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【天使に翼を手折られたい】 *
9 *微
しおりを挟む俺の家族に、俺が佐渡様を強姦しているように見せて? ……それで、佐渡様はいったいなにを?
佐渡様は笑顔のまま、俺の答えに付け足した。
「──真宵君がヘンタイだって知ったら、家族はどう思うのかな?」
──まさか。
「──優秀なご両親が一生懸命育てたはずの息子が、同級生のか弱い男の子をレイプしてるなんて……。知っちゃったらきっと、家族はショックだろうね~?」
今回の目的は、佐渡様自身が虐められることではないのだ。
──いつもと変わらない、俺への加虐行為。……家族を巻き込むほど、佐渡様はご立腹なのだ。
「さ、佐渡様、お考え直しを──」
「なに? ボクが相手だと勃たない?」
「いえ、痛いくらいに勃起しているのは変わりありませんが……っ!」
「なら早くハメちゃえばいいじゃん?」
佐渡様は、笑顔のまま俺を見ている。
第三者が見たら、主導権は俺にあると思うだろう。……だが、実際は全然違う。
俺は急いで頭を下げ、土下座の姿勢を作る。
「佐渡様、お散歩の件でしたら何度でも謝罪させて頂きます。ですので、どうかお怒りを鎮めてください……っ」
「そんなことで、別に怒ってないんだけど」
「えっ? 違うのですか?」
顔を上げると、佐渡様が冷めた目で俺を見下ろしていた。
佐渡様は、怒っていない? つまり俺の、勘違い?
……いや、違う。佐渡様は確かに、怒ってらっしゃる。
だがそれは、昼休みのお誘いを無下にしてしまったことにではない。
ならば、いったいなにに? 考えても分からない俺を、佐渡様は見下ろしたままだ。
「いつまで待たせるの?」
この状況を、家族に見せるわけにはいかない。
けれど、佐渡様を抱かなくてはいけない状況。
ならば、できることはひとつ。
「佐渡様……っ」
──親が帰ってくるよりも早く、佐渡様を気持ち良くして、機嫌を取る。
……いや、なんだその方法は。我ながら馬鹿らしい方法ではあると思う。が、しかし。今の俺にできるのは、それしかないだろう。
俺がいくら謝ったところで、佐渡様の苛立ちを助長させるだけ。ならば、行為に及んで満足させるしかない。
俺は土下座をやめ、ソファに寝そべった佐渡様の上に乗り、ズボンのベルトを外す。
チャックを下げ、はち切れんばかりに勃起した逸物を取り出すと、佐渡様が口角を上げた。
「あはっ。ヤる気満々だね~っ?」
「佐渡様の裸体を見て、平静は装えません」
本心を口にすると、佐渡様の眉が小さく動いた……気がする。
「……ふ~ん、そう」
どういう意味でそう呟いたのかは、俺には分からない。
佐渡様の腰を持ち上げて、小振りなお尻を浮かせる。先端を佐渡様の尻穴に当てると、佐渡様の体が小さく動いた。
「佐渡様、挿れさせていただきます」
「どうぞ~」
愛しい主の尻に、自身の粗末な逸物を添えている。……その事実だけで、射精できそうだ。
が、なんとか堪える。堪えるのだ、俺……ッ!
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