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ロートス王国への道のり~それぞれの旅路と事件編~
死神を招く王子
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時は少し遡り、ダウスト村でミナミの元にシルビオが接触し、マルコムに蹴り飛ばされている時と同時刻。
一日の執務が終わったオリオンは、一人自室で個人的な書類とにらめっこしていた。
湯あみを済ませ、楽なガウンを羽織り完全に無警戒な格好だ。
人と会うことを想定していない。
少し前まで一人でも警戒した格好をしていたが、最近は気を張る事が多いので、一人の時くらい楽にしてもいいだろう。
オリオンは疲れていた。
とは言ってもだらしない恰好をしているわけでは無い。
自室で一人なら自然な格好だ。
だが、オリオンの一番の変化は自室での格好ではない。
視界の端で何か影が揺れた。
オリオンはため息をついた。
ベランダに侵入者がいるのだ。
最初は驚いたが、オリオンが気づくということはあえて気付かせているのだ。
黙っていてもどうせ部屋に入るだろうし、オリオンは面倒になったのでベランダに向かった。
思った通りベランダには楽な格好をしたリランがいた。
リランは奪われていた火の魔力が戻ってから、よくオリオンの部屋にやってくる。
どうも、オリオンの傍にいる方が体の治りが早いらしい。
気のせいだと言いたいところだが、ライラック王国の王族の魔力はかなり特殊であるため、それは間違いや勘違いとは言いにくい。
というよりも事実である可能性が高い。
追い出しても無駄なのはわかっているのでオリオンは諦めることにしたのだ。
今までならどうにかして追い出そうとしただろうが、オリオンは疲れている。
それに、意外にこの男との会話はタメになるのだ。
たまに物騒過ぎることがあるが、オリオンの知らない諸島の外の話や情勢を聞くこともある。
執務室では公に話せないこともある。
「この時間まで仕事とはご苦労なことだな。」
リランはオリオンが先ほどまで見ていた書類を目ざとく見つけて労うように言った。
しかし、上から目線なものだ。
立場を考えると仕方ないが、オリオンは王族だ。
もう少し敬って欲しいものだ。
考えても無駄なことだが。
「父の部屋を整理していた。俺たちの知らないことがあれば…と思っていたが、だいたいは探られている。」
オリオンは先ほどまで、仕事というよりも公に探れないことを探っていたのだ。
それは亡くなった父親の部屋についてだ。
部屋の見取り図や机の中にあったものを紙に記録してもらったのだ。
不正や隠ぺいが無いように帝国騎士団を少し借りたので、記録された内容は間違いが無いだろう。
何か父親の思惑がわかるものが残っていないか調べていたのだ。
もちろん、ライラック王国の王族で生き残ってきた父親は用心深い。
「そうえいば、お前の父親は愛人は持たなかったらしいな。歴代の王が囲っていた愛人用の建物の見張りはなかなか骨が折れると聞いた。」
リランは思い出したように言った。
「ああ。その建物は調べた。隠し事をするにはうってつけなのはわかっている。」
オリオンはリランの言いたいことがわかった。
どうやら彼は愛人用に作られた部屋や建物に隠していないのかと言っているのだ。
「調べたと言っても、父君の部屋ほど念入りではないだろう。」
「それは…」
リランの言う通り、愛人用の建物は目録と見回りの記録だけだ。
「見取り図だって明確なものは無いのだろう?建物の土台が古い。増築を繰り返しているから物事をうやむやにするにはちょうどいい。」
リランは窓を締めながら言った。
確かに彼の言う通りだ。
「あえての王の隠し場を暴く…か。」
敢えて残され不明確にされた場所だ。
もちろん愛人という後ろめたい存在が住まう場所なのもあるが、隠し事に最適なのだ。
表に無い歴史がいくつも葬り去られているはずだ。
その葬り去られているモノに、父の前の王には愛人が複数いたのにも関わらず父しか子が残らなかったこともあるのだろう。
「お前の父親は抜け目がない。」
リランはオリオンが何を考えているのか気にせずに呟いている。
そういえばこの男は、父が死ぬ前の昼に色々話しているのだ。
帝国の手を取った理由も聞いているのではないか?
