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40.情熱への一石

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 三人が出て行き、アランは少し安心した顔をしていた。



「やっぱり俺にはあの二人を止めることは出来ないですから、サンズさんで正解ですよ。」

 アランはどうやら自分とマルコムとミヤビを組ませなかったことに関して、感謝を伝えようとしているようだ。



「そうだな。サンズはあの二人よりも力があるからな。」

 ヒロキは頷き、駐在騎士と旅人を見た。



「悪いけど…」

 ヒロキが旅人に何かを訊こうとしたとき



「おい、待てヒロキ。」

 声に怒りを滲ませてジンがヒロキに詰め寄った。

 アランはまた不安そうな顔をした。



「だ…団長さんですか!?」

 だが、駐在騎士がもっと大きな声を出した。



「え?騎士団の?…ってことは王族!?この変な包帯の兄ちゃんが!?」

 旅人も気付いたのか慌てて姿勢を正した。



 駐在騎士は慌ててジンの元に駆け寄り、正面で礼をした。



「知らずにすみません!!別室にお通しします!!」

 一人の駐在騎士が叫ぶと他の騎士たちもジンを前に並び礼をした。



「俺は、そういうのは…」

 ジンは流石に無視できないと思ったのか駐在騎士たちを見て断ろうとした。



「そうはいきません。王族である前に、帝国騎士団のトップです。敬意を表すのは当然です。」

 駐在騎士たちは有無を言わせない様子でジンを別室に案内し始めた。



 ジンは聞こえないように舌打ちをした。

 そして、ヒロキを見た。



「ならば、そこにいるのは副団長だ。彼等も通してもらえるか?」

 死なばもろともという様子でヒロキの方を向いた。



 もちろんジンの話は聞き受けられ、ヒロキとアランも一緒に別室に通された。







 別室に通されると、休むように勧められた上にお茶まで出て、ジンは半ば強制的に椅子に座らせられていた。

 椅子が三つ用意され、上座にはジンが、机をはさみ向かい合うように二つの椅子が置かれていた。



 王族がいると違うらしく、駐在騎士たちは気を遣っているようだ。



「出て行って欲しい。ついでにあの旅人にもっと詳しく聞いておいてくれ。」

 ジンは駐在騎士に伝えた。



「いや、俺が聞いていたので、まだ聞きま…」

 ヒロキが手を挙げて、自分がその役割をすると言おうとしたとき



「お前はここにいろ。少し話がある。」

 ジンは駐在騎士とヒロキを両方睨んだ。



 彼の威圧に駐在騎士は部屋から出て行った。



 騎士たちが出て行き、しばらくジンとヒロキはにらみ合うような状態だったが、ため息をついてヒロキは椅子に腰かけた。

 アランもそれを見て同様に腰かけた。



「…どういうつもりだ?」

 ジンは険しい表情をしていた。



「何ですか?散散確認した行動ですよね。今更止めるんですか?」

 ヒロキは呆れたようにジンを見た。



「話と違う。お前が前に出るのはライガと対面するタイミングだ。今じゃない。」

 ジンは溜息をついて、出されたお茶の匂いを嗅いだ。そして軽く飲んで頷いた。

「毒は無い。」

 そう言うと机の上を滑らせてヒロキの前にお茶を置いた。



「逆だろ。毒見は…」

 ヒロキは呆れたように笑い、そのお茶を横のアランの前に滑らせた。



 飲めというようにアランを横目で見たが、もちろんアランは飲めるはずが無かった。



「いいか。絶対に無理はするな。帝都の外は危険だというのは何度も言っているはずだが、今回は俺が傍につけない。」

 ジンは念を押すようにヒロキに言った。



「知ってる。危険も承知だ。あんたが思っている以上に俺は強いぞ?」

 ヒロキは腕を組んでふんぞり返ってジンを見た。



「悔しいが、お前の腕が立つのは、それは認めるしかないが…」

 ジンはヒロキの横にいるアランを見た。

「他のやつよりも体が弱い。だから、こいつの無茶をさせるなよ、アラン。」

 低い声でジンは言った。



