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3話 オレ様レオ様
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「大翔おはよ~。…なんか機嫌悪い?」
青晴高校生1年生C組 美術科
黒髪ボブで縁の細い丸メガネをかけた男が大翔に挨拶をした。
「湊おはよ。千鶴にしこたま怒られて意気消沈してる。」
大翔は机の上に、だらんと上半身を預けた。
「なんで?」
「八王子レオが管理してるグループラインって知ってる?」
「もちろん。現役の青晴は強制加入のやつやろ。最近もなんか書いてあったよな。首に入墨入った奴に狙われてるけど、俺は無実で冤罪だから、何を聞かれても黙ってるように、って。」
「俺はそのグループライン入ってないんだよ。通知音うるさいから抜けた。」
「通知オフにすればいいだけなのに…。」
「だから、そんな話、知らなくて。昨日、首にヘビの入墨した男に八王子レオのこと話しちゃって。生き別れの兄弟だったいうから。」
「え?やばくない?」
「もう千鶴カンカンに怒ってんの。まずレオ様には姉しかいないって。そんで、まじであのヘビはヤバイ奴だって。知り合いってわけではなくて女の勘がそう言ってるって。」
「へ~。」
「そんで、俺の夜ご飯のソイバーガー食べてんの。悔しいのなら私の焼肉バーガー食べればって笑って。」
「お~。ベジタリアンを挑発するね~。」
「あれ?今思えば生き別れの弟の名前知らないって変だな。」
「いや、生き別れの兄弟ではないやろ。確実に。」
「あ?そういうこと?じゃあ何やったんやろ?」
「さぁ~」
ライン♫
ピコン♫
ブー♫
教室から一斉に音がなった。
「噂をすればレオ先輩からだ。え~と…。えっ…。」
スマホを見る湊の顔がどんよりとしていった。
「どしたの?」
湊は無言でスマホを大翔に渡した。
『写真(左目の下に青あざの、唇の左側に血が滲んでいる八王子レオの顔写真)』
『誰?俺のこと話したの』
『不意打ちくらって首入墨さんに殴られて朝から顔ボコボコなんですけど』
『写真(バイクにのってる八王子レオの絵、その下に青晴高校の購買にいる看板キャラのカエルの絵)』
『写真(手書きの文字で、八王子レオ 青晴高校3年 機械科 はとだじゅん あいぼう 有名人 メントスコーラの動画がいちばん人気 女好きすぎて男しかいない機械科に入学させられた オレ様レオ様という毎回言うで見てられない)』
『くっそムカつく俺の情報書きやがって』
『カエルのフーちゃん知ってるってことは青晴にいるやつだろ?誰なん?自主するように』
「自主…。勉学に励めと?」
「自首だよな。って、そこはどーでもよくて。これ、お前のこと探してね?」
八王子レオのメッセージでザワザワする教室の中
湊は小さい声で容疑者に話しかけた。
容疑者は呆れ顔だ。
「怒りすぎだよな。八王子レオって検索して分かることしか伝えてないのに。俺ってバレる可能性ないし、ほっとけばいいだろ。」
さらに教室に通知音がなった。
『犯人は昨日の夜7時ごろ、どんぐり書店近くにあるセブンで、青晴の制服を着た女連れてた男。160センチくらい。 白Tにオレンジのジャージ。誰?』
湊は「…そうなの?」と大翔の顔を見た。
「めちゃくちゃ特定しとるやないか。こういうのって密告者?の個人情報って守られるんじゃねえの?!」
大翔はイラッとし、湊は軽くため息をついた。
ブーブー
大翔のスマホに着信音がなる。まさか八王子レオ?思わずビクッとしたが相手は妹の千鶴だった。
「お兄ちゃん!!!!!!!あんた!!!!なんてこと!!!!!お兄ちゃんが余計なことをヘビの助に言うから!!!レオ様の綺麗な顔が!!!!殴られてボロボロやんけ!!!!!」
千鶴の大きい声は教室に響き渡った。間違えてスピーカーにしたのか確認したが、そんなことはなかった。
「ちよ~~千鶴~~。落ち着いて…。声デッカ…。」
ヒソヒソ
「今の聞こえた?ヘビノスケって先輩を殴った人?」
「中光がチクったてこと?」
「え~。大人しそうなやつなのに過激派なんや。」
「そもそもなんでレオ先輩って入墨さんから逃げとんの?」
「女の取り合いって聞いたけど」
「じゃあ中光も女を取り合ったの?やるじゃん。」
「すげぇな…。まだ高1の5月だってのに卒業済かよ…。」
「中光が先輩殴ったってやばくない?」
「(今一瞬のうちにめちゃくちゃ誤情報流れた気が…)あ~。一回切るよ電話。もうSHR始まるし…」
スマホの奥から小さく、でも確実に、良くない男の声が聞こえた。
「俺のこと呼んだ?お兄ちゃんのせいで俺殴られたってどういうこと?」
「エッッッッッッ れ………っっ レオ様…???あっっハトジュン……」
「レオ~。怖いって。こんにちは~♫いま電話してんのかな~?」
「ちゃ、ちょ、まっ、ちかっ…、えっいい匂…ちょ、えっ、やだっ あっ~~~~!!!!」
プープープー
大翔はすべてを察した。千鶴が危ない。八王子レオと鳩田淳が彼女に近づき何かをした、と。
