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33話 お泊り
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「先生、暑いの?女の子の前で、こんなにシャツはだけさせて」
そういってレオは大翔のボタンを第1までしっかひりと締め、ネクタイも思いっきり締めた。
「ぐ…苦しいです、それ首絞めてます…頸動脈が…」
「え~?ごめんね~?」
(なんか先輩怒ってる?顔は笑ってるけど)
大翔はレオのいつもと違う雰囲気が気になった。
初音は少し離れて、目をキラキラさせて、2人を舐めるように見つめている。
「先輩、このポスター…作ったんですか?仕事早すぎません?」
「先生のために時間作ってやらせていただきました」
「レセプションパーティーなんて話し、してないですよね??」
「昨日、車で言ったよ。大翔は恋人繋ぎしに照れててそれどころじゃなかったみたいだけど」
「恋人繋ぎ…?」
「指を絡めるやつ、こーやって。やったでしょ、昨日」
レオは大翔の右手と自分の右手を絡めて、体も近づけた。
初音の目はギラギラして、それを見ている。
「先輩、ちょ…人前でそういうこと…」
大翔の顔が青ざめて歪む。
「あ~ごめん~。2人きりの時だけにするね?」
「そういうことではなくて…」
レオは初音をちらっと見た。初音はドキッとした。
「この忙しい時期に女の子と2人で何してたの?」
「飲み物買いに来ただけじゃないですか…」
「なんで4本も?」
「今、話し合いしてるんで、もう行きます」
「放課後に女子と何を話し合いすんの?2人きりでどこにいんの?俺も行く~」
「めちゃくちゃ大事な人生かけた話だからダメです!!」
「そんなん言われたら絶対行く」
レオは大翔の腰を持って、二人はギャーギャーいいながら歩き始めた。
初音は胸の高鳴りが止まらなかった。
(これが…当て馬…?千鶴ちゃんの当て馬願望の気持ちがわかった…………)
2人を眺めながら、初音は後ろをゆっくりついて行った。
「2人は連れ子同士の再婚で、千鶴ちゃんは蒼 零士の隠し子ということか…」
レオがホワイトボードの前で立ちながら話を整理していた。他の4人は座って話を聞いている。
ホワイトボードの右端にはNakamitsu Taishiデビュー展のポスターが何枚か重ねて磁石で貼り付けてある。
「先輩、誰にも話さないでくださいよ、マジで」
「話さないし。そんなの知れ渡ったら千鶴ちゃん外歩けないじゃん」
「2人の予防接種日は1歳前は違う病院、違う日です。1歳をすぎてから同じ病院、同じ日になっているので、その頃に再婚したと思われます。翔子の日記も1歳すぎには書かれなくなりました」
湊が眼鏡を光らせ、くいっと上げながら解説した。
「素晴らしいコナン君。…千鶴ちゃん大丈夫?」
千鶴は髪の毛をクッシャクシャにして固まっていた。
「聞いたことあるかも……………」
「え?」
「3歳か4歳の時に………大翔のママと、千鶴のパパは違う人なのよって両親に直接…………」
部室はシーンと静まり返り、大翔が沈黙を破った。
「いや記憶にないし、そんなこと子どもに言う??」
「なんかゆる~いかんじで、アハハ~って空気感で告白されて…………私はそうなんだ~って反応だったんだけど。お兄……大翔が、俺は千鶴のお兄ちゃんだもん!って狂って暴れて転げ回って切れたガラスで頭の後ろ切って病院で縫った…………記憶が、いま、いきなり出てきたんだけど」
「俺そんな記憶まじでないけど」
「大翔は生まれた時から育てるの大変だったて話は聞いたことあるよね?」
「ず~と泣いてるからず~と抱っこしてたって、一人遊び一切しないし、つきっきりだったって。1日の大半は外で俺を抱っこして散歩してる生活で可愛いけど気が狂ったって…よく話してるよなオトンが」
