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8話 ウェットティッシュ
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八王子レオ
青晴高校 機械科 3年生
地元では誰しもが知る有名人
青晴高校をティックトック強豪校に押し上げた実力者
友人の鳩田淳と話してるだけで再生数が伸びるので世の中ちょろいと思っている
YouTuberっぽくメントスコーラも撮影したことがあるが再生数も少なく黒歴史となった
女好きで有名だが人の女には手を出さない
座右の銘は、据え膳食わぬは男の恥
「誰だよこいつ!!!!!人の彼女に何してんの!!!!」
真っ昼間にアパートの一室に響き渡るカスレた大きな声。八王子レオは「騙された!」と思った。
1時間前、住宅街。
金髪を下の方にお団子にした白人の女性が困っていた。道が分からなくなりアパートにたどり着けないと。
バイクに乗っていた八王子レオは女性の横を通り過ぎたが、気になってユータンをして事情を聞いた。
彼女の目的地までかなり離れていたので、レオはバイクの後ろに女性を乗せていた走った。面積の少ないキャミソールの中身に興味が湧いたせいではなく。
無事にアパートにたどり着き、お礼にお茶をごちそうになった。自然とレオと女性の距離が近くなり、彼女がレオのティシャツを脱がせた時、乱入者がやってきた。
レオはすぐに反撃をした。
「彼氏いるって聞いてないです!!あとヤッてないです!!」
着衣の乱れのない彼女は泣いていた。
「ワタシ コイビト いるって言った ケド カラダでオレイしろ 言われて…」
「はああああ?????嘘つくなよ!!!!俺まじで!人の女に手を出さない主義で!」
玄関に立ったままの乱入者はさらに怒った。
「じゃあ私の彼女が嘘ついてるってこと??そんなわけないでしょ!!」
(面倒事に巻き込まれたくない~~~~!)
レオは目配せで内鍵が閉められていないことを確認した。
乱入した奴の身長は170くらい。細くてヒョロヒョロだけど、首に何かの柄の入墨が入ってるから普通の人ではなさそう。
「分かりました。ゆっくり話し合いましょう。」
そういってレオは床の上で溶けているかのようなTシャツを拾い、自身に身に付け立体感を取り戻した。
玄関先で立ったままの、半グレと思われる恋人。レオは温泉に浸かっている猿のような情けない顔をしながら近付いた。
「この度は本当に…」
ガチャ!
レオは素早く腕を伸ばして、半グレの後ろに回り込み、ドアを開けドタバタと走り出した。
「お互いなかったことにしましょ~~!!」
そう言ってバイクに乗り颯爽と去っていったのだ。
めでたし、めでたし。のはずが、相手はまるで蛇のように執念深かった。
「先輩、なんかヤバいことに手出しました?なんか人探してるってヤクザに声かけられたんすけど、それが、黒いバイクに白いライオンのステッカー貼った、茶髪で180センチくらいのハーフ顔のタレ目の男、なんすけど。これって先輩のことじゃないですか?」
ビリヤード場のフリードリンクコーナーの前で炭酸水を飲んでいるレオに後輩が話しかけた。
「こわ~。俺のファンじゃね?ヤクザにも人気あんのか俺。」
レオは黒のチューリップハットを深く被った。
「そんな雰囲気じゃなかったような…首グルっと一周して入墨があって。金髪でパーマなんすけど。なんかすっげぇ見たことある気がする顔でした。」
「あ~…。あいつか…。だる…。まだ勘違いしてんのか…。俺のこと何も話してないよな?」
「もちろんっす。」
「念の為にグループラインで注意喚起しとくか。」
