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5章【そんなに好きにさせないで】

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 ツカサが、心底嬉しそうに笑っている。
 それもそのはずで、なぜならツカサの目の前には、カナタが座っているのだ。

 ──そう。

 ──タオルをベッドの上へ落とした、バニーガール姿のカナタが。


「凄くエッチだよカナちゃんっ! うわ~っ、メチャクチャ可愛いっ!」
「そう、ですか……っ?」
「うん、マジでマジで! あっ、耳も付けてもいい? カチューシャみたいになってるんだけどさ!」
「は、はい……っ」


 先ほどまでのしおらしさが嘘のように、ツカサはいそいそとカナタへ近寄った。

 カナタの頭に、ツカサはコスプレ衣装の付け耳を装着させる。


「ヤッパリ、ラテアートのウサギよりもバニーガールなカナちゃんの方が可愛いよっ! 写真撮っていいっ? いいよねっ! ハイ、ピースっ!」
「やっ、待って! オレ、撮っていいなんて言ってないです! ちょっと、ツカサさん!」


 スマートフォンのカメラを向けたツカサ相手に、カナタは反論しようとした。
 しかし、暴走し始めたツカサは止まらない。


「もう撮っちゃった。ごめんね? 嫌いにならないで?」
「やだ、消して──んっ」


 文句を紡ぐカナタの口を、ツカサは自身の口で塞ぐ。


「ぁ、ん……ふ、っ」


 キスをしながら、ツカサがカナタの体を布越しに撫でた。

 ゾワゾワと、言葉には形容しがたい感覚が、カナタの体を這う。
 ツカサからのキスを受け止めながら、カナタは瞳を閉じる。

 ──恥ずかしい。

 そう思うと同時に、カナタは考える。

 ──だが、ツカサが喜んでくれているのは嬉しい、と。

 オマケに、他の誰でもないツカサから『可愛い』と褒められるのならば、カナタは羞恥心を飲み込めてしまう。

 キスから解放されると、カナタはすぐさまベッドへ押し倒される。
 すると、ツカサがなにかに気付いたような顔をした。


「あっ。カナちゃん、ヘアピン外すね?」


 前髪に、ツカサの手が触れる。

 せっかくのプレゼントを、外したくはない。
 そう思ったカナタは、悲し気に眉尻を下げる。


「どうして、ですか?」


 カナタの問いに対し、ツカサはサラリと答えた。


「スポーツをするときにヘアピンは危険だって、両親から言われなかった? ケガしちゃうかもしれないでしょう?」


 即座に、カナタは顔を赤くする。


「スポーツ、って……っ。オ、オレ……親の前ではヘアピンとか、したことないです……っ」
「そうなの? じゃあ、ヘアピンヴァージンも俺が貰っちゃった感じかな? ふふっ、幸せっ」


 羞恥心を煽るような言葉選びに、カナタはますます頬を朱色に染めた。

 だがカナタは決して、ツカサがヘアピンを外す手を止めはしない。その手は、ツカサの優しさだからだ。


「よし、準備完了! ウサギさんなカナちゃんのこと、今から食べちゃうね?」
「その言い方……なんか、嫌です……っ。恥ずかしい、から……っ」
「でも、ココは嬉しそうだよ~?」


 ツカサはそう言い、カナタの下半身へと手を伸ばした。
 



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