上 下
4 / 18
タバコとの出会い

ベランダで味わうラボナ

しおりを挟む
インターンの期間を犠牲にして中免を取り、念願だったバイクを買った。
ツーリングを楽しんだり、カスタムにお金を使ったり、それなりに楽しんでいた。

自分好みにカスタムしたバイクを見ながら、タバコをふかすと何とも言えない、
ハードボイルドな気分に浸れた。

私がニコチン依存症になった原因はバイクであるが直接的な原因ではない。
もっと根っこの所にある。

バイクに乗る前、高校生の時、進路を選ばなければいけなかった。
もともと本を読むのが好きだったし、文系の頭を持っていたと思う。

しかし私はゴリゴリ理系の、薬学部を選んだ。なぜならクスリに興味があったのだ。
医療用の薬ではなく、薬物のクスリ。

中、高共に陰キャでサブカルがかっこいいと思っていた私はドラッグ関係の本も
読んでいた。トリップするってどんな感じだろう。興味は尽きなかった。

薬学部に入れば、そこに近づけるのではと思ったのだ。私の時代は薬学部はそんなに
偏差値が高くなくて、薬剤師って何?っていう時代だった。

でも私は持ち前の国語力と英語力と品行方正な学校生活で推薦をもらい、私立の薬学部に入った。
その頃はゆるかったから、20歳前でも平気でみんなでタバコを吸っていた。

みんなそうだと思うが、大学生というのはうかれる。私も大学デビューを果たして、陽キャになった。
高校の頃、テニスをしていたのが大きかった。半分うえーい系のテニスサークルに入ろうとした。

でもなぜか、心変わりをして、一番厳しい合気道部に入った。
なんとなくと言うしかない。タバコなんてだれも吸っていなかった。
怖い先輩に合気道部にどっぷり浸からされた。そして学業をおろそかにして4年生。

病院実習に行くことになった。本当は実験とかしてマッドサイエンティストみたいになりたかったのだが、合気道部の忙しさがそれをさせなかった。でも病院実習にいくことで、手っ取り早くドラッグに近づけると思ったような気がする。

実際病院実習に行って見ると、思った通り在庫管理はザルだった。そこで一番キツイ向精神薬を一錠パクった。帰宅してそれを速攻でのんで、ふんわりとした浮遊感を楽しんだ。ラボナと言う薬だった。

彼女の家のベランダでタバコを吸いながら、トリップするのは気持ちよかったが、
こんなもんか?という感じは消えなかった。もっとガツンと欲しかった。

そういう倫理感のなさが、医療人をしながらヘビースモーカーというありえなさを生んだのかもしれない。

まあ、そういうわけで、平気で病院から向精神薬を盗むようなやつ、ダメなやつっていうのが今もタバコを吸っている一因なのだと私は思う。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

後悔と快感の中で

なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私 快感に溺れてしまってる私 なつきの体験談かも知れないです もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう もっと後悔して もっと溺れてしまうかも ※感想を聞かせてもらえたらうれしいです

四五歳の抵抗

土屋寛文(Salvador.Doya)
エッセイ・ノンフィクション
 この作品は私の『エッセイ』に成ります。 私と妻の前をすれ違って消えて行ったあの時の素敵な「お客様?」達。 全てこの一冊に載せてみました。 よく味わってお読み頂ければ幸いです。  体臭の香る街であった。 そこにサインボードの割れた一軒の店が在る。 この店は日雇い労務者・路上生活者・ブルーテントの住人・生活保護受給者達がよく利用する。 彼等から見ると、そこは唯一の寛げる『健康的な店』だった。・・・が・・・。  では本編に進みましょう。

性的イジメ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。 全二話 毎週日曜日正午にUPされます。

6年生になっても

ryo
大衆娯楽
おもらしが治らない女の子が集団生活に苦戦するお話です。

シモの日

月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
シモの災難。

110番通報を110回鳴らした母親

夏草 仁慈
エッセイ・ノンフィクション
この記事は真実に基づいて作られた記事です。社会の裏側、そして現代社会のほんとに起きたエピソードになります。ただ本人確定を恐れ、少し変えさせていただいている部分もあります 110番とは緊急無線通報であり、事件事故で緊急を要する場合に使うものである。 数ヶ月の機関で110回鳴らした母親がいるという情報が入った マスコミとしてインタビューしたり、記事にしたり、僕はこの業界に慣れている。そして上司からの命令で、今回このことを記事にするように言われたので下調べや事前準備などを少し行い、母親の連絡先をつかめて、何とか会う機会を作れたのだ。ただ僕はこういう非常識なことをする人とこれから会話でやりとりをすると思うと少しめんどくさい。仕事だと思った。しかも母親が…。 母親なのに非常識だ。 目立ちたがりで注目を浴びて、周囲の目を引きたい。   そんなところであろう。 上司が興味津々であるようだ。「その母親と連絡が取れ、取材に応じると言うから必ず面白い話を聞いてこい。そしてお前の天才?秦な文章で記事にして見せろ」とブラックコーヒーを飲みながら、上司の松山は、あくびをした。昨日も飲み過ぎたんだろう。遅くまで 私はその母親と直接会い、取材をして記事を書く事になった。 取材が終わり会社に帰る途中 記事にしてはいけないような気がした。  他人が入ることで、何か変わってしまう。    いや、他人が入ってはいけない。本当にそこにあった真実  確かにあったことが変わってしまう気がした。 そんな気がした。 この作品は、9人のライターがそれぞれ書いた記事であります。これが1つの小説になりました。 これを読んだ人間、あなたは10人めのライターだったら何を書くでしょうか? そして、僕は日本を変えるきっかけになるとまでは思いませんが、少し未来を変えるきっかけになる本に….. そうなると思って書きました。

リアル男子高校生の日常

しゅんきち
エッセイ・ノンフィクション
2024年高校に入学するしゅんの毎日の高校生活をのぞいてみるやつ。 ほぼ日記です!短いのもあればたまに長いのもだしてます。 2024年7月現在、軽いうつ状態です。 2024年4月8日からスタートします! 2027年3月31日完結予定です! たまに、話の最後に写真を載せます。 挿入写真が400枚までですので、400枚を過ぎると、古い投稿の挿入写真から削除します。[話自体は消えません]

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

処理中です...