普段は帽子、メガネ、マスクのどれかで顔を隠して歩いてるし、バイクは乗ってることを公表してない。俺の顔をがっつり見て名前が分からないのなら、まあ大丈夫だろうとレオはあまり気にしなかった。
「おはよ~☀😁」
青晴高校の裏口にある森林には小さな空きスペースがある。青晴のバイク通学は禁止されているが、その空きスペースはバイクの駐車場として代々受け継がれてきた。
不良から不良へ、知る人ぞ知る場所。
木にもたれかかって、タバコをふかした派手な金髪。制服を着ていない、OBだろうか。こんな朝早くに1人で何してるのだろう。空き地にはレオのバイク1台しかない。
タバコを捨てて、こちらに近づく。そして思い出した。あの時の半グレーーー。
ボゴッ
「~~~ッッッ」
いきなりグーで殴られて目の下の骨を思いっきり痛めた。
俺が何をしたっていうんだ。親切心で道案内をして得られたのは、美人にティシャツを脱がされたことだけ。
マジで何も知らねぇのに、何もヤってないのに、なんで殴られないといけないのか。あの美人はなんで彼氏に嘘をつき続けるのか。
相手が半グレかヤクザか関係ない。ここまで理不尽なのは許せない。怒りが込み上げ、すぐに殴り返そうとしたが、あることに気がついた。
オーバーサイズのノースリーブが風に揺れて、体のラインがぴったりと見えた。
穏やかな胸の膨らみと、くっきりしたくびれ。喉仏のない首元。
(あれ????こいつって…)
ガッ!
蛇はレオの足首を引っ掛け、レオは地面に倒れた。起き上がろうと思えば起き上がれたが、どうでもよくなり土と少しの雑草から出てくるマイナスイオンを感じ続けることにした。
(マジかよ。いくらなんでも殴り返せねぇ相手じやん…ずる…)
レオは蛇を殴ることができない、と諦めた。
蛇は満足したのか、レオのバイクに腰掛けて、昨日のことをペラペラと話しだした。レオの似顔絵が似ててすぐに分かった、あの男の子は才能がある、そいつの服装からコンビニで買った肉まんの評価など、タバコの火が消えるまで一人で勝手に話した。
「これ、もういらないからあげる。キレイに描いてもらってよかったね😁」
と言って顔に投げた紙は、折りたたんであった。中から自分の顔に落書きされた写真が1枚出てきた。
遠くなる蛇の後ろ姿を見ながら(冤罪だ…)と思った。
レオはゆっくりと起き上がり、制服の砂を手で払った。スクールバッグからウェットティッシュを出して顔や服を拭く。
小さいプラスチック容器からゴミ袋を取り出し、ゴミ(たばこの吸い殻6本、ウェットティッシュ、ペットボトルのキャップ)を入れ、ゴミ袋をスクールバッグの外側に入れた。
スマホを開くと時間は午前7時45分。
レオは学校が好きではないが、1時間前行動をしないと気が済まない性格のため、学校にも早く来ている。
内カメで自分の顔を確認し、大きなため息をついた。
「いってぇな…」
保健室で目の下にガーゼを貼り、淳と合流したあと、グループラインで共有し、ヘビに情報を流した犯人探しを開始した。
鳩田淳はレオの顔を見て大爆笑した。レオはイカれてると思った。髪が赤いやつはだいたいイカれてる、とも思った。
「やり返せば良かったのに」
「俺だってやり返したかったよ。だってあいつ…」
「お兄ちゃん!!!!!!!あんた!!!!なんてこと!!!!!お兄ちゃんが余計なことを蛇乃助に言うから!!!レオ様の綺麗な顔が!!!!殴られてボロボロやんけ!!!!!」
中庭の隅っこから大きな大きな声がする。
淳は「え?レオのこと?もう犯人見つかったの?はっやw 探してまだ1分じゃんw」と笑った。
「俺、声かけてくる」
レオは女に後ろから近付いた。
「俺のこと呼んだ?」
イライラした顔で振り返った女は目を見開き、上から下まで視線を泳がせた。
「お兄ちゃんのせいで俺が殴られたってどういうこと?」
女はもう懲り懲りだと思っていたのに、無意識に、本能的に、その女に近づきすぎてしまったようだ。
