22 / 29
終章 ~広い世界へ~
最後の決別のために
しおりを挟む
ゼルの終業宣言が下り、出退勤表に記入して他の職人たちに交じって工房の外に出ると、夕日がやけに眩しかった。疲労感も酷いが、しかし倒れるほどでないのは、〝地獄の三ヶ月〟の賜物だろうか。
まあ、そうでなくても、今に限っては気を抜いている場合ではない──工房来客用の駐機場に止められた、黒い自動浮揚機を目にして、アレクシアは疲労感を緊張感で押し込めた。
向こうも気付いたのか、黒い服に身を包んだ人間が四人、浮揚機から整然とした動きで降りてきた。そのうちの一人と二、三言交わし、アレクシアは運転席に乗り込み、用意されていた免許取り立てであることを示す徽章を窓に張り付けると、浮揚機を発進させた。
教習所に通い始めた時ほどではないにせよ、公道を一人で走る事にはまだ少しばかりの緊張がある──とはいえ、後席からの隠そうともしない不機嫌な気配は、いい加減放っておくわけにもいかないだろう。
専用道路に入ったところで、後部確認用の鏡越しに、改めて相手を確かめ、
『少し痩せたかしら、エリッサ?』
と、些かワザとらしい砕けた調子の神聖帝国語で話しかけると、エリッサは鏡越しに睨み返し、
『‥‥‥こんな得体の知れない〝箱〟まで操るようになったのか』
『おかげさまでね。まあ、あくまで運転資格だけだし、これはあくまで無理を言って借りただけなんだけど』
これもまた、〝地獄の三ヶ月〟の賜物であった。自動浮揚機のみならず、各種作業用重機の資格まで手に入れた。
それを喜ぶアレクシアに、鏡華はしっかり釘を刺してきた。
『ウチのは、あくまでウチの浮揚機よ。どうしても必要な時に貸すだけよ。好きに動かしたければ、自分のを手に入れなさい』
ちなみに──新品の自動浮揚機の平均的な価格は、工房勤めの給料一年分でも足りない。分割払いという手もあるが、いずれにせよ、自家用浮揚機の購入はまだまだ先の話であった。
『なるほど、すっかり野蛮な世界に染まってしまったようだな。〝出来損ない〟とはいえ、ここまで堕ちたか』
『野蛮な世界、ね』
エリッサの憎まれ口に、今更アレクシアは腹も立たない。むしろ、思ったよりは元気であることに安心した。
そして、かつて恐怖の象徴だった相手がどれ程の者かも、今はよく見えていた──嫌という程に。
だから──アレクシアは、容赦しなかった。
『野蛮な連中が相手だと思ったから、平気で色々と盗んだのね。しかも、野盗まがいに襲い掛かって傷つけて強引に奪い取って』
『盗んだのではないっ! 野蛮で下劣な者共から取り返したのだっ!』
エリッサは、顔を真っ赤にして怒鳴り返した。
『大体、何が〝法で裁く〟だっ! 法とは、神の御名の元に定められた神聖なる意思っ! それを、穢れた者共が口にするだけでもおぞましいというのに、小癪にも行使しようなどと、許されない冒涜だっ!』
『ねえ‥‥‥この街が、まさか見えてないわけじゃないわよね?』
怒声を聞き流しながら、アレクシアは手元の操作盤に指を走らせ、後席の窓を開けてやる。目に映るのは、流れ行く摩天楼の光景と、いくつもの浮揚機の姿。
『‥‥‥冒涜の象徴など見たくもない』
鼻を鳴らしながら、エリッサは目を背ける。
『天は神の領域。そこへ届かせようなど、冒涜以外の何物でもない。ましてや、穢れた種族の作り出したモノなど、所詮見かけ倒しだ。神聖帝国が総力を挙げれば、枯れ木同然に』
『壊すだけなら、総力なんて必要ないわよ。でも、同じモノを神聖帝国の総力を作ることは出来るかしら?』
『貴様は自分が何を言っているのか分かっているのか? 天の領域に届かせる建物など冒涜だと、今言ったばかりだろうが』
『この三ヶ月間、そんなことしか考えてなかったの? 貴方こそ、勢いだけでモノを言ってないかしら?』
いくら幽閉されていると言っても、エリッサは三ヶ月間も何もしていなかったわけではない。幾度となく尋問は行われ、その流れで外部の情報も多少なりとも伝えられていた。尋問内容にしても、拷問などは一切行われない事務的なモノ。更に、健康を損なわないよう食事にも気を遣われ、定期的な診断が行われていた。
