上 下
69 / 137
崩壊へ

67.同期の共同戦線

しおりを挟む

 ライガは辺りを見渡した。



「地の利がある分、夜の方が俺らの有利だよ。」

 マルコムは焚火の火を洞窟の中に入れた。



「…暗闇での…探索か。」

 ライガは辺りを見渡した。



「一瞬の勝負だよ。悟られて逃げられたら終わり…まあ、そうしたら君と戦うだけだけど…」

 マルコムは背中に一本槍を背負ったままだった。



「ミヤビが把握していた木、覚えている?…俺はあの木の中のどれかにいると睨んでいる。」

 マルコムは洞窟の中に明かりがあるのを確認すると、足で焚火を踏み消した。



「覚えている。…俺も狙うならそこだ。」

 ライガは頷いた。



 マルコムは森の中に入って行った。



 風で木が擦れる音が響いた。



「木が多い森はいいよね。…だって、異質な金属音以外は目立たないからね。」

 マルコムはライガを見た。



「だから、俺に鎧を…」

 ライガはマルコムを見て納得した。

 マルコムは鎧の音が二手に分け、混乱させるつもりのようだと思ったからだ。



「君馬鹿だね。言ったよね?気付かれたら終わりだって。君には意地でも金属音は立てずに歩いてもらうよ。もちろん俺もね。」

 マルコムは呆れたように言った。



 焚火が消え、辺りは月明かりがかろうじて入ってくる暗闇だった。



「…いいかい?ライガ…一瞬だよ。」

 マルコムは人差し指を立てた。



 ライガはマルコムを見て頷いた。

「…わかったが…お前…。」

 ライガは少し苦い顔をしてマルコムを睨んだ。



 マルコムはライガの表情を気にした様子はなく、槍を持って歩き始めた。





 



