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続 6章【先ずは好きだと言わせてくれ】
16 *
しおりを挟む冷静になったところで、抱かれる──もとい、愛されることに変わりはない。
先輩は俺が纏う服をまくり上げ、そのまま俺の上半身に顔を寄せた。
「ん、っ」
「文一郎って、上半身が弱いよね。特に、胸の辺りがさ。敏感で可愛い」
「胸で感じるアラサー男なんて、ただの恐怖映像でしょうが……っ」
「それが僕の文一郎であるのなら、愛おしいよ」
……く、そっ。サラッと、口説いてきやがる……っ。
先輩は俺の胸に顔を埋めて、そのまま舌を動かす。生温かい舌先で、俺の乳首をピンと弾くために。
「あっ。……んっ、ぅ」
「文一郎、少しだけ力抜いてね。後ろ、指で慣らすから」
「だったら、胸を舐めるな……っ。ひっ、ん」
「感じる文一郎を見ていたいんだよ。だから、やめない」
「噛むな、ばか……っ」
先輩の歯が、俺の乳首をやらしく──もとい、優しく噛む。チクショウ、感じる。どんどん後戻りできない体になっている気がするぞ、チクショウめ。
胸で感じる無様な俺を弄びつつ、先輩は宣言通りに指を俺のケツ穴に突っ込み始めた。あっ、クソ、いつの間にローションなんか手に垂らしてやがったんだ、この男。すんなり侵入してくるじゃないか、クソスマート男め。
「ナカ、熱いね。早く挿れたい」
「ベッドの上でも、結局せっかちなんですね……っ」
「文一郎が誘い上手なんだよ。エッチな子だね」
「責任転嫁、絶許」
「『ぜつゆる』ってなに? エッチな言葉?」
「『絶倫』って意味でも『ケツ穴が緩い』って意味でもねぇ」
とかなんとか言いながらも、先輩の指は的確に俺が感じるポイントを突いてくる。あぁ、クソ……ッ。奥側をグリグリ押されると、疼く。
そっちが『挿れたい』と思うように、俺だって『挿れられたい』と思っているんだぞ。サッサとその凶器をぶち込め、言葉通りの快楽殺人鬼め。
「指が、凄く締め付けられる……っ。今日の文一郎も、凄いね」
「先輩……っ」
「いつもよりナカが、甘え上手。もしかして、トラウマ克服のご褒美?」
「ご褒美が俺、なんて……そんなエロ同人的展開は、ないですから……っ」
軽口はいいから、サッサと指を増やせ。あぁ、もう。俺は素直にそう言えないんだから、いつもみたいに察してくれよ。
ジッと見つめると、気持ちが届いたのか。先輩が指を増やし、さらに俺の内側を広げてくる。
「はっ、ん。……ん、っ」
「気持ち良さそうだね、文一郎?」
「自意識過剰……っ」
「そんなことないよ。絶対、指よりも僕自身の方が気持ち良くできるもの」
「ヤッパリ自意識過剰じゃないですか……っ」
事実だけどな、馬鹿野郎。
ぐちぐちと卑猥な音が鳴ると、それだけで骨の髄まで犯されているようで。いつもの愛撫や慣らしだって気持ちいいが、ベッドの上でムードも満載だと感じ方が違う気がした。……錯覚だろうが。
「せん、ぱっ、ん……っ」
ちゅ、と。乳首が、わざと音を立てて吸われる。それにも律儀に反応してしまう俺の体は、きっとケツに突っ込まれた先輩の指を締め付けたに違いない。
「文一郎……っ」
ねちっこく後ろを弄ってきた指が、突如として抜かれて。……俺に覆いかぶさる先輩が、体勢を改めてきたのだから。
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