〝規則正しい〟という意味では、神聖帝国の貴族よりも良い暮らしで、それが事実だということは、エリッサの今の様子を見れば明らかだ。
『貴方の言う〝野蛮な世界〟の中で三ヶ月も過ごして、何も見てなかったのね。ただただ憎んで恨んでいじけて不貞腐れてただけだったのね』
『だ、黙れっ!』
冷えていくアレクシアの熱を奪うように、エリッサの熱は上がっていく。
『〝出来損ない〟が偉そうに説教など吐きつけるなっ!』
『分かったわ。なら、お喋りはひとまず止めましょう。論より証拠とも言うしね』
アレクシアは、路線を変更──専用道路から抜ける道に入った。
*****
しばしの無言を経て、やって来たのはアレクシアが前に来た海を一望できる高台。以前来た時と同じ、雲一つない夕空が広がっていた。こんな時でなければ、気分よくクレープでも食べられたのだが、残念なことに今日は屋台は出ていないようだ。
『来たわよ』
轟音と共に、頭上をいくつもの影が過る。
スサノオ級大型戦艦を旗艦とした空飛ぶ艦隊──否、空の牙城群。
小振りであるというアマカゼ級を一隻目にしただけで、アレクシアは言葉を失ったのだ。それ以上の大きな船が、いくつも並んで頭上を通り過ぎていくのを目にしたエリッサはといえば、
『‥‥‥』
口を半開きにしたまま凍り付いていた。
『もちろん、あれで全部じゃないわ。軍隊だから細かい数字は表沙汰になってないけど、少なくとも十や二十じゃ利かないことは確かね』
『‥‥‥な、に?』
『それと、〝大地の壁〟くらいは、遥か下に見下ろすくらいに高い場所を飛べるし、地平や水平の彼方から正確に届かせて当てられる武器もたくさん積んでる』
『‥‥‥』
『貴方が言うところの、〝穢れた種族の野蛮な世界〟っていうのは、そういうのが当たり前にあって当たり前に作れる国なのよ。そんなのに、神の御名の元に滅して~なんて手を出したら‥‥‥いえ、手を出さなくても、何かの気まぐれで神聖帝国を侵略しようなんてことになったら』
『もう、いい‥‥‥』
よろめくエリッサの体を、アレクシアはすかさず支える。さすがに言い過ぎたと内心反省しつつ、更に続けた。
『でも、彼らはそんなことはしないわ。手を出してきた分はしっかりやり返すだろうけど、それ以上の事はしない。ましてや、自分から侵略しようなんて意思は無いわ』
『‥‥‥何故、そう言い切れる?』
『あれを見て』
沖に浮かぶ、山のような巨木──〝海の庭園〟を、アレクシアは示した。
『陽出は、大陸じゃなくてもっと〝外〟──誰にも踏み入られていない、〝未開の地〟を目指してる』
それは、誰かが切り開いた誰かの場所を奪い取るよりも遥かに難しく、だからこそ得るモノも大きい。
『だから、腐り切った国に構ってる暇なんても無いってことよ』
『腐り切った、だと‥‥‥っ?』
エリッサの気配が、強い怒りに変わる。それを受けて、アレクシアは冷めた目で見返し、
『腐ってるわよ。例えば貴方なんて、見向きもしなくていい〝出来損ない〟の鼻を明かそうと、意味も無く虐めてたじゃない』
『き、貴様っ』
『それとも、何か意味があったの?』
エリッサの怒りを真っ向から受け止め、そして真っ向から見据える。
『私を叩きのめして、陥れて、それで貴方は本当に満足だったの? 満足するような何かを得られたの?』
『‥‥‥っ』
何かを言い返そうとして、しかしエリッサは押し黙り、逃げるように目を逸らした。
それが、何よりの答えだった。
『そうね、貴方の言う通り。私には貴方に説教する資格なんて無いわ。だって私は』
アレクシアは、沸きあがる怒りと痛みを堪え、絞り出すように告白した。
『私が一番憧れていたのは、そんな貴方──エリザヴェータ・シュトルメアだったんだもの』
まあ、そうでなくても、今に限っては気を抜いている場合ではない──工房来客用の駐機場に止められた、黒い自動浮揚機を目にして、アレクシアは疲労感を緊張感で押し込めた。