オリオンは探るようにリランを見た。
「表面的な理由しか聞いていない。こちらはそれで十分な大義名分だ。」
オリオンの考えていることを察したのか、リランは首を傾げて言った。
悩まし気に眉を寄せ大げさにため息をつく。
つくづくこの男は芝居じみた動きや話し方をする。
それは本音や真意を探らせないためには必要なことだが、どうも慣れてきているのに気に障る。
「俺が戻るまでに見取り図を作らせるといいだろう。
お前が王になるにあたって、誰かを迎えるかもしれないということを匂わせると色々副産物が釣れそうだな。」
リランは愉快そうに笑いながら言った。
オリオンはその言葉に少し苛立った。
「俺は妻を迎えないだろうな。」
「は?王族の義務だろ?」
オリオンの言葉にリランは心底驚いたように目を丸くした。
「俺の生い立ちを知っているならわかるだろ?俺は長耳族を母に持つ。そんな俺が子を残すと間違いなく長耳族が絡んでくる。」
オリオンがずっと考えていたことだ。
ミナミかホクトの子どもをオリオンの後の王にするつもりだった。
また、第一王子にも関わらずホクトや大臣が横やりを入れようとした理由でもある。
欲に目がくらんだというのもあるが、父の明言があったのも関わらずオリオンの王位が完全な物でなかった。
もっとも、完全な王位など無いが。
「なるほど…だからお前の父は後妻を得て子をもうけたのか」
「彼女はいい人だった。俺にも本当の母親のように接してくれて、だから父は安心して妻に迎えた。」
リランの後妻という言葉が少し嫌だったので、オリオンは義母を庇うように言った。
実際オリオンは義母を、ミナミたちの母親を慕っていた。
彼女はとても楽しくて愉快な人だった。
アズミの強引さやミナミの活発さは彼女譲りだ。
アズミとホクトと同じ青い瞳をキラキラ輝かせ、ホクトと同じ黒髪を靡かせ活発に動き回っていた。
色々な意味で目を離せない。
そしてホクトの素直なところは彼女譲りだ。
母親が違うオリオンは勝手に距離を置いていたが、四人で過ごした時間があったのは彼女のお陰だろう。
元気な彼女が急に死んだ。
オリオンの母親は病弱であったので、特に疑問は無かった。
しかし彼女は違った。
「急に死ぬ病気とはあるのだろうか…」
実の母ではないので近くにいたわけでは無いが、元気な彼女が急に亡くなったのは驚いた。
泣きじゃくる弟と妹にどう接するべきか悩んだ記憶があるが、オリオンも悲しかった。
「人は簡単に死ぬ。」
オリオンの呟きにリランが応えた。
芝居がかった口調が多い彼が珍しい無表情な呟きだった。
オリオンはリランを見た。
「お前だってわかっているだろ。」
リランは自嘲するように笑っている。
彼はオリオンの父親を差しているのか、もしくは彼を支えていたアロウを差しているのかわからなかった。
ただ、同じく簡単に人を亡くしたことがある同調がある。
「簡単に他人を屠っている帝国騎士団の死神が言うと説得力があるな。」
深く追求する気にならなかったので、オリオンは嫌味で返した。
いや、もしかしたら手を汚している死神としての自嘲だったのかもしれない。
「お前の真意とは別に、見取り図を作らせるのはいいだろうな。
俺が戻ってくるときに出来ていれば是非とも探らせてほしいものだ。」
リランは話題を戻すように首を振って言った。
しかし、先ほども言ってたが、聞き捨てならないことを言った。
「戻ってくる?」
オリオンは驚きを隠さずに聞き返した。
リランはまるでしばらくライラック王国から離れるようなことを言っているのだ。
「そうだ。この前長耳族の話をしたときに反抗勢力についてエミールと相談していただろ?