スマホを手に持ったまま彼は走って教室を飛び出した。担任とすれ違い「中光~SHR始まるぞ~」と言われたが気にする余裕なんて、これっぽっちもなかった。
青晴高校生1年生C組 美術科
黒髪ボブで縁の細い丸メガネをかけた男が大翔に挨拶をした。
「湊おはよ。千鶴にしこたま怒られて意気消沈してる。」
大翔は机の上に、だらんと上半身を預けた。
「なんで?」
「八王子レオが管理してるグループラインって知ってる?」
「もちろん。現役の青晴は強制加入のやつやろ。最近もなんか書いてあったよな。首に入墨入った奴に狙われてるけど、俺は無実で冤罪だから、何を聞かれても黙ってるように、って。」
「俺はそのグループライン入ってないんだよ。通知音うるさいから抜けた。」
「通知オフにすればいいだけなのに…。」
「だから、そんな話、知らなくて。昨日、首にヘビの入墨した男に八王子レオのこと話しちゃって。生き別れの兄弟だったいうから。」
「え?やばくない?」
「もう千鶴カンカンに怒ってんの。まずレオ様には姉しかいないって。そんで、まじであのヘビはヤバイ奴だって。知り合いってわけではなくて女の勘がそう言ってるって。」
「へ~。」
「そんで、俺の夜ご飯のソイバーガー食べてんの。悔しいのなら私の焼肉バーガー食べればって笑って。」
「お~。ベジタリアンを挑発するね~。」
「あれ?今思えば生き別れの弟の名前知らないって変だな。」
「いや、生き別れの兄弟ではないやろ。確実に。」
「あ?そういうこと?じゃあ何やったんやろ?」
「さぁ~」
ライン♫
ピコン♫
ブー♫
教室から一斉に音がなった。
「噂をすればレオ先輩からだ。え~と…。えっ…。」
スマホを見る湊の顔がどんよりとしていった。
「どしたの?」
湊は無言でスマホを大翔に渡した。
『写真(左目の下に青あざの、唇の左側に血が滲んでいる八王子レオの顔写真)』
『誰?俺のこと話したの』
『不意打ちくらって首入墨さんに殴られて朝から顔ボコボコなんですけど』
『写真(バイクにのってる八王子レオの絵、その下に青晴高校の購買にいる看板キャラのカエルの絵)』
『写真(手書きの文字で、八王子レオ 青晴高校3年 機械科 はとだじゅん あいぼう 有名人 メントスコーラの動画がいちばん人気 女好きすぎて男しかいない機械科に入学させられた オレ様レオ様という毎回言うで見てられない)』
『くっそムカつく俺の情報書きやがって』
『カエルのフーちゃん知ってるってことは青晴にいるやつだろ?誰なん?自主するように』
「自主…。勉学に励めと?」
「自首だよな。って、そこはどーでもよくて。これ、お前のこと探してね?」
八王子レオのメッセージでザワザワする教室の中
湊は小さい声で容疑者に話しかけた。
容疑者は呆れ顔だ。
「怒りすぎだよな。八王子レオって検索して分かることしか伝えてないのに。俺ってバレる可能性ないし、ほっとけばいいだろ。」
さらに教室に通知音がなった。
『犯人は昨日の夜7時ごろ、どんぐり書店近くにあるセブンで、青晴の制服を着た女連れてた男。160センチくらい。 白Tにオレンジのジャージ。誰?』
湊は「…そうなの?」と大翔の顔を見た。
「めちゃくちゃ特定しとるやないか。こういうのって密告者?の個人情報って守られるんじゃねえの?!」
大翔はイラッとし、湊は軽くため息をついた。
ブーブー
大翔のスマホに着信音がなる。まさか八王子レオ?思わずビクッとしたが相手は妹の千鶴だった。
「お兄ちゃん!!!!!!!あんた!!!!なんてこと!!!!!お兄ちゃんが余計なことをヘビの助に言うから!!!レオ様の綺麗な顔が!!!!殴られてボロボロやんけ!!!!!」
千鶴の大きい声は教室に響き渡った。間違えてスピーカーにしたのか確認したが、そんなことはなかった。
「ちよ~~千鶴~~。落ち着いて…。声デッカ…。」
ヒソヒソ
「今の聞こえた?ヘビノスケって先輩を殴った人?」
「中光がチクったてこと?」
「え~。大人しそうなやつなのに過激派なんや。」
「そもそもなんでレオ先輩って入墨さんから逃げとんの?」
「女の取り合いって聞いたけど」
「じゃあ中光も女を取り合ったの?やるじゃん。」
「すげぇな…。まだ高1の5月だってのに卒業済かよ…。」
「中光が先輩殴ったってやばくない?」
「(今一瞬のうちにめちゃくちゃ誤情報流れた気が…)あ~。一回切るよ電話。もうSHR始まるし…」
スマホの奥から小さく、でも確実に、良くない男の声が聞こえた。
「俺のこと呼んだ?お兄ちゃんのせいで俺殴られたってどういうこと?」
「エッッッッッッ れ………っっ レオ様…???あっっハトジュン……」
「レオ~。怖いって。こんにちは~♫いま電話してんのかな~?」
「ちゃ、ちょ、まっ、ちかっ…、えっいい匂…ちょ、えっ、やだっ あっ~~~~!!!!」
プープープー
大翔はすべてを察した。千鶴が危ない。八王子レオと鳩田淳が彼女に近づき何かをした、と。
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