BL短編集[作:ヘタノヨ コヅキ]

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

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【家族以上】 *

4 *

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 シチの逸物は、浴衣の下で存在を主張している。

 俺が触ったときには、既にそうなっていた。

 ……ということは、俺が触る前から勃起させていたのだろう。


「いつから勃たせてた?」


 右手で硬くなった逸物を握ると、シチが目を閉じる。


「うしろから、ぎゅって……されたときから」


 倒れそうになっていたシチを、俺が支えたときからだったらしい。


「とんだ淫乱だな」
「いん、らん……?」
「エロイってことだ」


 握ったシチの逸物を、弱い力で上下に擦る。


「あ、んっ」


 俺の頭を撫でていたシチの手が、まるでしがみつくように、力を強めた。


「は、あ……もっと、つよくして……っ」


 開かれた瞳が、潤んでいる。

 形のいい唇からは、切なげな吐息が漏れ出ていて……なんとも、官能的だ。

 どれだけ綺麗でも、どこか幻想的な容姿をしていても。

 ――シチが【健全な男】なのには、変わりない。

 勃起だってするし、気持ちいいことが好きなのだって、変なことではないだろう。

 だが、決してこれは普通の行為ではない。

 ――快楽を提供してくれている相手が、自分の叔父なのだから。

 ゆるゆると、手を上下に動かす。

 そうすると、またもやシチは切なげな吐息を漏らした。


「あ、はぁ……もっとぉ……っ」


 ――この程度の扱きで、イけるわけがない。

 『射精したい』という、男としての欲望と。

 気持ちいいことには変わりない現状の、板挟み。

 シチは、辛そうだ。


「――約束はちゃんと守ってるか?」


 ――だから俺は、意地悪をしたくなった。

 俺の問いに、シチは何度も頷く。


「うん、うん……っ。まもっ、てる……っ」
「俺との約束、口に出して言えるよな?」


 シチは潤んだ瞳を俺に向けたまま、震える唇を動かした。


「だれにも、おじさんと……えっちなことしてるの、いわないっ」
「それと?」
「ひとりで、えっちなこと……しない」
「もう一つは?」


 シチが、耳まで赤くなる。


「――おじさん、いがいのひと……すきに、ならない……っ」


 ……勃起した逸物を触ってと言うのは恥ずかしくないのに、俺に『好き』と言うのは、恥ずかしいらしい。

 色白な顔が真っ赤に染まっているのを見るのは、妙な背徳感を得られて……好きだ。


「ちゃんと、まもってるから……おじさん、おねがい……っ」


 シチの赤く染まった頬に、触れるだけのキスを落とす。


「いい子だ」


 そう呟き、俺はシチの逸物を強く握った。


「――あっ!」


 腕の中で、シチが体を大きく跳ねさせる。

 ビクンと反応を示したシチは、驚いたような声を上げた。

 ――俺とシチがやっていることは、到底許される行為ではない。

 俺たちは、男同士。
 ……しかもシチは、俺の【甥】だ。

 ――手を出していい相手では、ない。

 ……それでも、俺は。

 ――シチに誘われるがまま……手を、出してしまった。


「あ、あっ! おじ、さ……あっ!」


 何度も上下に扱くと、シチが断続的な悲鳴を上げる。

 シチが本当に、俺との約束を守っているのなら……。

 過剰に見えるこの反応にも、納得ができた。




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