マルコムからけしかけられたのもあるが、どうも臭う。」
リランは以前執務室でエミールと相談していた長耳族が絡んでいる反抗勢力を探りに行くつもりのようだ。
「体は不完全でないのか?」
「だからお前の近くになるべくいるようにしている。
そもそも魔力をあまり使う気は無い。こう見えて剣での実力も併せて成り上がってきているからな。」
リランは腰に手を当てて胸を張って言った。
確かに彼の武力を疑ってはいない。
卓越した能力を目の当たりにしてきた。
しかし、オリオンはリランが弱いっているところを一番見ていると思うのだ。
後になってわかったことだが、最初に部屋に来た時は魔力を奪われて間もなく内部の損傷しており、ミナミやマルコム達を追いかける時には落馬している。この落馬はオリオンのせいだが。
そしてこの前の魔力が戻ったときは急激な変化にまた内部の損傷で吐血している。
「なんだ?その表情。心配してくれるとは嬉しいな。」
リランはオリオンの顔を見て揶揄うように笑った。
「当たり前だろう。
ライラック王国が帝国に守ってもらっている今、死神であるお前に何かがあると困る。」
オリオンはその揶揄いの口調や軽い笑みに苛立ったので、嫌味のような口調で言った。
「事態を認識していて偉いな。」
リランは嫌味を返すように笑いながら言った。
オリオンの接し方もあるのだが、この男はつくづく本音が見えない。
見えたとしても、後ろ暗いものも一緒にだ。
オリオンも人の事が言えないが、信頼関係を作るうえで、ある程度の本音は必要なのではないか?
何せオリオンはこの男に弱いところを見られているのだから、不公平に思えて仕方ない。
オリオンが不満そうな顔をしているのを見てリランは変わらず愉快そうな顔をしている。
それに対してもオリオンは苛立っている。
「見取り図ができたらとっとと探る。お前を待つことはない。
探りたいならそれまでに戻る事だな。」
オリオンは苛立ちをぶつけるように言った。
それに対してリランは目を丸くして驚いた顔をしている。
何故そんな顔をしているのかわからないが、繕った表情ではないのがわかったのでオリオンは少し愉快な気持ちになった。
一日の執務が終わったオリオンは、一人自室で個人的な書類とにらめっこしていた。
湯あみを済ませ、楽なガウンを羽織り完全に無警戒な格好だ。
人と会うことを想定していない。
少し前まで一人でも警戒した格好をしていたが、最近は気を張る事が多いので、一人の時くらい楽にしてもいいだろう。
オリオンは疲れていた。
とは言ってもだらしない恰好をしているわけでは無い。
自室で一人なら自然な格好だ。
だが、オリオンの一番の変化は自室での格好ではない。
視界の端で何か影が揺れた。
オリオンはため息をついた。
ベランダに侵入者がいるのだ。
最初は驚いたが、オリオンが気づくということはあえて気付かせているのだ。
黙っていてもどうせ部屋に入るだろうし、オリオンは面倒になったのでベランダに向かった。
思った通りベランダには楽な格好をしたリランがいた。
リランは奪われていた火の魔力が戻ってから、よくオリオンの部屋にやってくる。
どうも、オリオンの傍にいる方が体の治りが早いらしい。
気のせいだと言いたいところだが、ライラック王国の王族の魔力はかなり特殊であるため、それは間違いや勘違いとは言いにくい。
というよりも事実である可能性が高い。
追い出しても無駄なのはわかっているのでオリオンは諦めることにしたのだ。
今までならどうにかして追い出そうとしただろうが、オリオンは疲れている。
それに、意外にこの男との会話はタメになるのだ。
たまに物騒過ぎることがあるが、オリオンの知らない諸島の外の話や情勢を聞くこともある。
執務室では公に話せないこともある。
「この時間まで仕事とはご苦労なことだな。」
リランはオリオンが先ほどまで見ていた書類を目ざとく見つけて労うように言った。
しかし、上から目線なものだ。
立場を考えると仕方ないが、オリオンは王族だ。