向こうも気付いたのか、黒い服に身を包んだ人間が四人、浮揚機から整然とした動きで降りてきた。そのうちの一人と二、三言交わし、アレクシアは運転席に乗り込み、用意されていた免許取り立てであることを示す徽章を窓に張り付けると、浮揚機を発進させた。
教習所に通い始めた時ほどではないにせよ、公道を一人で走る事にはまだ少しばかりの緊張がある──とはいえ、後席からの隠そうともしない不機嫌な気配は、いい加減放っておくわけにもいかないだろう。
専用道路に入ったところで、後部確認用の鏡越しに、改めて相手を確かめ、
『少し痩せたかしら、エリッサ?』
と、些かワザとらしい砕けた調子の神聖帝国語で話しかけると、エリッサは鏡越しに睨み返し、
『‥‥‥こんな得体の知れない〝箱〟まで操るようになったのか』
『おかげさまでね。まあ、あくまで運転資格だけだし、これはあくまで無理を言って借りただけなんだけど』
これもまた、〝地獄の三ヶ月〟の賜物であった。自動浮揚機のみならず、各種作業用重機の資格まで手に入れた。
それを喜ぶアレクシアに、鏡華はしっかり釘を刺してきた。
『ウチのは、あくまでウチの浮揚機よ。どうしても必要な時に貸すだけよ。好きに動かしたければ、自分のを手に入れなさい』
ちなみに──新品の自動浮揚機の平均的な価格は、工房勤めの給料一年分でも足りない。分割払いという手もあるが、いずれにせよ、自家用浮揚機の購入はまだまだ先の話であった。
『なるほど、すっかり野蛮な世界に染まってしまったようだな。〝出来損ない〟とはいえ、ここまで堕ちたか』
『野蛮な世界、ね』
エリッサの憎まれ口に、今更アレクシアは腹も立たない。むしろ、思ったよりは元気であることに安心した。
そして、かつて恐怖の象徴だった相手がどれ程の者かも、今はよく見えていた──嫌という程に。
だから──アレクシアは、容赦しなかった。
『野蛮な連中が相手だと思ったから、平気で色々と盗んだのね。しかも、野盗まがいに襲い掛かって傷つけて強引に奪い取って』
『盗んだのではないっ! 野蛮で下劣な者共から取り返したのだっ!』
エリッサは、顔を真っ赤にして怒鳴り返した。
『大体、何が〝法で裁く〟だっ! 法とは、神の御名の元に定められた神聖なる意思っ! それを、穢れた者共が口にするだけでもおぞましいというのに、小癪にも行使しようなどと、許されない冒涜だっ!』
『ねえ‥‥‥この街が、まさか見えてないわけじゃないわよね?』
怒声を聞き流しながら、アレクシアは手元の操作盤に指を走らせ、後席の窓を開けてやる。目に映るのは、流れ行く摩天楼の光景と、いくつもの浮揚機の姿。
『‥‥‥冒涜の象徴など見たくもない』
鼻を鳴らしながら、エリッサは目を背ける。
『天は神の領域。そこへ届かせようなど、冒涜以外の何物でもない。ましてや、穢れた種族の作り出したモノなど、所詮見かけ倒しだ。神聖帝国が総力を挙げれば、枯れ木同然に』
『壊すだけなら、総力なんて必要ないわよ。でも、同じモノを神聖帝国の総力を作ることは出来るかしら?』
『貴様は自分が何を言っているのか分かっているのか? 天の領域に届かせる建物など冒涜だと、今言ったばかりだろうが』
『この三ヶ月間、そんなことしか考えてなかったの? 貴方こそ、勢いだけでモノを言ってないかしら?』
いくら幽閉されていると言っても、エリッサは三ヶ月間も何もしていなかったわけではない。幾度となく尋問は行われ、その流れで外部の情報も多少なりとも伝えられていた。尋問内容にしても、拷問などは一切行われない事務的なモノ。更に、健康を損なわないよう食事にも気を遣われ、定期的な診断が行われていた。
〝規則正しい〟という意味では、神聖帝国の貴族よりも良い暮らしで、それが事実だということは、エリッサの今の様子を見れば明らかだ。
『貴方の言う〝野蛮な世界〟の中で三ヶ月も過ごして、何も見てなかったのね。ただただ憎んで恨んでいじけて不貞腐れてただけだったのね』
『だ、黙れっ!』
冷えていくアレクシアの熱を奪うように、エリッサの熱は上がっていく。
『〝出来損ない〟が偉そうに説教など吐きつけるなっ!』