ケガをした男から発される特有の色香にやられ、女はあっけなく倒れてしまった。
青晴高校 機械科 3年生
地元では誰しもが知る有名人
青晴高校をティックトック強豪校に押し上げた実力者
友人の鳩田淳と話してるだけで再生数が伸びるので世の中ちょろいと思っている
YouTuberっぽくメントスコーラも撮影したことがあるが再生数も少なく黒歴史となった
女好きで有名だが人の女には手を出さない
座右の銘は、据え膳食わぬは男の恥
「誰だよこいつ!!!!!人の彼女に何してんの!!!!」
真っ昼間にアパートの一室に響き渡るカスレた大きな声。八王子レオは「騙された!」と思った。
1時間前、住宅街。
金髪を下の方にお団子にした白人の女性が困っていた。道が分からなくなりアパートにたどり着けないと。
バイクに乗っていた八王子レオは女性の横を通り過ぎたが、気になってユータンをして事情を聞いた。
彼女の目的地までかなり離れていたので、レオはバイクの後ろに女性を乗せていた走った。面積の少ないキャミソールの中身に興味が湧いたせいではなく。
無事にアパートにたどり着き、お礼にお茶をごちそうになった。自然とレオと女性の距離が近くなり、彼女がレオのティシャツを脱がせた時、乱入者がやってきた。
レオはすぐに反撃をした。
「彼氏いるって聞いてないです!!あとヤッてないです!!」
着衣の乱れのない彼女は泣いていた。
「ワタシ コイビト いるって言った ケド カラダでオレイしろ 言われて…」
「はああああ?????嘘つくなよ!!!!俺まじで!人の女に手を出さない主義で!」
玄関に立ったままの乱入者はさらに怒った。
「じゃあ私の彼女が嘘ついてるってこと??そんなわけないでしょ!!」
(面倒事に巻き込まれたくない~~~~!)
レオは目配せで内鍵が閉められていないことを確認した。
乱入した奴の身長は170くらい。細くてヒョロヒョロだけど、首に何かの柄の入墨が入ってるから普通の人ではなさそう。
「分かりました。ゆっくり話し合いましょう。」
そういってレオは床の上で溶けているかのようなTシャツを拾い、自身に身に付け立体感を取り戻した。
玄関先で立ったままの、半グレと思われる恋人。レオは温泉に浸かっている猿のような情けない顔をしながら近付いた。
「この度は本当に…」
ガチャ!
レオは素早く腕を伸ばして、半グレの後ろに回り込み、ドアを開けドタバタと走り出した。
「お互いなかったことにしましょ~~!!」
そう言ってバイクに乗り颯爽と去っていったのだ。
めでたし、めでたし。のはずが、相手はまるで蛇のように執念深かった。
「先輩、なんかヤバいことに手出しました?なんか人探してるってヤクザに声かけられたんすけど、それが、黒いバイクに白いライオンのステッカー貼った、茶髪で180センチくらいのハーフ顔のタレ目の男、なんすけど。これって先輩のことじゃないですか?」
ビリヤード場のフリードリンクコーナーの前で炭酸水を飲んでいるレオに後輩が話しかけた。
「こわ~。俺のファンじゃね?ヤクザにも人気あんのか俺。」
レオは黒のチューリップハットを深く被った。
「そんな雰囲気じゃなかったような…首グルっと一周して入墨があって。金髪でパーマなんすけど。なんかすっげぇ見たことある気がする顔でした。」
「あ~…。あいつか…。だる…。まだ勘違いしてんのか…。俺のこと何も話してないよな?」
「もちろんっす。」
「念の為にグループラインで注意喚起しとくか。」
普段は帽子、メガネ、マスクのどれかで顔を隠して歩いてるし、バイクは乗ってることを公表してない。俺の顔をがっつり見て名前が分からないのなら、まあ大丈夫だろうとレオはあまり気にしなかった。
「おはよ~☀😁」
