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4話 ハトハチ
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とりあえず走って機械科までいったは良いが、千鶴の教室がどこにあるのか、全く分からなかった。
まず教室自体が見つからない。窓から見える室内は、やたら広くて大きい機械がいっぱいあって、どう見ても工場にしか見えない。
(なんで高校の中に工場が…工場の奥の方で作業服着てるなんかしてる人いっぱいいるけど、あれってもしかして生徒…?)
あてもなく彷徨っていると、保健室にたどり着いた。
ヘロヘロになった大翔は保健室のベッドに腰掛けて息を整えた。
(先生…いねぇ…。なんか…地図とかねぇのかな…。ちず…ちづ…。あっ。)
千鶴に電話かければいいだけか。
大翔が千鶴に電話をかけると、着信音が下から響き渡った。
「…は?」
掛布団をめくるとそこには千鶴のスマホがあった。
「…どういうこと?」
ガラガラ
「千鶴ちゃーん!ポカリ買ってきたよ~!ってぇ?!千鶴が男になってる???!!」
目の前には赤髪をひとつ結びにした、ポカリを持った鳩田淳がこちらを見ていた。顔にガーゼと絆創膏を貼っている八王子レオが扉を閉めている。
「…ハチレオ…?」
「ハチレオって俺こと?キムタクみたいに呼ぶじゃん」
八王子レオはクスッと笑った。つられて鳩田淳もハハッと短く笑った。
「あっ、間違えた…ハトハチか…」
すると。空気が凍る感覚があった。
「ハトハチ…ねえ。」いつもニコニコしている鳩田の顔がのっぺりしている。
「何お前?腐女子ってやつ?」八王子レオはいつもにもまして攻撃的だ。
「男の場合は腐男子っていうんじゃなかった?」
「どちみち腐ってんなあ。きもいよな。」
(…俺がヘビに情報流したって気づいてないよな?なんでキモいとか腐ってるって言われてるんだ今?)
「あの時の衝撃は忘れられないよね…夢小説っていうの?よくわかんないけど…。」
「何が嬉しくて俺が鳩田に寝込みを襲われなきゃいけねぇんだよ…」
「俺だって嫌だよ…。レオも受け入れるなよ…。めちゃくちゃ悦んでたじゃん…。」
「気持ち悪くなってきた。もうやめよう。おい、お前。お前ももうやめろ。ハトハチって単語は記憶から消せ。お前も書いてんの?今すぐやめろ。公式からの命令。やめろ。」
大翔は全く話の流れが掴めなかった。
「なんの話ですか?ハトハチって…2人のコンビ名ですよね?」
鳩田は様子を探った。
「ん?マジで何も知らない感じ?単語だけ知ってるけど検索してない的な?」
レオが詳細を語る。
「ハトハチは…。鳩田淳×八王子レオって意味だけど…。俺と鳩田が付き合ってるって意味で、腐女子がつけた名前?らしい。」
麩女子…?あっ、腐女子?なんかテレビでみたことある。
男同士の恋愛が好きな女子…って。ボーイズラブを略してビーエルって。
「??2人はお付き合いをされて…る、と???」
「ないないない!!!!!」
2人は手をバタつかせて否定した。
「オタクの女が勝手に俺と鳩田を恋人にした小説を書いて公開してんだよ。伏字してるけど、どうみても俺等の話って分かる内容で。」
「まじでキモくて吐きそうや(´;ω;`)」
「ハトハチって検索すると色んな奴が書いた、小説やら漫画やら出てくるんだわ。」
「とくにやばいのがチーズって子の小説だよね…。俺本当にレオに欲情してんのかなって疑心暗鬼になっちゃったよ…。」
「あのリアルさ…やばいな…。俺たちのこと近くで見て書いてんのかなってくらい…すっげえよな…。思い出すだけで尻いてぇ。現実では何もされてないのに。おえっ。」
カタカタ
保健室の扉から不自然な音が鳴り、6つの瞳がその方向を見た。しかし何も動かなかったので、視線を元に戻した。
扉を挟んだ向こうに、四つん這いで震えてる黒髪の女と、天を仰いでいる二つ結びをした女がいるとは、誰も気づいていなかった。
まず教室自体が見つからない。窓から見える室内は、やたら広くて大きい機械がいっぱいあって、どう見ても工場にしか見えない。
(なんで高校の中に工場が…工場の奥の方で作業服着てるなんかしてる人いっぱいいるけど、あれってもしかして生徒…?)
