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【残念イケメンVS残念イケメン(仮)?!】
最終話【二人はそれでもライバル?】
しおりを挟むそれから、数日後の朝。
「──我之はいるかァアッ!」
騒々しい足音と共に、教室の扉が壊れんばかりの勢いで開かれる。
勢い良く教室の扉を開けた小野賀を、教室にいる生徒総出で振り返った。
──ただ一人を除いて。
「やぁ、小野賀。今日は随分とご機嫌斜めじゃないか」
「ようッ、我之。そういうお前は随分とゴキゲンそうだなァ?」
例によってズカズカと我之に近寄り、小野賀は一枚の新聞を机に叩きつける。
「それよりも……お前ッ! 今朝の校内新聞はなんだッ! どうして俺様よりも写真が大きいッ!」
そこには、小野賀と我之が個別に受けたインタビュー記事が載っていた。
しかし小野賀が指摘する通り、小野賀よりも我之の写真が大きい。
我之はチラリと新聞を見つめた後、肩を竦めてみせた。
「さぁね。……もしもあえて理由を考えるのなら、新聞部の子はキミよりも私の方が【格好いい】と思ったんじゃないかい?」
「減らず口をぉお……ッ!」
ヒートアップする小野賀に対し、我之は普段通り冷静に相槌を打つ。
すると不意に、我之が笑みをこぼした。
「ふふっ」
少し前まで、我之は『小野賀とこうして話すことは二度とできないんじゃないか』と。ずっと、不安だった。
けれど、いつもと変わらない調子絵小野賀が話しかけてくれている。その事実が嬉しくて、堪らず笑みをこぼしたのだ。
我之が微笑んだ、その瞬間。
「──ぅわっ!」
小野賀が、我之の顔を片手で隠した。
「……お、小野賀? この手は、いったい……?」
「笑うな、マヌケ」
「ま、まぬけ……っ!」
突然の暴言に、我之は驚く。
なにか怒らせてしまったのかと、我之が落ち込みかける。
──その時。
「──気取っていないお前の笑顔は、可愛すぎる……ッ! むやみやたらと、俺様以外の前でその可愛さを晒すな、バカッ!」
「──っ!」
二人の世界が構築されていく中、一人の生徒がポツリと呟いた。
「──ポンコツ彼女とポンコツ彼氏、かぁ……」
皆葉の呟きは、教室にいる生徒──ひいては学校中の生徒、全員の気持ちだ。
──そう。校内イケメンランキング一、二を争うライバル同士の二人は、バカップルなのであった!
【残念イケメンVS残念イケメン(仮)?!】 了
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