『分かったわ。なら、お喋りはひとまず止めましょう。論より証拠とも言うしね』
アレクシアは、路線を変更──専用道路から抜ける道に入った。
*****
しばしの無言を経て、やって来たのはアレクシアが前に来た海を一望できる高台。以前来た時と同じ、雲一つない夕空が広がっていた。こんな時でなければ、気分よくクレープでも食べられたのだが、残念なことに今日は屋台は出ていないようだ。
『来たわよ』
轟音と共に、頭上をいくつもの影が過る。
スサノオ級大型戦艦を旗艦とした空飛ぶ艦隊──否、空の牙城群。
小振りであるというアマカゼ級を一隻目にしただけで、アレクシアは言葉を失ったのだ。それ以上の大きな船が、いくつも並んで頭上を通り過ぎていくのを目にしたエリッサはといえば、
『‥‥‥』
口を半開きにしたまま凍り付いていた。
『もちろん、あれで全部じゃないわ。軍隊だから細かい数字は表沙汰になってないけど、少なくとも十や二十じゃ利かないことは確かね』
『‥‥‥な、に?』
『それと、〝大地の壁〟くらいは、遥か下に見下ろすくらいに高い場所を飛べるし、地平や水平の彼方から正確に届かせて当てられる武器もたくさん積んでる』
『‥‥‥』
『貴方が言うところの、〝穢れた種族の野蛮な世界〟っていうのは、そういうのが当たり前にあって当たり前に作れる国なのよ。そんなのに、神の御名の元に滅して~なんて手を出したら‥‥‥いえ、手を出さなくても、何かの気まぐれで神聖帝国を侵略しようなんてことになったら』
『もう、いい‥‥‥』
よろめくエリッサの体を、アレクシアはすかさず支える。さすがに言い過ぎたと内心反省しつつ、更に続けた。
『でも、彼らはそんなことはしないわ。手を出してきた分はしっかりやり返すだろうけど、それ以上の事はしない。ましてや、自分から侵略しようなんて意思は無いわ』
『‥‥‥何故、そう言い切れる?』
『あれを見て』
沖に浮かぶ、山のような巨木──〝海の庭園〟を、アレクシアは示した。
『陽出は、大陸じゃなくてもっと〝外〟──誰にも踏み入られていない、〝未開の地〟を目指してる』
それは、誰かが切り開いた誰かの場所を奪い取るよりも遥かに難しく、だからこそ得るモノも大きい。
『だから、腐り切った国に構ってる暇なんても無いってことよ』
『腐り切った、だと‥‥‥っ?』
エリッサの気配が、強い怒りに変わる。それを受けて、アレクシアは冷めた目で見返し、
『腐ってるわよ。例えば貴方なんて、見向きもしなくていい〝出来損ない〟の鼻を明かそうと、意味も無く虐めてたじゃない』
『き、貴様っ』
『それとも、何か意味があったの?』
エリッサの怒りを真っ向から受け止め、そして真っ向から見据える。
『私を叩きのめして、陥れて、それで貴方は本当に満足だったの? 満足するような何かを得られたの?』
『‥‥‥っ』
何かを言い返そうとして、しかしエリッサは押し黙り、逃げるように目を逸らした。
それが、何よりの答えだった。
『そうね、貴方の言う通り。私には貴方に説教する資格なんて無いわ。だって私は』
アレクシアは、沸きあがる怒りと痛みを堪え、絞り出すように告白した。
『私が一番憧れていたのは、そんな貴方──エリザヴェータ・シュトルメアだったんだもの』
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

キモおじさんの正体は…
クラッベ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生し、ヒロインとなったナディア。
彼女はゲーム通りにいかない悪役令嬢のビビアンに濡れ衣を着せ、断罪イベントの発生を成功させる。
その後の悪役令嬢の末路は、ゲーム通りでは気持ち悪いおっさんに売られていくのを知っているナディアは、ざまぁみろと心の中で嘲笑っていた。
だけどこの時、この幸せが終わりを迎えることになるとは、ナディアは思っても見なかったのだ。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる