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第6話【取引】
後編 *
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触れられる距離に、椎葉の首がある。
真駒は涙を流しながら、自身を犯す椎葉を見上げた。
「く、首……首、もっと……ッ」
「近付けて欲しい? どうしたいの?」
「か、噛ませて……ください……ッ」
真駒が椎葉に犯されているのは、取引だからだ。真駒の体を椎葉が好きに虐める代わりに、真駒は椎葉の首を好きにする権利が与えられる。それが、椎葉が提案した取引だった。
椎葉は意地悪く口角を上げたまま、真駒の口元に首筋を寄せる。
真駒は近付けられた椎葉の首に、舌を這わせた。
「は……ふぁ、ん……っ」
「あはっ。くすぐったいよ?」
「あ……ッ!」
この取引は、どう見たって真駒が不利だ。
椎葉は真駒の体全てを好きにできるのに、真駒が好きにできるのは首だけ。椎葉の首に舌を這わせただけで、真駒は逸物で奥を穿たれ、痛めつけられる。
不毛な取引だと、真駒は分かっていた。
――それでも、真駒にとっては幸せなのだ。
「課長……かちょぉ……っ! もっと、首……近くにぃ……ッ」
受け入れられたとは到底言えない状況だけれど、夢にまで見ていた椎葉の美しい首を好きにできる。自分さえ犠牲にすれば真駒は首を絞めることもできるし、引っ掻くことも舌を這わせることもできるのだ。そういう権利を得られる、取引なのだから。
――真駒は、それだけで満足なのだ。
椎葉の腰遣いがより一層激しいものとなるも、真駒は苦痛による涙を流しながら、寄せられた椎葉の首を必死に舐めた。
「ん、ぅ……ッ! は、あっ、あッ!」
「そろそろ、ナカに出すよ……っ」
「あ、ふぁ……ふ、あぁ……んぅッ!」
椎葉の熱が、内側に注がれる。その感覚に、真駒は眉を寄せながら耐えるよう……椎葉の首筋に、噛み付いた。
遠慮容赦なく、内側に何度も椎葉の熱が吐き出される。嫌悪感を抱いてもおかしくないのに、真駒の逸物は何故か……触れもせずに射精していた。
(課長の首……凄い……っ)
汗ばんだ首筋はしょっぱく、しっとりとしている。きめ細かい肌は、今まで口にしたどんな食べ物よりもクセになる歯触り。真駒が射精するのには十分すぎる程、椎葉の首は魅力的だった。
お互いに熱を吐き出し、肩で息をする。そんな中、先に口を開いたのは椎葉だった。
「痛いなぁ……これから、仕事なのに」
痛いのは、真駒だって同じだ。真駒がそう言ったところで、椎葉が素直に謝るとは思えないが……真駒は悲しげに眉を寄せる。
そんな真駒を見て、椎葉は満足そうに笑っていた。
「取引、どうだった?」
逸物を引き抜かれ、真駒は体を小さく震わせる。下半身の痛烈な痛みに、真駒は返事を迷った。
椎葉の首を好き勝手できるのは、美点だ。何にも代えがたい。
けれど、真駒は決して痛め付けられることが好きなわけではない。痛いことは嫌いだ。
――それでも、迷いは一瞬にして晴れる。
「……続け、たい……です……っ」
不毛な関係になると分かっていながら、真駒は呟く。
その唇に、椎葉の唇が重ねられた。
真駒は涙を流しながら、自身を犯す椎葉を見上げた。
「く、首……首、もっと……ッ」
「近付けて欲しい? どうしたいの?」
「か、噛ませて……ください……ッ」
真駒が椎葉に犯されているのは、取引だからだ。真駒の体を椎葉が好きに虐める代わりに、真駒は椎葉の首を好きにする権利が与えられる。それが、椎葉が提案した取引だった。
椎葉は意地悪く口角を上げたまま、真駒の口元に首筋を寄せる。
真駒は近付けられた椎葉の首に、舌を這わせた。
「は……ふぁ、ん……っ」
「あはっ。くすぐったいよ?」
「あ……ッ!」
この取引は、どう見たって真駒が不利だ。
椎葉は真駒の体全てを好きにできるのに、真駒が好きにできるのは首だけ。椎葉の首に舌を這わせただけで、真駒は逸物で奥を穿たれ、痛めつけられる。
不毛な取引だと、真駒は分かっていた。
――それでも、真駒にとっては幸せなのだ。
「課長……かちょぉ……っ! もっと、首……近くにぃ……ッ」
受け入れられたとは到底言えない状況だけれど、夢にまで見ていた椎葉の美しい首を好きにできる。自分さえ犠牲にすれば真駒は首を絞めることもできるし、引っ掻くことも舌を這わせることもできるのだ。そういう権利を得られる、取引なのだから。
――真駒は、それだけで満足なのだ。
椎葉の腰遣いがより一層激しいものとなるも、真駒は苦痛による涙を流しながら、寄せられた椎葉の首を必死に舐めた。
「ん、ぅ……ッ! は、あっ、あッ!」
「そろそろ、ナカに出すよ……っ」
「あ、ふぁ……ふ、あぁ……んぅッ!」
椎葉の熱が、内側に注がれる。その感覚に、真駒は眉を寄せながら耐えるよう……椎葉の首筋に、噛み付いた。
遠慮容赦なく、内側に何度も椎葉の熱が吐き出される。嫌悪感を抱いてもおかしくないのに、真駒の逸物は何故か……触れもせずに射精していた。
(課長の首……凄い……っ)
汗ばんだ首筋はしょっぱく、しっとりとしている。きめ細かい肌は、今まで口にしたどんな食べ物よりもクセになる歯触り。真駒が射精するのには十分すぎる程、椎葉の首は魅力的だった。
お互いに熱を吐き出し、肩で息をする。そんな中、先に口を開いたのは椎葉だった。
「痛いなぁ……これから、仕事なのに」
痛いのは、真駒だって同じだ。真駒がそう言ったところで、椎葉が素直に謝るとは思えないが……真駒は悲しげに眉を寄せる。
そんな真駒を見て、椎葉は満足そうに笑っていた。
「取引、どうだった?」
逸物を引き抜かれ、真駒は体を小さく震わせる。下半身の痛烈な痛みに、真駒は返事を迷った。
椎葉の首を好き勝手できるのは、美点だ。何にも代えがたい。
けれど、真駒は決して痛め付けられることが好きなわけではない。痛いことは嫌いだ。
――それでも、迷いは一瞬にして晴れる。
「……続け、たい……です……っ」
不毛な関係になると分かっていながら、真駒は呟く。
その唇に、椎葉の唇が重ねられた。
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