短編集[作:ヘタノヨ コヅキ]

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

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【残念イケメンVS残念イケメン(仮)?!】

オマケSS【二人は似た者同士?】 上

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 この物語は、小野賀壱馬と我之白華が付き合い始めてすぐのこと。


「それじゃあ、日誌を職員室に持って行くね」
「おう」
「うん」


 放課後。我之は書き終えた日誌を持ち、教室から出て行った。
 そんな我之に返事をしたのは、小野賀ともう一人──我之の幼馴染み、皆葉杏歩だ。

 こうして三人で集まっているのは、我之の一言が原因だった。


『駅前のファミレスで使えるクーポンを三枚も貰ったんだ。せっかくだし、三人で行かない?』


 ということで、集まっている。

 しかし我之がいないと、特に話すことはない。なぜなら小野賀と皆葉は、友人というわけではないのだから。

 しかし皆葉は人見知りをせず、小野賀も人見知りとは無縁。ゆえに、共通の知り合いである我之がいなくなっても、あまり接点の無い二人は特段、気まずくなかった。

 ……と、皆葉は思っていたのだが。


「──ムカつくな」


 小野賀が突然、不穏すぎる独り言を呟いたではないか。


「クソッ、我之め……!」


 しかも、相手は皆葉の幼馴染みであり、小野賀にとって恋人である我之らしい。どうにも、不穏だ。

 皆葉はスマホを弄りながら、小野賀に返事をする。


「なに? 喧嘩でもしたの?」
「違うッ! 誰もが羨むほどには円満だッ! ……なにを言わせるんだお前はッ!」
「うへぇ、めんどくさぁ~っ」


 皆葉のぼやきはスルーしつつ、小野賀は絵に描いたような不遜すぎる態度で腕を組んだ。


「女のクセに、カッコ良さで男の上に立とうとするだなんて……ムカつくとは思わないかッ!」
「いやそんな今さらすぎる話に同意を求められても……」


 頭を掻きつつ、皆葉は小野賀を見た。


「じゃあさ、白華が男だったら?」
「なんだとっ?」

「この距離で聞こえなかったの? どういう耳してるのさ。……あ、日頃から大声出してるから耳がイカれちゃった?」
「聞こえてるわッ! ……お前さては、俺様に我之を盗られて妬んでいるのか? ハーッハッハッハ! 悪いな! 我之は俺様の──」

「──迷惑すぎる解釈にキレそう」
「──お前ホントに辛辣すぎないかッ?」


 プンプンと分かり易すぎるくらいに怒りを示した小野賀は、腕を組み直す。


「しかし、なるほど。我之が男だったら、か……」


 腕を組んで数回頷いた後、小野賀は立ち上がる。
 そしてあろうことか、ビシッ! と、皆葉を指で指した。


「我之が男だったら、だろう? ……フンッ! そんなのは決まっているッ! いいか、アイツが男だったらなァッ!」


 指を指し、小野賀は皆葉を見下ろす。

 ──いや。別にそんな勿体ぶるような話題でもなくない? というツッコミをしたら、きっと話が長くなる。暴走気味でポンコツな幼馴染みを持っている皆葉は、そう直感した。

 そしてだいたいその予感は的中するのだから、困りものだ。


「うんうん。白華が男だったら?」


 全てを投げ出した皆葉は、スマホを片手に返事をする。小野賀の言葉を聴く準備は、万全だ。

 ……しかし、どういうことか。


「……。…………。……?」


 小野賀は皆葉を指したままピタリと動きを止めて、続きをなかなか言おうとはしなかった。 




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