 アランは急に自分に声をかけられたことと、ジンの声のトーンの変化が激しすぎて飛び上がった。

「は…はひ!!」

 慌てて返事をしようとしたら変な声を発して、またさらに慌てたが、そんなアランの様子をジンはまったく気にしていなかった。



「部下を信用しろよ。」

 ヒロキは呆れたようにため息をついた。



「お前は部下だと思っていない。だが、アランは信頼できる部下だ。」

 ジンはアランの方を見て言った。



 アランは少し嬉しそうな表情をしたが、少ししたら何か引っかかるように首を傾げた。



 ジンは立ち上がり、向い側にヒロキとアランの元に向かった。

 アランは硬直し、目だけでジンを追っていた。



「俺はこれから単独でしか行動できないことをする。…実戦経験が他よりもないお前は無茶はするな。」

 ジンはヒロキの肩に手を置いた。



「…優しいな。変な包帯の…お兄ちゃんは…」

 ヒロキは揶揄うように笑った。



 ジンは無言で腕をヒロキの首に回し、軽く締め上げた。

「ぐ…おい!!苦しいって!!」

 ヒロキは慌てて腕を掴み離させようと抗った。



 横のアランはどうしようと立ち上がってオロオロしたが、どうすればいいのかわからなかったようで、座って二人の様子を見守った。



「必ず帰って来い。」

 ジンはヒロキの耳元に囁くように言った。



「俺は、約束は守る男ですよ。団長。」

 ヒロキはため息交じりに笑った。



 ジンはヒロキから離れるとアランを見た。



「お前もだ。決して無茶はするな。頭に血が上っているあの二人には言いにくいが、ライガを捕まえるよりも皇国連中が絡んでいることを突き止める方が大事だと言える。」

 ジンの言葉にアランは頷いた。



「はい。…俺もそう思います。」

 アランは本心で思っているようだった。

 どうやら彼は、ライガの裏切りに怒りは有れど、憎悪などは強くないようだ。それに加え、確かに彼も式典の乱入者と剣を交え、いなされていた。



「ライガを見つけたらあの二人よりも俺に報告しろ。できるだけあの二人をライガに近づけるな。」

 ジンはアランとヒロキを見て言った。



「ああ」

「はい」

 二人ははっきりと頷いた。



 ジンはその様子を見て安心したように頷き、部屋から出て行った。



 アランはジンが出て行ってからしばらくすると、体中の力が抜けたように椅子に寄りかかった。

「ああああ…緊張した…」

 アランは正直ミヤビとマルコムに対して使った精神と変わらないと思っていた。



「悪い奴じゃないんだよ。あいつも」

 ヒロキはアランの前に置いてあるお茶を、再び彼に勧めるように差し出した。



 アランは少し考え込んだ後、勧められたお茶を飲んだ。



「団長もだと思うんですけど、俺…実はそこまでライガのことを怒っていないんですよ。」

 アランは飲み干したお茶の容器を眺めて言った。



「わかっている。だから、お前は俺と組まされたんだ。」

 ヒロキはアランの肩を叩いた。



「ヒロキさんもですよね。ただ、怒るというよりも…寂しかったですね。」



「そうだろうな…」



「だって、俺たちは命を預け合った仲なのに、言ってくれなかったんですよ。ミヤビやマルコムはその思いが強すぎて怒りが上回っているのかもしれないですけど、俺は…ライガが幸せを掴もうとしている気がするんですよ。だとしても、一言くらい、別れの挨拶が欲しかった。」

 アランはヒロキを訴える様に見た。



「そうだろう。」

 ヒロキはアランの頭を軽く叩いた。

 そして剣を腰に装備して顎で扉の方を指した。



「ライガから話を聞きに行くぞ。あの二人よりも先にな。」

 ヒロキの言葉にアランは力強く頷いた。





 二人は廊下に出て、サンズたちが向かった市場を目的に動き出した。



「あの、気になったんですけど、ヒロキさんと団長っていつもあんな感じですか?」

 アランは初めてしっかりと見た二人のやり取りに何か引っかかることがあった。



「まあな。」

 ヒロキは軽く返事をするとそのまま詰め所から飛び出した。








 