「それが私と出会ってから、私の横にずーといて離れなくなって性格も穏やかなった、て言ってなかった?」
「そんな感じのことは言ってた」
「今思うと変だよね。双子で生まれた時から一緒なら、千鶴と出会うって何?」
「あれ………昔から聞かされてたから疑問に思わなかったけど……え………」
湊が質問をした。
「何?双子じゃないって聞かされてたの?」
「そんな気がする…私は、だから似てないんだ~って納得したんだけど、お兄ちゃんがほんとに台風の目みたいに家の中で暴れて、そこら中のものが投げられて、床が血まみれで、お母さんが泣いて、お父さんがお兄ちゃんを抱きしめてて…ドン引きした記憶が出てきたんだけど…」
「台風の目って逆に穏やかじゃなかったけ?大翔くんがそこまで暴れるから、大きくなるまでもう言わないでおこう…ってなったんじゃない?」
「うーん。ありえる。お兄…大翔って本当に頭おかしかったらしいから。絵を描くようになって情緒がかなり落ち着いたらしいけど」
腕を組んだレオが大翔に話しかけた。
「お前、そんなに千鶴ちゃん好きなの?シスコンだとは思ってたけど」
大翔はレオをキッと下から睨むように目を合わせる。
「妹だから大事なのは普通じゃないですか」
「いや、おかしい。俺も異常だとずっと思ってた。ダメだろ、お前。千鶴ちゃんと一緒に住んだら。危険すぎる」
「まさか俺が妹に手を出すとでも…?あり得ないでしょ…。俺の貞操観念知ってますよね?」
「お前の貞操観念ガバガバじゃん。俺に何回も抱きしめられてるし、昨日だって車の中で、簡単に俺に抱きつかれた上に…」
「先輩????!!!!ちょっと!!!!まっ!!!!おい!!!それ以上言うな!!!」
大翔は立ち上がってレオを口を塞ぎに言った。
初音は2人にネタバラシをしていた。
「レオ先輩に首噛まれて恋人繋ぎされたんだって」
「は?エロ」「大翔…」
揉みくちゃになっているレオはまだ話そうとする。
「なんで話したらダメなん?自分は絵にも描い…ぎゃっ!!」
興奮した猫のようにフーフーする大翔、レオは壁に追い込まれ口を塞がれた。
「今…俺と千鶴の大事な話をしてるから部外者は黙ってください!」
レオは「怒ってて可愛い~」と思うと同時に「部外者」という言葉にイラッとして、大翔を軽々と引き剥がした。
「大翔……お前、今日はうちに泊まれよ」
「はい…………?」
「千鶴ちゃんと2人で家にいるのは危険すぎるから!!!」
「俺と先輩が一緒にいる方が危険ですよ!!!!!!!」
「何を期待してんの?俺は男に手は出さないし。女とは付き合えるけど、男とは無理!今日はいつもみたいにふざけて触らないから。マジで。個展まで時間ないしそれについて、ちゃんと話したい。明日からは制作に専念してほしい」
距離を開けて話す2人。レオの目は真剣だった。
大翔はまた胸がチクッとした。
「俺…先輩といるとストレスで心臓が痛いんです…。一晩近くにいたら本当におかしくなってしまって絵を描くどころじゃなくなります…。高文展だって先輩のせいでどれだけ大変だったことか!!!」
「俺ごときに負けてどーすんの!そんな小さい心臓じゃ世界で活躍する画家になれないから鍛えろ!!!!じゃあ、このまま大翔は持って帰るから、みんな気を付けて帰ってね」
レオは大翔を引っ張って部室を去っていった。大翔の悲鳴が廊下から響き渡った。
「俺、あの2人の関係がよく分かんない」
「千鶴ちゃん……さっき廊下で当て馬されたんだけど最高だったわ…あなたの気持ち分かったよ…」
「お兄…大翔とレオ様がくっついたら私の夢叶いやすくない?ハトジュンよりも。私、アンチやめて、レオ×大翔の恋を全力で応援します!!」
「おい、それ湊くんの前で話す?」