 市場に着いたサンズは、真っ先にジンたちの元に向かった。



 もう沢山の騎士が市場にいて、作戦本部のようなテントも設置されていた。



「…こんなに大規模に…」

 アランは驚いたように呟いた。



「…皇国絡みとアレックスが報告したらしいからな…とにかく団長の元に行くぞ。」

 サンズはテントでなく小屋の方向かった。



 正面からチャーリーが歩いてきた。



「サンズ様。」

 チャーリーはサンズを見て礼をした。

 彼の後ろにいるアランとリランにもだ。



「ああ、チャーリー。すまんが…母上にこの二人を貴族街で探偵仕事できるようにして欲しいと伝えてくれないか?」

 サンズはアランとリランを指して言った。



「わかりました。…あの、サンズ様は?」

 チャーリーは心配そうにサンズを見た。



「俺は、アレックスや団長に報告と情報整理してから…マルコムを探しに行く。俺かアレックスくらいしか抑えられないし、アレックスは団長から離すわけにいかない。」

 サンズは困ったように言った。



「…悲しんでいられないのですね…」

 チャーリーはサンズを気遣うように見た。



「…言うな。…とにかくこの双子を頼む。いい奴だから。」

 サンズをアランとリランの頭を叩いた。



「…存じております。」

 チャーリーはサンズに礼をした。



「…そういえば、団長様から…ヒロキ様のご遺体を馬車に乗せて帝都に連れて行って欲しいと…」

 チャーリーはサンズに許可を求めるように訊いた。



「…そうか。じゃあ、頼む。」

 サンズはチャーリーに礼をした。



「アランもリランも、また後でな。」

 サンズは二人の頭を撫でた。



「サンズさんも気を付けて。」

 アランは叩かれなかったことに少し驚いた顔をしたが、姿勢を正してサンズに言った。



「帝都で仕事します。」

 リランも姿勢を正して言った。



「ああ。」

 サンズは頷き、チャーリーを見た。



 チャーリーはサンズに頷き、アランとリランと歩いて行った。



 サンズは三人の背中を見て溜息をついた。



「…ガキどもよりも厄介な、聞かん坊の相手があるからな…」

 サンズは少し笑いながら言ったが、直ぐに悲しそうな顔をした。



 小屋の前には、沢山の騎士たちがサンズを見て姿勢を正し礼をした。

 サンズは手を挙げてそれに応えた。



 小屋の中も騎士が沢山いた。

 彼等の中心にはアレックスとジンがいた。

 ジンはいつも通り、包帯を巻いていた。



 そういえば、結局ジンの素顔は見れていない。あの時包帯を取ったのも、ヒロキに向けてだけで、アレックスくらいした彼を見ていない。



 普段なら気になって仕方ないが、今はそれどころではない。



「…マルコムを俺と数人の騎士で追います。アランとリランは最初の予定通り、帝都に戻ってもらいました。」

 サンズは周りを見て、あまり大声で言わなかった。



 ジンはサンズを向いて、何やら首を傾げていた。



「どうしました?団長…?」

 サンズは彼の視線のような注目に気付いて訊いた。



「…お前も帝都に行け。俺がマルコムを追う。」

 ジンは声を潜めて言った。



「ダメです。」

 アレックスがきっぱりと言った。



「そのほうが確実だ。」

 ジンはアレックスの方を向かずに言った。



「確実な状態で…団長は仮にも王族です。」

 アレックスは淡々と言った。

 ジンはアレックスの言葉に口を歪めた。



「そうです。アレックスと団長はここに残っていてください。アランとリランが情報を集めます。あいつ等は小回りが利くから…」

 サンズは小声でジンを宥めるように言った。



「…アレックス。今の言葉は本気か?」

 ジンは歯軋りをしてアレックスに訊いた。



「はい。団長は、マルコムたちが帰ってくるのを待っていてください。」

 アレックスは淡々と言った。



 アレックスの様子が何かおかしい。

 サンズは不審に思いながらも、彼がこんな対応を団長にするのは、何か考えがあるはずだと思い、深く追求しないことにした。



「…では、自分はマルコムを探しに行きます。」

 サンズは周りの騎士を見渡して、数人疲れてなさそうなものに声をかけ始めた。



「お疲れ様です。」

 そこに数人の騎士たちが入ってきた。

 彼等は丁度、外から戻ってきたようだった。



 あの騎士たちは選ぶべきではないなと、サンズは思った。



 騎士たちは若干目を輝かせて、成果があるような顔をしてジンたちの元に来た。



「団長!!ライガが滞在していたと思われる小屋を先ほど調査してまいりました。」

 一人の騎士が言った。



 とうとう、精鋭以外に小屋のことがバレたなとサンズは思った。



「マルコム殿から聞いた通りでした。…マルコム殿は?まだ戻っていないのですか?」

 別の騎士が辺りを見渡していた。



 その言葉にアレックスとサンズは顔色を変えた。



「おい!!」

 ジンは彼等よりも先にその騎士に詰め寄った。



「はひいい!!」

 騎士は驚いて声を裏返して返事をした。



「…マルコムは…どこに向かった?」

 ジンは顔が見えないのに、とてつもない迫力で騎士に訊いた。









 

