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【先輩は綺麗でいながら】 *
12 *
しおりを挟む俺は浅水先輩にしがみついたまま、小さな声で囁く。
「……今日は、そのままが……いい、です」
俺の【お願い】に、浅水先輩がきょとんとした顔をしている。
「……はっ?」
「ちゃんと、洗いました……から」
ナマでした回数は、数回しかない。
両親がいない日に浅水先輩の家に泊まって、物凄く丁寧に後ろを洗われたとき。そういうときにしか、ナマではシない。
俺がそこまで、丹念に慣らしてきたこと。自分自身で洗ってきたことが、予想外なのだろう。浅水先輩はただひたすらに、驚いている様子だ。
このままこうして、くっついているのも嫌ではないけれど……っ。
──俺の体はもう、限界を迎えている。
「──お願い、します……っ! もう、欲しくてたまらないんです……っ」
──早く、浅水先輩とひとつになりたい。
普段なら絶対に、こんなねだり方はしなかった。恥ずかしいし、なんだったら頼まれたって言わないと思う。
だけど……こうやって触れ合えるのは、久し振りで。
──本当は大会のための練習期間は……少し、寂しかった。
だから、いつもより素直になれているのかもしれない。……なんて、頭の片隅で自己を分析する。
浅水先輩は少し悩んだような素振りをしたが……やがて、小さく頷いた。
「……分かった」
「ひ……っ!」
指が引き抜かれたかと思うと、腰を引き寄せられる。驚いて声を上げると、腰を持ち上げられた。
「痛かったら、遠慮と我慢をしないですぐ言うように」
学校指定の水着を下ろして、中から太くて立派なものが視界に映る。
──俺相手に、こんな……っ。そそり立った浅水先輩のモノに、目が奪われた。
……それもそうだろう。それは、どれだけ俺に興奮しているかという……証、なのだから。
持ち上げられた腰をゆっくりと下ろされ、浅水先輩のものが尻穴にあてがわれる。
「んっ」
先端が触れただけなのに、体が跳ねてしまう。触れたところから伝わる熱に、溶けてしまいそうだ。
「好きだよ、岡本。可愛くて、堪らない」
「ん、んっ」
想いを伝えた唇が、重ねられる。くぐもった声を上げた、丁度その瞬間。
「──ッ!」
一気に。浅水先輩のモノが、奥深くまで……突き刺された。
ついさっき『痛かったら言うように』なんて、俺のことを心配してくれていたのに。そんな発言をした人がする行為とは思えないほど、乱暴だった。
目の奥が、チカチカする。熱くて太くて硬いものが突然押し込まれているからか、息が苦しい。
なのに、痛みは……ない。
俺は今、浅水先輩と……エッチを、しているのだ。
女子生徒に、キャーキャー言われて。水泳部員からも信頼されている、浅水先輩が……。
──今は、俺だけを見て。
──俺に、興奮しているんだ。
「岡本……っ」
エッチをして。
快感に顔を歪めている浅水先輩を知っているのは、俺だけ。
……その事実が、言葉では形容できないほど嬉しい。
「締め付けが、凄い……ヤバイ」
「は、恥ずかしいことばっかり、言わないで……っ」
「とか言いながら……今、締め付けたでしょう?」
「し、知らないですっ! あっ!」
ズルズルと、引き抜かれていく。
久し振りの【犯されている】という感覚に。……背筋が、ゾワゾワした。
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