あてもなく彷徨っていると、保健室にたどり着いた。
ヘロヘロになった大翔は保健室のベッドに腰掛けて息を整えた。
(先生…いねぇ…。なんか…地図とかねぇのかな…。ちず…ちづ…。あっ。)
千鶴に電話かければいいだけか。
大翔が千鶴に電話をかけると、着信音が下から響き渡った。
「…は?」
掛布団をめくるとそこには千鶴のスマホがあった。
「…どういうこと?」
ガラガラ
「千鶴ちゃーん!ポカリ買ってきたよ~!ってぇ?!千鶴が男になってる???!!」
目の前には赤髪をひとつ結びにした、ポカリを持った鳩田淳がこちらを見ていた。顔にガーゼと絆創膏を貼っている八王子レオが扉を閉めている。
「…ハチレオ…?」
「ハチレオって俺こと?キムタクみたいに呼ぶじゃん」
八王子レオはクスッと笑った。つられて鳩田淳もハハッと短く笑った。
「あっ、間違えた…ハトハチか…」
すると。空気が凍る感覚があった。
「ハトハチ…ねえ。」いつもニコニコしている鳩田の顔がのっぺりしている。
「何お前?腐女子ってやつ?」八王子レオはいつもにもまして攻撃的だ。
「男の場合は腐男子っていうんじゃなかった?」
「どちみち腐ってんなあ。きもいよな。」
(…俺がヘビに情報流したって気づいてないよな?なんでキモいとか腐ってるって言われてるんだ今?)
「あの時の衝撃は忘れられないよね…夢小説っていうの?よくわかんないけど…。」
「何が嬉しくて俺が鳩田に寝込みを襲われなきゃいけねぇんだよ…」
「俺だって嫌だよ…。レオも受け入れるなよ…。めちゃくちゃ悦んでたじゃん…。」
「気持ち悪くなってきた。もうやめよう。おい、お前。お前ももうやめろ。ハトハチって単語は記憶から消せ。お前も書いてんの?今すぐやめろ。公式からの命令。やめろ。」
大翔は全く話の流れが掴めなかった。
「なんの話ですか?ハトハチって…2人のコンビ名ですよね?」
鳩田は様子を探った。
「ん?マジで何も知らない感じ?単語だけ知ってるけど検索してない的な?」
レオが詳細を語る。
「ハトハチは…。鳩田淳×八王子レオって意味だけど…。俺と鳩田が付き合ってるって意味で、腐女子がつけた名前?らしい。」
麩女子…?あっ、腐女子?なんかテレビでみたことある。
男同士の恋愛が好きな女子…って。ボーイズラブを略してビーエルって。
「??2人はお付き合いをされて…る、と???」
「ないないない!!!!!」
2人は手をバタつかせて否定した。
「オタクの女が勝手に俺と鳩田を恋人にした小説を書いて公開してんだよ。伏字してるけど、どうみても俺等の話って分かる内容で。」
「まじでキモくて吐きそうや(´;ω;`)」
「ハトハチって検索すると色んな奴が書いた、小説やら漫画やら出てくるんだわ。」
「とくにやばいのがチーズって子の小説だよね…。俺本当にレオに欲情してんのかなって疑心暗鬼になっちゃったよ…。」
「あのリアルさ…やばいな…。俺たちのこと近くで見て書いてんのかなってくらい…すっげえよな…。思い出すだけで尻いてぇ。現実では何もされてないのに。おえっ。」
カタカタ
保健室の扉から不自然な音が鳴り、6つの瞳がその方向を見た。しかし何も動かなかったので、視線を元に戻した。
扉を挟んだ向こうに、四つん這いで震えてる黒髪の女と、天を仰いでいる二つ結びをした女がいるとは、誰も気づいていなかった。
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