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第1章 処理課

(前編)早朝 下

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 いつの間にか行為が終わっていたのか、少年を犯していた男が服を着た状態で、ゴリに頭を下げてから、事務所内を通り過ぎていく。

 ゴリはそれに対し、お辞儀で応対する。
 男が事務所から出て行った後……床で寝転がっている少年に、BBが声を掛けた。


「もしかして……意識でも失っとるん?」


 少年は小さく身じろぎ、右手を天井に向けて突き上げ、ヒラヒラと手を振る。


「起きてますよ~……余韻にくらい浸らせてください~……」


 少年はそう言いながら上体を起こし、精液でベトベトになった自身の体を見下ろして、うっとりとした表情を浮かべた。


「朝から、い~っぱい稼いじゃいました~」
「ショタ、一日はまだまだこれからだぞ?」
「分かってます~」


 ゴリにショタと呼ばれた少年は、体を伸ばすように両腕を上げて、小さく体を揺らす。

 丁度そのタイミングで、処理課に所属している最後の一人が……事務所に入ってきた。


「あぁ『まぐろ』ちゃん。おはようさん」


 赤い髪の要所要所に黄色が混ざった、独特の髪色をしている青年は、BBにマグロと呼ばれる。

 マグロはBBに対して、頷きを返す。そのままゴリにも頭を下げたマグロは、ショタに視線を向ける。
 精液で汚れているショタを見て、マグロは一瞬だけ、体を強張らせた。


「おはよう、マグロクン!」
「……っ」
「え~? だって、マグロクンが事務所に来るの遅いから~!」


 一人で喋り出したショタに対して、ゴリが不思議そうな顔をする。


「ショタ……マグロは今、何て言ったんだ?」
「『一日の始まりセックスはオレが良かったのに』って! そんなこと気にしてたら、商売あがったりですよね!」
「流石だな……」


 ショタはプンプンと愛らしく怒りつつ、頬を膨らませながら、事務所の奥にある部屋へ向かって歩き出す。

 ショタが向かった先……シャワー室に向かって、マグロも歩き出した。
 そんな二人を見て、ゴリが口を開く。


「朝礼までには戻ってくるように!」
「は~い!」


 ゴリの言葉に、ショタは元気よく返事をし、マグロは三回程頷きで返した。
 ショタとマグロがシャワー室に向かったのを見て、BBは頬杖をつきながら、ゴリに視線を向ける。


「僕らも、一日の始まり『せっくす』……しときます?」


 意地悪く微笑むBBを見て、一瞬だけ逡巡するような態度を見せたゴリに、BBは思わず笑う。


「あはっ! 冗談に決まってるやろ?」
「むっ……そ、そうか」


 ゴリは自分の頬を、照れ臭そうに掻きながら……ポツリと、呟く。


「俺は……ありだな、と……思ったんだが」


 ゴリの呟きに、BBは目を丸くする。
 暫くして、シャワー室からショタの喘ぎ声が聞こえてくると……BBが、立ち上がった。

 BBは自身のベルトを外し、ゴリのデスクに近寄る。


「一回だけなら……業務に支障、きたさないやろ?」


 BBがそう言い終わると同時に、ゴリの唇が……BBの唇に、重ねられた。

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