上 下
20 / 29
第8話【確信】

後編 *

しおりを挟む
 何度椎葉に犯されようと、準備もしていない肛門で男性器を受け止めるだなんて、無理な話だ。


「ひあぁッ!」


 激しい痛みに、真駒は情けなく悲鳴をあげる。
 慣らすこともなく、椎葉は優しさの無い腰遣いで真駒を犯す。


「流石に、自分勝手なんじゃない?」
「痛い、痛ッ! やだ、いやだ……ッ!」
「だから何? 止めるとでも思った?」


 椎葉は、笑みを浮かべていなかった。その理由が分からず、真駒は両目から涙を溢れさせながら、悲鳴をあげ続ける。


「いや、嫌ですッ! 抜いて、抜いてくだ――あッ! 奥、痛ッ、あぁッ!」


 断続的な悲鳴をあげても、椎葉は笑わなかった。真駒が涙を流せば、いつだって椎葉は満足そうに笑っていたのに……向けられる眼差しは、酷く冷淡なものだ。


(何で、何で? 俺、何かしたのか……?)


 自分の胸に問うてみても、答えが分からない。真駒が分かっているのは、椎葉が怒っているということだけ。その理由を知りたい。けれど、口に出せない。


「痛い、やだ課長ッ、あッ!」
「真駒君、どうしたの? これは取引だよ?」


 椎葉はそう言うと、真駒の手を傷付いた自身の首に導く。


「ほら……触らないの?」
「あッ、は……うッ!」


 どれだけ傷付いても、どれだけ汚れても……何度見ても、椎葉の首は美しい。

 ――けれど、これ以上傷付けたくない。

 真駒は椎葉の首から手を離し、視線を逸らした。それを見た椎葉が、もう一度舌打ちをする。


「そう……本当に、酷いね。……君はッ!」
「あぁッ!」


 椎葉が無理矢理、真駒の秘所へ逸物を突き穿つ。身を引き裂かれるような痛みに真駒は背を仰け反らせると、苦し気な悲鳴をあげた。

 それでも、椎葉の動きは止まらない。愛情も優しさも感じられない抽挿は、真駒のことを痛めつけることしか考えていないような――謂わば、暴力だ。

 真駒は涙を流しながら、悲鳴をあげ続ける。
 けれど、椎葉の首には触れようとしない。


「いぁッ! あッ、はぁッ! やだッ、痛い、痛いぃッ!」


 痛くてどうしようもないのに、椎葉の首に触れてしまいたいのに……真駒はそれでも必死に耐える。
 椎葉の体が小さく震えると同時に、真駒は内側に熱い飛沫を注がれた。


「ひぁあッ! あ、あぁ……ッ!」


 中に精液を吐き出される感覚は、何度経験しても決して慣れない。真駒は体を硬直させたまま、椎葉の熱を必死に受け止める。

 すると……椎葉の大きな手が、真駒の髪を乱暴に掴んだ。


「ねぇ……これで終わりだなんて、思ってないよね?」
「ひ――痛ッ、あぁッ!」


 いつもなら一度の射精で終わるのに、今日の椎葉はそれで良しとしなかった。残虐な性交が、再び始まる。

 ――結局……真駒の意識が飛ぶまで、椎葉は真駒のことを凌辱し続けた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

旦那様と僕・番外編

三冬月マヨ
BL
『旦那様と僕』の番外編。 基本的にぽかぽか。

琥珀いろの夏 〜偽装レンアイはじめました〜

桐山アリヲ
BL
 大学2年生の玉根千年は、同じ高校出身の葛西麟太郎に3年越しの片想いをしている。麟太郎は筋金入りの女好き。同性の自分に望みはないと、千年は、半ばあきらめの境地で小説家の深山悟との関係を深めていく。そんなある日、麟太郎から「女よけのために恋人のふりをしてほしい」と頼まれた千年は、断りきれず、周囲をあざむく日々を送る羽目に。不満を募らせた千年は、初めて麟太郎と大喧嘩してしまい、それをきっかけに、2人の関係は思わぬ方向へ転がりはじめる。

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした

たっこ
BL
【加筆修正済】  7話完結の短編です。  中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。  二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。 「優、迎えに来たぞ」  でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。  

ヤンキーDKの献身

ナムラケイ
BL
スパダリ高校生×こじらせ公務員のBLです。 ケンカ上等、金髪ヤンキー高校生の三沢空乃は、築51年のオンボロアパートで一人暮らしを始めることに。隣人の近間行人は、お堅い公務員かと思いきや、夜な夜な違う男と寝ているビッチ系ネコで…。 性描写があるものには、タイトルに★をつけています。 行人の兄が主人公の「戦闘機乗りの劣情」(完結済み)も掲載しています。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

僕たち、結婚することになりました

リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった! 後輩はモテモテな25歳。 俺は37歳。 笑えるBL。ラブコメディ💛 fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。

処理中です...