もう少し敬って欲しいものだ。
考えても無駄なことだが。
「父の部屋を整理していた。俺たちの知らないことがあれば…と思っていたが、だいたいは探られている。」
オリオンは先ほどまで、仕事というよりも公に探れないことを探っていたのだ。
それは亡くなった父親の部屋についてだ。
部屋の見取り図や机の中にあったものを紙に記録してもらったのだ。
不正や隠ぺいが無いように帝国騎士団を少し借りたので、記録された内容は間違いが無いだろう。
何か父親の思惑がわかるものが残っていないか調べていたのだ。
もちろん、ライラック王国の王族で生き残ってきた父親は用心深い。
「そうえいば、お前の父親は愛人は持たなかったらしいな。歴代の王が囲っていた愛人用の建物の見張りはなかなか骨が折れると聞いた。」
リランは思い出したように言った。
「ああ。その建物は調べた。隠し事をするにはうってつけなのはわかっている。」
オリオンはリランの言いたいことがわかった。
どうやら彼は愛人用に作られた部屋や建物に隠していないのかと言っているのだ。
「調べたと言っても、父君の部屋ほど念入りではないだろう。」
「それは…」
リランの言う通り、愛人用の建物は目録と見回りの記録だけだ。
「見取り図だって明確なものは無いのだろう?建物の土台が古い。増築を繰り返しているから物事をうやむやにするにはちょうどいい。」
リランは窓を締めながら言った。
確かに彼の言う通りだ。
「あえての王の隠し場を暴く…か。」
敢えて残され不明確にされた場所だ。
もちろん愛人という後ろめたい存在が住まう場所なのもあるが、隠し事に最適なのだ。
表に無い歴史がいくつも葬り去られているはずだ。
その葬り去られているモノに、父の前の王には愛人が複数いたのにも関わらず父しか子が残らなかったこともあるのだろう。
「お前の父親は抜け目がない。」
リランはオリオンが何を考えているのか気にせずに呟いている。
そういえばこの男は、父が死ぬ前の昼に色々話しているのだ。
帝国の手を取った理由も聞いているのではないか?
オリオンは探るようにリランを見た。
「表面的な理由しか聞いていない。こちらはそれで十分な大義名分だ。」
オリオンの考えていることを察したのか、リランは首を傾げて言った。
悩まし気に眉を寄せ大げさにため息をつく。
つくづくこの男は芝居じみた動きや話し方をする。
それは本音や真意を探らせないためには必要なことだが、どうも慣れてきているのに気に障る。
「俺が戻るまでに見取り図を作らせるといいだろう。
お前が王になるにあたって、誰かを迎えるかもしれないということを匂わせると色々副産物が釣れそうだな。」
リランは愉快そうに笑いながら言った。
オリオンはその言葉に少し苛立った。
「俺は妻を迎えないだろうな。」
「は?王族の義務だろ?」
オリオンの言葉にリランは心底驚いたように目を丸くした。
「俺の生い立ちを知っているならわかるだろ?俺は長耳族を母に持つ。そんな俺が子を残すと間違いなく長耳族が絡んでくる。」
オリオンがずっと考えていたことだ。
ミナミかホクトの子どもをオリオンの後の王にするつもりだった。
また、第一王子にも関わらずホクトや大臣が横やりを入れようとした理由でもある。
欲に目がくらんだというのもあるが、父の明言があったのも関わらずオリオンの王位が完全な物でなかった。
もっとも、完全な王位など無いが。
「なるほど…だからお前の父は後妻を得て子をもうけたのか」
「彼女はいい人だった。俺にも本当の母親のように接してくれて、だから父は安心して妻に迎えた。」
リランの後妻という言葉が少し嫌だったので、オリオンは義母を庇うように言った。
実際オリオンは義母を、ミナミたちの母親を慕っていた。
彼女はとても楽しくて愉快な人だった。
アズミの強引さやミナミの活発さは彼女譲りだ。
アズミとホクトと同じ青い瞳をキラキラ輝かせ、ホクトと同じ黒髪を靡かせ活発に動き回っていた。
色々な意味で目を離せない。