「千鶴ちゃんの夢って何?はっちゃん知ってるの?」
空は青色からオレンジから黒に変わりつつあり、学校が閉まる時間がすぐそこにまで迫っていた。
そういってレオは大翔のボタンを第1までしっかひりと締め、ネクタイも思いっきり締めた。
「ぐ…苦しいです、それ首絞めてます…頸動脈が…」
「え~?ごめんね~?」
(なんか先輩怒ってる?顔は笑ってるけど)
大翔はレオのいつもと違う雰囲気が気になった。
初音は少し離れて、目をキラキラさせて、2人を舐めるように見つめている。
「先輩、このポスター…作ったんですか?仕事早すぎません?」
「先生のために時間作ってやらせていただきました」
「レセプションパーティーなんて話し、してないですよね??」
「昨日、車で言ったよ。大翔は恋人繋ぎしに照れててそれどころじゃなかったみたいだけど」
「恋人繋ぎ…?」
「指を絡めるやつ、こーやって。やったでしょ、昨日」
レオは大翔の右手と自分の右手を絡めて、体も近づけた。
初音の目はギラギラして、それを見ている。
「先輩、ちょ…人前でそういうこと…」
大翔の顔が青ざめて歪む。
「あ~ごめん~。2人きりの時だけにするね?」
「そういうことではなくて…」
レオは初音をちらっと見た。初音はドキッとした。
「この忙しい時期に女の子と2人で何してたの?」
「飲み物買いに来ただけじゃないですか…」
「なんで4本も?」
「今、話し合いしてるんで、もう行きます」
「放課後に女子と何を話し合いすんの?2人きりでどこにいんの?俺も行く~」
「めちゃくちゃ大事な人生かけた話だからダメです!!」
「そんなん言われたら絶対行く」
レオは大翔の腰を持って、二人はギャーギャーいいながら歩き始めた。
初音は胸の高鳴りが止まらなかった。
(これが…当て馬…?千鶴ちゃんの当て馬願望の気持ちがわかった…………)
2人を眺めながら、初音は後ろをゆっくりついて行った。
「2人は連れ子同士の再婚で、千鶴ちゃんは蒼 零士の隠し子ということか…」
レオがホワイトボードの前で立ちながら話を整理していた。他の4人は座って話を聞いている。
ホワイトボードの右端にはNakamitsu Taishiデビュー展のポスターが何枚か重ねて磁石で貼り付けてある。
「先輩、誰にも話さないでくださいよ、マジで」
「話さないし。そんなの知れ渡ったら千鶴ちゃん外歩けないじゃん」
「2人の予防接種日は1歳前は違う病院、違う日です。1歳をすぎてから同じ病院、同じ日になっているので、その頃に再婚したと思われます。翔子の日記も1歳すぎには書かれなくなりました」
湊が眼鏡を光らせ、くいっと上げながら解説した。
「素晴らしいコナン君。…千鶴ちゃん大丈夫?」
千鶴は髪の毛をクッシャクシャにして固まっていた。
「聞いたことあるかも……………」
「え?」
「3歳か4歳の時に………大翔のママと、千鶴のパパは違う人なのよって両親に直接…………」
部室はシーンと静まり返り、大翔が沈黙を破った。
「いや記憶にないし、そんなこと子どもに言う??」
「なんかゆる~いかんじで、アハハ~って空気感で告白されて…………私はそうなんだ~って反応だったんだけど。お兄……大翔が、俺は千鶴のお兄ちゃんだもん!って狂って暴れて転げ回って切れたガラスで頭の後ろ切って病院で縫った…………記憶が、いま、いきなり出てきたんだけど」
「俺そんな記憶まじでないけど」
「大翔は生まれた時から育てるの大変だったて話は聞いたことあるよね?」
「ず~と泣いてるからず~と抱っこしてたって、一人遊び一切しないし、つきっきりだったって。1日の大半は外で俺を抱っこして散歩してる生活で可愛いけど気が狂ったって…よく話してるよなオトンが」
「それが私と出会ってから、私の横にずーといて離れなくなって性格も穏やかなった、て言ってなかった?」