 イシュは、少しおかしくて笑いそうだった。



 明かりが消えたのも、お宝様を隠そうとしたのも見えている。

 どうやらあの槍の騎士は自分の存在に気付いたようで、ライガに協力を要請したようだ。



 よりによって、お宝様を行き止まりの洞窟に隠すという暴挙に出た。



 イシュは完全に足音が聞こえなくなってから、そっと動き始めた。



 大体、お宝様を隠すのは、明かりを消してからすべきだった。

 イシュは内心彼らを嘲笑った。



「…せいぜい、地の利がある森の中で木を探し回ればいいさ。」

 イシュは洞窟の上の岩場からゆっくりと顔を出した。



 明かりが消えているからよく見えないが、周りに人はいない。



 足音を殺すのは慣れている。



 静かに森の音に紛れて着地した。

 我ながら完璧な音量だ。



 イシュは洞窟の中に明かりがあるのを確認した。



 中に入ると、馬が三匹いた。



「…用意がいいな…」

 イシュは馬の確保もできたと思ったが、どうお宝様を運ぼうかと考えた。

 とにかく、気絶させればいい。



 か弱い女性に乱暴はしたくないが、これも全て仕事だから仕方ない。自分を叱咤してそっと馬の元に寄った。



 ブルルルル

 馬はイシュを見て威嚇するように鼻を鳴らした。



「…静かにしろ。…どこ…」

 イシュは馬一匹以外繋がれた綱を切って、洞窟の外に放した。



 洞窟の中はいくつかの部屋が彫られている。



 誰かがかつて暮らしていたようだ。だが、今はどこに彼女がいるかだ。



 いや、誰もいない…



「…クソ!!」

 イシュは何かの不自然さに気付いて慌てて洞窟を出ようとした。



 振り向くと、槍を持った騎士が突進してきた。



 ガキン



 間に合わず、剣を抜いて止めるが、準備不足と油断で完全に押し負けそうだ。



「…一瞬が勝負だよ。」

 槍の騎士はイシュを見て歪んだ笑みを浮かべた。



「…こんにちは、マルコム君。」

 イシュは彼に笑い返した。



 槍の騎士マルコムは笑ったままだ。



 彼の背後から剣を構えたライガが出てきた。

 流石に槍を剣で防ぎながらは分が悪い。



 イシュは慌てて体勢を変えて槍を振りほどいて距離を取った。



 だが、ライガはマルコムの横をすり抜けて斬りかかった。

 ガキン

 と受け止め、弾く。



「どうして…」

 イシュは舌打ちをした。



「あそこは、ミヤビが選んだ場所だ。」

 ライガは剣を構えて言った。



「ミヤビは優秀な弓使いだからね。」

 マルコムは笑みを浮かべて言った。



「…最初から、気付いていたのか。」

 イシュは周りを見渡して、悔しそうに言った。



「お前に落ち込む暇なんか与えない。」

 マルコムは槍を構え、イシュに向かった。



 ガキン

 ガキン



 マルコムは力いっぱい槍を振り回す。



 少し隙だらけなのでは、と思うが、ライガがマルコムの正面について、イシュを挟むような位置に付いた。



 完全に隙が無い。



 攻撃を凌げず、イシュは何度かマルコムの槍の裏が当たった。



 刃を優先して避けることを考えると、食らうならそっちだと動いた。

 だが、中々重い。



 イシュは舌打ちをして、保険として用意した煙幕を取り出した。



 思いっきり地面に叩きつけると辺り一面が煙まみれになり、視界が無くなった。



 ガゴン

「が!!」

 だが、横からは槍の攻撃が来た。



 ザッ

 反対からは剣の斬撃もだ。



 イシュは慌てて剣を構え、振り回しながら飛び出した。



 見えないが、槍の攻撃も剣の攻撃も止まない。



 イシュを追うように攻撃が繰り返される。



 正面から槍の突きが来た。

 流石にこれは避けないと命に関わる。

 イシュは剣で受け流してから避けたが、その隙を剣の攻撃で切られた。



 背中を斬られ、背負っていた弓矢がばらけ、使えなくなった。



「クソ!!」

 イシュは痛みに呻きながら脱出することを目的に洞窟の出口に向かった。

 煙幕の外、洞窟の外に出ると



 ザク



 剣が左腕に刺さった。



 咄嗟に腕で止めたが、どうやら先回りして外に移動したらしい。



 やはり、地の利があるのは確かなようだ。



 イシュは腕を払い、剣を振り払って、背後を警戒して正面のライガと距離を取った。

