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1章 嫌われ者は学園を去る
第2話
しおりを挟む僕はその場から離れて直ぐに学園の正門の方に向かった。
今僕達が居るこの学園はローズベニア国立ロザリア学園だ。
この国の王族も通うこの学園のだだっ広い設備や警備など全てに手が行き届いおり、不便に思うことはまず無い。
唯一文句があるとすれば広すぎることくらいだろう。
僕がより近かった裏門ではなく、正門の方へ向かっているのには理由がある。
まず前提としてこの学園に通うのは大半が貴族の子息なのだが、稀に財力を持っている商家の子息やその優秀さ故に特待生として入学を許される生徒がいる。
特に特待生は数が少なくて400人以上いる学年の中で片手の指で収まるほどしかいない。
貴族の子息入学試験に加えていくつもの厳しい試験や条件があるらしく、とても狭き門なのだと聞いたことがある。さらに、定期試験で常に学年で5位以内をとらないと退学させられてしまうそうだ。
おかげで第5学年である僕らの学年には入学当初5人はいたはずの特待生が僕のクラスにいるミラという可愛らしい青年だけになっていた。
この5年間たまたま彼と同じクラスだった僕は優しく、努力家な彼を純粋に尊敬している。また、彼はこんな僕にも優しく接してくれる数少ない人のひとりでもあった。
何度も話しかけてくれる彼に1度、嫌われ者の僕とは関わらない方がいいと直接言ったことがある。ただでさえ平民で立場が弱いのに僕と関わるとさらに状況が悪化してしまうと思ったからだ。
すると彼は、「ミラはもっとリアム様とお話したりして仲良くなりたいです!文句言ってくるやつもリアム様に危害を加えるやつも僕がぶっ飛ばします。ミラじゃ頼りないですか?」と大きな瞳をうるうるさせながらも僕の目を真っ直ぐ見つめて言ってくれた。
そんな風に言われたことの無い僕は思わず目を見開き戸惑いを隠せずにいたが、直ぐに嬉しさが込み上げてきて笑みを浮かべた次の瞬間には人目もはばからずミラに抱きついてしまっていた。ミラは真っ赤になって驚いていたが直ぐに僕のことを抱き返してくれた。
その出来事をきっかけとして学園内で共に過ごすようになり、今では親友といえるほどの仲になっていた。
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