上 下
64 / 99
【家族以上】 *

5 *

しおりを挟む



 俺とシチの関係を、他の誰かに知られるわけにはいかない。

 だから俺は、シチに三つの約束を取り付けた。

 ――叔父である俺と、甥であるシチが、触れ合ったり……ましてや、セックスをしていることは、誰にも言わない。

 ……これは、当たり前のことだろう。

 だが、もう二つの約束。

 【一人で自慰行為をしない】という約束と【俺以外を好きにならない】という約束は。

 ……ただの大人げない、独占欲だ。

 だと言うのに、シチは素直だから……疑いもせず、三つの約束をきちんと守っているらしい。


「おじ、さ……ぼく、もぉ……んっ!」


 最後にシチとセックスをしたのは、三ヶ月前だ。

 溜まっていたっておかしくない期間だろう。

 限界を訴えているシチに応えるよう、俺は逸物を扱く手の速度を上げる。

 それだけでは飽き足らず、俺はシチの胸元に添えていた左手で、シチの乳首をつねった。


「――やぁ、あっ!」


 不意に与えられた快感に、シチが一際大きな声を上げる。


「出していいぞ、ほら」


 左手で乳首を弄り、右手で強く逸物を扱く。

 二ヶ所へ与えられる快感に、シチの体が大きく跳ねた。


「あ、あぁっ! おじさ、あっ、んん……っ!」


 ビクビクと、体を震わせながら。

 ――シチは浴衣の下で、勢いよく精液を吐き出す。

 シチが射精している最中も、愛撫の手は止めない。

 まるで手の動きに合わせるているかのように、数回に分けて精液が迸る。


「は、ぁ……はぁっ、ん……っ」


 三ヶ月ぶりの射精に、シチは満足そうに息を吐く。

 普段は涼やかな瞳が、今ではトロンと蕩けきっている。

 しがみついていた手を上げたままにしている余力も、無いらしい。

 ダラリと腕を下ろし、そのまま肩で息をしている。

 完全に惚けきっているシチは、ぼんやりと俺を見ていた。


「凄い量だな。……手が、ベトベトだ」


 扱くのをやめて、浴衣の下から手を出す。

 手に付いたシチの精液を眺めて、思わずひとりごちた。

 まるで俺に続くかのように、シチも俺の手を見る。


「はぁ……いっぱい、でた……っ?」
「あぁ。凄くドロドロして、かなり濃いやつがな」
「うれ、しぃ……っ?」


 視線を手から俺の顔に戻したシチが、未だに惚けたままの表情で、俺を見上げた。

 この量と濃さは、シチが俺との約束を守っていた証。

 ……不快に思うはずがない。


「そうだな。嬉しいよ」
「そう……」


 俺の返事に、シチが口角を上げる。

 ――クソ、可愛い。

 上気させた頬と、蕩けきった瞳。

 うっすらと開かれた唇の中から覗く、赤い舌。

 ――その全てが、愛おしくて仕方ない。


「あ……っ」


 突然、シチが小さく跳ねた。


「どうした?」


 逸物を扱いてもいないし、乳首も弄っていない。

 いったいなにに反応したのかと、腕の中にいるシチを見つめる。

 するとシチは、視線をさまよわせた。


「…………あ、た……ってる……っ」


 恥ずかしそうに視線を逸らしながら、シチはなにかを訴える。

 ――『当たってる』って言ったのか?

 そこで、シチの言いたいことに気付く。


「あぁ。……コレか?」
「ふぁっ!」


 シチの尻に、わざと。

 ――『当たってる』モノを、押し付けた。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件

水野七緒
BL
ワケあってクラスメイトの女子と交際中の青野 行春(あおの ゆきはる)。そんな彼が、ある日あわや貞操の危機に。彼を襲ったのは星井夏樹(ほしい なつき)──まさかの、交際中のカノジョの「お兄さん」。だが、どうも様子がおかしくて── ※「目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件」の続編(サイドストーリー)です。 ※前作を読まなくてもわかるように執筆するつもりですが、前作も読んでいただけると有り難いです。 ※エンドは1種類の予定ですが、2種類になるかもしれません。

【完結】遍く、歪んだ花たちに。

古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。 和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。 「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」 No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。

幼馴染は俺がくっついてるから誰とも付き合えないらしい

中屋沙鳥
BL
井之原朱鷺は幼馴染の北村航平のことを好きだという伊東汐里から「いつも井之原がくっついてたら北村だって誰とも付き合えないじゃん。親友なら考えてあげなよ」と言われて考え込んでしまう。俺は航平の邪魔をしているのか?実は片思いをしているけど航平のためを考えた方が良いのかもしれない。それをきっかけに2人の関係が変化していく…/高校生が順調(?)に愛を深めます

キンモクセイは夏の記憶とともに

広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。 小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。 田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。 そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。 純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。 しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。 「俺になんてもったいない!」 素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。 性描写のある話は【※】をつけていきます。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

離したくない、離して欲しくない

mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。 久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。 そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。 テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。 翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。 そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。

別に、好きじゃなかった。

15
BL
好きな人が出来た。 そう先程まで恋人だった男に告げられる。 でも、でもさ。 notハピエン 短い話です。 ※pixiv様から転載してます。

龍神様の住む村

世万江生紬
BL
村一番の腕っぷしを持つ龍平は、龍神退治に向かいました。 本編は2話。後は本編のおまけと季節のお話です。

処理中です...