 イシュの警戒通り、後ろにはマルコムがいた。



 槍を素早く突いて、イシュの胴体を狙っていた。



 勘で横に体を逸らしたのが幸いだったが、逸らさなければ風穴があいていた。

 イシュは逸らした勢いのままマルコムとも距離を取った。





「…はあ…はあ…」

 数度の打撃を食らい、剣の攻撃を受け、左腕は使えない。



 絶対絶命だが…

「…まだ、死ぬわけにはいかないからな…」

 イシュは残りの煙幕を取り出した。



 これは、耐性が無いと、刺激臭で立ち眩みがするものだ。



 イシュは地面にそれを叩きつけた。



 案の定、煙と共に広まった臭いでマルコムとライガふらついた。



「じゃあな!!」

 イシュは止血をしながら走り去った。



「黒幕に伝えろ!!」

 マルコムがイシュに怒鳴った。



「後で会いに行くとな!!」

 マルコムは脅すような口調だった。



「気が向けばな!!」

 イシュは逃げることをとにかく考え、彼の伝言を吟味する余裕はなかった。

 煙幕を持っておいて正解と思いながらイシュは走った。



 弓使いで隠密活動に慣れているイシュは、体型に似合わず静かに素早く動く。



 だが、弓も破壊されてしまい、戦闘に支障しかきたさない怪我を負ったイシュは、退散するしかなかった。



「…覚えてろ…」

 イシュは憎々し気に呟いた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

その狂犬戦士はお義兄様ですが、何か?

行枝ローザ
ファンタジー
美しき侯爵令嬢の側には、強面・高背・剛腕と揃った『狂犬戦士』と恐れられる偉丈夫がいる。 貧乏男爵家の五人兄弟末子が養子に入った魔力を誇る伯爵家で彼を待ち受けていたのは、五歳下の義妹と二歳上の義兄、そして王都随一の魔術後方支援警護兵たち。 元・家族の誰からも愛されなかった少年は、新しい家族から愛されることと癒されることを知って強くなる。 これは不遇な微魔力持ち魔剣士が凄惨な乳幼児期から幸福な少年期を経て、成長していく物語。 ※見切り発車で書いていきます(通常運転。笑) ※エブリスタでも同時連載。2021/6/5よりカクヨムでも後追い連載しています。 ※2021/9/15けっこう前に追いついて、カクヨムでも現在は同時掲載です。

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます

みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。 女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。 勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

パーティクラッシャー!?〜魔王を倒すため選ばれし勇者と旅をしている僧侶だが、最近パーティ内不純異性交友がけしからん!

ファンタジー
【第一部、完】【第二部に続きます】 【あらすじ】 魔王の討伐のため、光の神に選ばれた勇者の青年。 彼をサポートするために選抜されたのはハーフエルフの女魔導師、獣人の女戦士、そして光の神に仕える男僧侶レリジオだった。 心優しい勇者、高慢な魔導師に野生児の戦士とパーティのチームワークは良いとは言えない。 「優秀な聖職者であり年長者でもある私が、彼らをよく導いてやらねば」 僧侶レリジオはそう決意した。 しかし、ドラゴンを倒したりアンデッドと戦ったりの旅を続けているうちに、ふと気付くと勇者と女魔導師の距離が近い。イチャイチャしている。更に女戦士までもが勇者と距離を縮め出す。 「チームワークは大事だが、色恋はいけない!不和の元だ!不埒だ!」 魔王軍陣営も勇者の存在に気付き始めた。 このままでは本格的な魔王軍との戦いの前に、恐るべきトライアングルによりパーティ崩壊もあり得る!レリジオはパーティの仲を健全に保ち、なおかつ魔王を倒す使命を果たすため、奮起する。 旅のさなか、四魔侯なる幹部の存在を知り、一行は不死王を倒すことを決意する。 勇者がずっと秘めていた真実が、その戦いの最中に露見して…… 気軽に感想など頂けると嬉しいです。 なろう、カクヨムにも同じものを投稿しています コミッション依頼で表紙を作成して頂きました♪

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...