑っている。
「お前、拒否できる立場なのかよ?」
玄関で、射精したこと。
そして……たった今、イかされたことも。
ほんの一日で、握られた弱みが……多すぎる。
(拒否したら、どうなるか……そう考えたら、拒否なんて……できっこ、ない……っ)
男同士のヤり方なんて、俺は本当に知らない。
だからこそ俺は、今から高遠原になにをされるのか、分からなかった。
脱がされかけていたズボンに手を添えられた俺は……怯えるように、目を閉じた。
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