そしてホクトの素直なところは彼女譲りだ。
母親が違うオリオンは勝手に距離を置いていたが、四人で過ごした時間があったのは彼女のお陰だろう。
元気な彼女が急に死んだ。
オリオンの母親は病弱であったので、特に疑問は無かった。
しかし彼女は違った。
「急に死ぬ病気とはあるのだろうか…」
実の母ではないので近くにいたわけでは無いが、元気な彼女が急に亡くなったのは驚いた。
泣きじゃくる弟と妹にどう接するべきか悩んだ記憶があるが、オリオンも悲しかった。
「人は簡単に死ぬ。」
オリオンの呟きにリランが応えた。
芝居がかった口調が多い彼が珍しい無表情な呟きだった。
オリオンはリランを見た。
「お前だってわかっているだろ。」
リランは自嘲するように笑っている。
彼はオリオンの父親を差しているのか、もしくは彼を支えていたアロウを差しているのかわからなかった。
ただ、同じく簡単に人を亡くしたことがある同調がある。
「簡単に他人を屠っている帝国騎士団の死神が言うと説得力があるな。」
深く追求する気にならなかったので、オリオンは嫌味で返した。
いや、もしかしたら手を汚している死神としての自嘲だったのかもしれない。
「お前の真意とは別に、見取り図を作らせるのはいいだろうな。
俺が戻ってくるときに出来ていれば是非とも探らせてほしいものだ。」
リランは話題を戻すように首を振って言った。
しかし、先ほども言ってたが、聞き捨てならないことを言った。
「戻ってくる?」
オリオンは驚きを隠さずに聞き返した。
リランはまるでしばらくライラック王国から離れるようなことを言っているのだ。
「そうだ。この前長耳族の話をしたときに反抗勢力についてエミールと相談していただろ?
マルコムからけしかけられたのもあるが、どうも臭う。」
リランは以前執務室でエミールと相談していた長耳族が絡んでいる反抗勢力を探りに行くつもりのようだ。
「体は不完全でないのか?」
「だからお前の近くになるべくいるようにしている。
そもそも魔力をあまり使う気は無い。こう見えて剣での実力も併せて成り上がってきているからな。」
リランは腰に手を当てて胸を張って言った。
確かに彼の武力を疑ってはいない。
卓越した能力を目の当たりにしてきた。
しかし、オリオンはリランが弱いっているところを一番見ていると思うのだ。
後になってわかったことだが、最初に部屋に来た時は魔力を奪われて間もなく内部の損傷しており、ミナミやマルコム達を追いかける時には落馬している。この落馬はオリオンのせいだが。
そしてこの前の魔力が戻ったときは急激な変化にまた内部の損傷で吐血している。
「なんだ?その表情。心配してくれるとは嬉しいな。」
リランはオリオンの顔を見て揶揄うように笑った。
「当たり前だろう。
ライラック王国が帝国に守ってもらっている今、死神であるお前に何かがあると困る。」
オリオンはその揶揄いの口調や軽い笑みに苛立ったので、嫌味のような口調で言った。
「事態を認識していて偉いな。」
リランは嫌味を返すように笑いながら言った。
オリオンの接し方もあるのだが、この男はつくづく本音が見えない。
見えたとしても、後ろ暗いものも一緒にだ。
オリオンも人の事が言えないが、信頼関係を作るうえで、ある程度の本音は必要なのではないか?
何せオリオンはこの男に弱いところを見られているのだから、不公平に思えて仕方ない。
オリオンが不満そうな顔をしているのを見てリランは変わらず愉快そうな顔をしている。
それに対してもオリオンは苛立っている。
「見取り図ができたらとっとと探る。お前を待つことはない。
探りたいならそれまでに戻る事だな。」
オリオンは苛立ちをぶつけるように言った。
それに対してリランは目を丸くして驚いた顔をしている。
何故そんな顔をしているのかわからないが、繕った表情ではないのがわかったのでオリオンは少し愉快な気持ちになった。
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