青晴高校の裏口にある森林には小さな空きスペースがある。青晴のバイク通学は禁止されているが、その空きスペースはバイクの駐車場として代々受け継がれてきた。
不良から不良へ、知る人ぞ知る場所。
木にもたれかかって、タバコをふかした派手な金髪。制服を着ていない、OBだろうか。こんな朝早くに1人で何してるのだろう。空き地にはレオのバイク1台しかない。
タバコを捨てて、こちらに近づく。そして思い出した。あの時の半グレーーー。
ボゴッ
「~~~ッッッ」
いきなりグーで殴られて目の下の骨を思いっきり痛めた。
俺が何をしたっていうんだ。親切心で道案内をして得られたのは、美人にティシャツを脱がされたことだけ。
マジで何も知らねぇのに、何もヤってないのに、なんで殴られないといけないのか。あの美人はなんで彼氏に嘘をつき続けるのか。
相手が半グレかヤクザか関係ない。ここまで理不尽なのは許せない。怒りが込み上げ、すぐに殴り返そうとしたが、あることに気がついた。
オーバーサイズのノースリーブが風に揺れて、体のラインがぴったりと見えた。
穏やかな胸の膨らみと、くっきりしたくびれ。喉仏のない首元。
(あれ????こいつって…)
ガッ!
蛇はレオの足首を引っ掛け、レオは地面に倒れた。起き上がろうと思えば起き上がれたが、どうでもよくなり土と少しの雑草から出てくるマイナスイオンを感じ続けることにした。
(マジかよ。いくらなんでも殴り返せねぇ相手じやん…ずる…)
レオは蛇を殴ることができない、と諦めた。
蛇は満足したのか、レオのバイクに腰掛けて、昨日のことをペラペラと話しだした。レオの似顔絵が似ててすぐに分かった、あの男の子は才能がある、そいつの服装からコンビニで買った肉まんの評価など、タバコの火が消えるまで一人で勝手に話した。
「これ、もういらないからあげる。キレイに描いてもらってよかったね😁」
と言って顔に投げた紙は、折りたたんであった。中から自分の顔に落書きされた写真が1枚出てきた。
遠くなる蛇の後ろ姿を見ながら(冤罪だ…)と思った。
レオはゆっくりと起き上がり、制服の砂を手で払った。スクールバッグからウェットティッシュを出して顔や服を拭く。
小さいプラスチック容器からゴミ袋を取り出し、ゴミ(たばこの吸い殻6本、ウェットティッシュ、ペットボトルのキャップ)を入れ、ゴミ袋をスクールバッグの外側に入れた。
スマホを開くと時間は午前7時45分。
レオは学校が好きではないが、1時間前行動をしないと気が済まない性格のため、学校にも早く来ている。
内カメで自分の顔を確認し、大きなため息をついた。
「いってぇな…」
保健室で目の下にガーゼを貼り、淳と合流したあと、グループラインで共有し、ヘビに情報を流した犯人探しを開始した。
鳩田淳はレオの顔を見て大爆笑した。レオはイカれてると思った。髪が赤いやつはだいたいイカれてる、とも思った。
「やり返せば良かったのに」
「俺だってやり返したかったよ。だってあいつ…」
「お兄ちゃん!!!!!!!あんた!!!!なんてこと!!!!!お兄ちゃんが余計なことを蛇乃助に言うから!!!レオ様の綺麗な顔が!!!!殴られてボロボロやんけ!!!!!」
中庭の隅っこから大きな大きな声がする。
淳は「え?レオのこと?もう犯人見つかったの?はっやw 探してまだ1分じゃんw」と笑った。
「俺、声かけてくる」
レオは女に後ろから近付いた。
「俺のこと呼んだ?」
イライラした顔で振り返った女は目を見開き、上から下まで視線を泳がせた。
「お兄ちゃんのせいで俺が殴られたってどういうこと?」
女はもう懲り懲りだと思っていたのに、無意識に、本能的に、その女に近づきすぎてしまったようだ。
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