あざといが過ぎる!

おこげ茶

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第1話

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 「ねぇ…。お願い?」

 男子高校生にしては小さく、白い両手を胸の前でぎゅっと握る。顎を軽く引いて八の字にした眉の下のくりっとした大きな目をうるませて上目遣いをして紅く、小さな口はきゅっと引き結び、こてんと軽く首を傾げた。

 (我ながら今日も満点!)

 必殺のお願い♡ポーズを決めながら自画自賛する。容姿も性格も普段から可愛いを心がけている僕には朝飯前だ。

 可愛いは正義だ。この閉鎖された男ばかりの学園では尚更。僕は人よりそれをちょこっとよく知っていて快適なDKライフをおくるためにちょこっとばかし利用している。

 僕、天宮 美緒あまみや みおが可愛いと自覚したのは物心ついてからすぐだったと思う。赤ん坊の頃から可愛さがカンストしてた僕は母に女の子の格好をさせられて幼稚園に行ったり遊びに行ったりしていた。僕は当時「かわいいぼくがかわいいお洋服を着るのは当然!」ぐらいに思っていたのだが、善悪の判断もつかない幼稚園児たちはそうは思わなかったらしい。男でありながらフリルやリボンのついた服を着る僕をあろうことか仲間はずれにしたり、悪口を言って虐めてきたりした。
 普通お友達にそんなことをされたら女の子のような格好を辞めたいと言ったり世間一般の男の子らしいに寄せたりするだろう。
 ただ、僕はしたたかだった。それもそうだろう。僕は知っていたのだ。僕に向けられる好意的な視線を。だから、理解していた。僕を虐める園児たちの視線にも少なからず好意的なものが混じっているのを。
 そこからはつついて堕とすだけの簡単な作業だった。よわい3つにして既にあざとテクニックをマスターしていた僕はそれらを乱用し、最終的には僕を虐めるような子はいなくなった。むしろお願いを聞いてくれることが増えたぐらいだ。
 そうして僕は可愛いは正義の信条の元、僕の可愛いを確立していきみんなから愛でられる立場を築き上げてきた。

 しかし、それも小学校高学年に入る頃には厳しくなってきた。男の子に関しては問題ない。女の子に関してだ。
 それまでは"可愛い男の子"である僕を着せ替え人形かのように可愛がってきた女の子達がだんだんと嫉妬の目線を向けるようになってきたのだ。
 僕は焦った。女の子のになってしまっていることに。
 当時、僕にも好きな子がいたがその子さえも僕の可愛いさに嫉妬の目を向けた。それが僕にはとてもじゃないけど耐えられなかった。恋愛対象じゃなくて恋敵としてしか見られてないのが悲しかった。
 男の子に関する恋愛感情で男が恋敵になるなんて普通に考えて有り得ないのに。

 そこから僕は悩んで全寮制の男子校─私立春芽咲はるがさき学園に中学受験することにした。要するに逃げたんだ。女の子と関わることから。
 女の子の嫉妬は男の単純な感情と比べ物にならないくらい深くて恐ろしかった。それがきっかけで僕は女の子と関わるのが若干トラウマになってしまっている。
 女性の先生などと関わることで少しずつトラウマを克服していければいいなとか考えていたのだが、誤算だった。教師にすら一切女性がいないのだ。それを知った時、僕は絶望しながらもどこか安心した気持ちでいた。
 そしてなんだかんだ一切女性との関わりを絶ったまま、今まで来てしまっている。あざとさと可愛さだけ、磨きがかかっていき、ここでも変わらず愛玩動物のような立ち位置を築き上げてしまっていた。




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感想 1

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