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第5章 マグロ

(後編)夜 中 *

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 ショタはマグロに歩み寄り、恥ずかしそうに視線を逸らしながら、呟く。


「素直になれなくて……業務って思わせて、傷付けて……ごめんなさい」


 小遣い稼ぎと思わせるよう、振舞ってはいた。けれど、それでマグロを傷付けるつもりは無かったのだと……マグロは気付く。

 恥ずかしそうに視線を逸らしながら、目の前に立つショタを見つめて……マグロは力一杯、抱き締めた。
 予想だにしていなかった抱擁に、ショタが体を硬直させたけれど、そんなことは気にしない。


「……察せられなくて、ごめん」


 いつも自分の考えを察してくれていたのに、自分はショタの考えに気付けなかった。心からの謝罪を、マグロが口にする。

 ショタはマグロに抱き締められながら、くぐもった声を漏らす。


「……ボクが、どれくらいマグロクンのこと好きか……知ってる?」
「……知ら、ない」


 マグロの返事に、ショタは小さく身じろぐ。
 すると、ショタがマグロの背を叩いた。

 マグロは一度ショタを解放し、小首を傾げてショタを見下ろす。そんなマグロに、ショタは小さなプレートのような物を差し出した。

 ――それを見て、マグロは驚愕の表情を浮かべる。

 ――それは、運転免許証だ。ショタの写真と『南須原なすはら陸乃りくの』という名前が、ハッキリと写っている。

 マグロが口を開くよりも先に、ショタが口を開く。


「これくらい……好き、なんだけど……」


 頬を朱に染めて、ショタは恥ずかしそうに、マグロを見上げる。
 これこそ、ショタができる最上級の愛情表現だと……マグロは今度こそ、察することができた。



 小さな突起を指で摘みながら、マグロは何度もショタにキスをする。マグロのペニスを受け入れているショタのアナルが、収縮した。


「んん、ふぁ……んっ」


 爪で乳首を弾き、強くつねり、時には爪を立てる……それら全てに、ショタはビクビクと体を震わせる。
 唇を解放し、マグロは壁に押し付けたショタを、愛おしそうに見つめた。


「陸乃、好き……陸乃が、大好き」


 真っ直ぐ、言葉で気持ちを伝えられ……ショタは顔を真っ赤にして、視線を逸らす。マグロは不満げに眉を寄せた後、ショタの耳朶に唇を寄せ、囁く。


葛西かさいでも、遼樹りょうきでもいいから……呼んで欲しい……っ」
「ぁんッ!」


 ショタは、マグロの声が好きだ。突然耳元で大好きな声を囁かれ、ショタは自分でも驚く程、感じてしまった。

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