「そんな感じのことは言ってた」
「今思うと変だよね。双子で生まれた時から一緒なら、千鶴と出会うって何?」
「あれ………昔から聞かされてたから疑問に思わなかったけど……え………」
湊が質問をした。
「何?双子じゃないって聞かされてたの?」
「そんな気がする…私は、だから似てないんだ~って納得したんだけど、お兄ちゃんがほんとに台風の目みたいに家の中で暴れて、そこら中のものが投げられて、床が血まみれで、お母さんが泣いて、お父さんがお兄ちゃんを抱きしめてて…ドン引きした記憶が出てきたんだけど…」
「台風の目って逆に穏やかじゃなかったけ?大翔くんがそこまで暴れるから、大きくなるまでもう言わないでおこう…ってなったんじゃない?」
「うーん。ありえる。お兄…大翔って本当に頭おかしかったらしいから。絵を描くようになって情緒がかなり落ち着いたらしいけど」
腕を組んだレオが大翔に話しかけた。
「お前、そんなに千鶴ちゃん好きなの?シスコンだとは思ってたけど」
大翔はレオをキッと下から睨むように目を合わせる。
「妹だから大事なのは普通じゃないですか」
「いや、おかしい。俺も異常だとずっと思ってた。ダメだろ、お前。千鶴ちゃんと一緒に住んだら。危険すぎる」
「まさか俺が妹に手を出すとでも…?あり得ないでしょ…。俺の貞操観念知ってますよね?」
「お前の貞操観念ガバガバじゃん。俺に何回も抱きしめられてるし、昨日だって車の中で、簡単に俺に抱きつかれた上に…」
「先輩????!!!!ちょっと!!!!まっ!!!!おい!!!それ以上言うな!!!」
大翔は立ち上がってレオを口を塞ぎに言った。
初音は2人にネタバラシをしていた。
「レオ先輩に首噛まれて恋人繋ぎされたんだって」
「は?エロ」「大翔…」
揉みくちゃになっているレオはまだ話そうとする。
「なんで話したらダメなん?自分は絵にも描い…ぎゃっ!!」
興奮した猫のようにフーフーする大翔、レオは壁に追い込まれ口を塞がれた。
「今…俺と千鶴の大事な話をしてるから部外者は黙ってください!」
レオは「怒ってて可愛い~」と思うと同時に「部外者」という言葉にイラッとして、大翔を軽々と引き剥がした。
「大翔……お前、今日はうちに泊まれよ」
「はい…………?」
「千鶴ちゃんと2人で家にいるのは危険すぎるから!!!」
「俺と先輩が一緒にいる方が危険ですよ!!!!!!!」
「何を期待してんの?俺は男に手は出さないし。女とは付き合えるけど、男とは無理!今日はいつもみたいにふざけて触らないから。マジで。個展まで時間ないしそれについて、ちゃんと話したい。明日からは制作に専念してほしい」
距離を開けて話す2人。レオの目は真剣だった。
大翔はまた胸がチクッとした。
「俺…先輩といるとストレスで心臓が痛いんです…。一晩近くにいたら本当におかしくなってしまって絵を描くどころじゃなくなります…。高文展だって先輩のせいでどれだけ大変だったことか!!!」
「俺ごときに負けてどーすんの!そんな小さい心臓じゃ世界で活躍する画家になれないから鍛えろ!!!!じゃあ、このまま大翔は持って帰るから、みんな気を付けて帰ってね」
レオは大翔を引っ張って部室を去っていった。大翔の悲鳴が廊下から響き渡った。
「俺、あの2人の関係がよく分かんない」
「千鶴ちゃん……さっき廊下で当て馬されたんだけど最高だったわ…あなたの気持ち分かったよ…」
「お兄…大翔とレオ様がくっついたら私の夢叶いやすくない?ハトジュンよりも。私、アンチやめて、レオ×大翔の恋を全力で応援します!!」
「おい、それ湊くんの前で話す?」
「千鶴ちゃんの夢って何?はっちゃん知ってるの?」
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