短編集[作:ヘタノヨ コヅキ]

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

文字の大きさ
上 下
56 / 78
【残念イケメンVS残念イケメン(仮)?!】

最終話【二人はそれでもライバル?】

しおりを挟む



 それから、数日後の朝。


「──我之はいるかァアッ!」


 騒々しい足音と共に、教室の扉が壊れんばかりの勢いで開かれる。
 勢い良く教室の扉を開けた小野賀を、教室にいる生徒総出で振り返った。

 ──ただ一人を除いて。


「やぁ、小野賀。今日は随分とご機嫌斜めじゃないか」
「ようッ、我之。そういうお前は随分とゴキゲンそうだなァ?」


 例によってズカズカと我之に近寄り、小野賀は一枚の新聞を机に叩きつける。


「それよりも……お前ッ! 今朝の校内新聞はなんだッ! どうして俺様よりも写真が大きいッ!」


 そこには、小野賀と我之が個別に受けたインタビュー記事が載っていた。
 しかし小野賀が指摘する通り、小野賀よりも我之の写真が大きい。

 我之はチラリと新聞を見つめた後、肩を竦めてみせた。


「さぁね。……もしもあえて理由を考えるのなら、新聞部の子はキミよりも私の方が【格好いい】と思ったんじゃないかい?」
「減らず口をぉお……ッ!」


 ヒートアップする小野賀に対し、我之は普段通り冷静に相槌を打つ。
 すると不意に、我之が笑みをこぼした。


「ふふっ」


 少し前まで、我之は『小野賀とこうして話すことは二度とできないんじゃないか』と。ずっと、不安だった。

 けれど、いつもと変わらない調子絵小野賀が話しかけてくれている。その事実が嬉しくて、堪らず笑みをこぼしたのだ。

 我之が微笑んだ、その瞬間。


「──ぅわっ!」


 小野賀が、我之の顔を片手で隠した。


「……お、小野賀? この手は、いったい……?」
「笑うな、マヌケ」
「ま、まぬけ……っ!」


 突然の暴言に、我之は驚く。
 なにか怒らせてしまったのかと、我之が落ち込みかける。

 ──その時。


「──気取っていないお前の笑顔は、可愛すぎる……ッ! むやみやたらと、俺様以外の前でその可愛さを晒すな、バカッ!」
「──っ!」


 二人の世界が構築されていく中、一人の生徒がポツリと呟いた。


「──ポンコツ彼女とポンコツ彼氏、かぁ……」


 皆葉の呟きは、教室にいる生徒──ひいては学校中の生徒、全員の気持ちだ。

 ──そう。校内イケメンランキング一、二を争うライバル同士の二人は、バカップルなのであった!




【残念イケメンVS残念イケメン(仮)?!】 了




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

処理中です...