 逃げる準備をしないといけないのに、ミラと触れ合いたくて、準備のめどがつくとすぐに二人で寝室になだれ込んだ。



 快楽を知った動物的だと思われるかもしれないが、そうではなく、それに加えて圧倒的な愛情があった。



 お互いが、自分の欲に忠実になると結局はお互いを求めることを知ったからなおさらだ。



 身体を重ねるだけでなく、鼓動と呼吸が重なることも求めるようになった。

 欲は、満たされると深くなる。



 彼女が自分だけの女性であるのはわかっているのに、自分の腕の中にいるのを何度も確認するように何度も触れた。

 どんな顔も見て、どんな顔も全て自分だけのものだと確認したかった。



 顔を見て何度も何度も愛を囁き、確かめ合った。



 だがやはり満たされると同時にもっと欲しくなる。



 壊れ物のように扱っていたのに、気が付いたら獣のように食い荒らしていた。



 息が絶え絶えになり、顔を歪めてもミラはライガに食いつこうとしてくれた。



 そうなるとやはり止められるものではなかった。





 カタリ



 何かの物音がした。



「ミラ。少し休もう。ごめんな。」

 ライガは気が付いた気配と、それに向けた自分の殺気をミラに勘付かれないように優しく笑った。



 ミラは微笑んで、よほど疲れたのかすやすやと寝始めた。



 彼女の姿を見て申し訳なく思いながらもライガはベッドを、物音を立てずに出て、素早く着替えた。



 剣ではなく斧を持って、物音の元に、気配の元に向かった。





「やり過ぎだろ。お前等猿かよ。」

 ライガが発している殺気に関わらず、気配の主はあっけらかんとした声で言った。



「覗き見が趣味か?」

 ライガは斧をいつでも振れるように訊き手で持ち、声の主のアシを睨んだ。



「そうでもないけど、お宝様、ミラちゃんだっけ?可愛いからいいなって」

 アシは両手をひらひらとして言った。どうやら武器を持っていないことと敵意が無いことを表わしているようだ。



「彼女に変な目を向けるな。殺すぞ。」

 ライガはアシを鋭く睨んだ。



「わかったって、やっぱりお前あの子が絡むと発する殺気がとんでもないぞ。」

 アシは慌てて首を振って取り繕うように笑った。



「何の目的だ?」



「冷たいな。協力者に…」



「お前とはこれ以上の付き合いは…」



「協力してやったんだ。追ってきている精鋭に対しての対抗措置を取ったんだぞ?」

 アシはわざとらしい悲しそうな顔をした。



「対抗措置?」

 ライガは首を傾げた。



「ああ。お前が流した遠くに行くって言う話、真実味を帯びるようにゴロツキ雇って、遠方に向かう道中でお前にやられたっていう話を影で広めてもらった。市場を嗅ぎつけるのも時間の問題だ。」

 アシは得意げに言った。



「やっぱり、俺を追うのは精鋭か…」

 ライガは何か納得したように呟いたが、警戒するようにアシを見た。



「なんだよ?感謝しろよ。」

 アシはライガの視線を受けて、胸を張って言った。



「何で協力する?」

 ライガはアシを睨んで、何かを測るように見た。



「見物料金…とか?」

 アシが笑いながら言うとライガは無言で斧を投げた。



 ガッ

 斧はアシの横を掠めて壁に刺さった。



「怖い怖い。…別に俺は、まだ仕事を終えていない。団長さんを出来るだけ狙いやすい位置に置きたいだけだ。」

 アシは諦めたようにライガに言った。



「俺は協力する気は無い。それに、団長は強い。お前が思っているようにやられる人ではない。俺もお前が思っているよりは強い。」

 ライガは断言した。



「そうだよな。前団長の息子だからな。」

 アシは煽るように言った。



 だが、ライガは怒ることなく静かに彼を睨み続けた。



「…わるかったよ。ただ、俺らは目的を達成するためにとった手段だ。お前らに捕まられると、俺たちは目的を達成しにくくなる。それだけだ。」

 アシはそう言うとライガの方を見たまま小屋から出て行った。



「…それだけ…どうだか。」

 ライガは去っていくアシを、やはり警戒するように睨んだ。





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