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28話「ダブルデート」中編その3
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「おーい、お前ら早く来いよって!」
石田は俺たちを置いてどんどん先を進んでいく。
勿論、富田さんも置いてだ。
「ふふっ。 石田くん張り切りすぎだね」
張り切る石田を見て富田さんと顔を合わせて笑う真柴。
「石田くんのあーいうとこ、可愛いよね」
富田さんが笑顔でそんなことを言う。
「おっ、さては石田くんに気があるのかい?」
すかさず真柴が問う。
まったく女子ってのはどうしてこう恋バナってのが好きなのだろう。
……唯はどうなんだろうか。
「ち、違う違う! た、ただ石田くんみたいに子供っぽい人っていいなぁって!」
「ふーん、真由美ちゃん顔赤~い!」
「え、本当?」
そう言って笑い合う二人。
いつの間にか結構仲良しになってやがる。
何だか俺だけ浮いてる感じがするんだが。
11年後の俺と富田さん(11年後には真由美と呼んでる)は俺が石田の友達ということもあってそれなりに仲が良い。
だけど今は初対面に近いんだよなぁ。
「ねえ、淳一くんは部活とか入ってるの?」
富田さんが俺に問う。
いきなり話しかけられたのでびっくりした。
「あー、俺は帰宅部」
「はーい! 私も帰宅部でーす!」
真柴がすかさず会話に参戦する。
俺の手を取って手を上げさせる。
「そうなんだ、二人とも仲良しだね」
「そうそう、私たちは深~い関係!」
「いやいや、ただのバンドメンバーな」
「むうっ。 冷静に突っ込みすぎだよ淳一くん。 面白くないやつだなぁ」
「こんなのに面白い必要なんかあるかよ」
「ふふっ、本当に仲良しなんだね二人とも」
俺と真柴のやり取りを見て富田さんは声を出して笑った。
「おぉー、ウケましたぜ相方」
「バーカ、コントじゃねえよ」
まったく。 真柴と話してると突っ込みたくなくても突っ込んでしまう。
……まあそれも楽しいのだが。
*
遊園地は日曜日であるにも関わらず空いていた。
今思えば、この頃から集客難で閉園フラグは立っていたんだろうな。
俺たちはコーヒーカップ、ジェットコースター、ゴーカート、とアトラクションを回っていった。
当たり前だがコーヒーカップもジェットコースターもゴーカートも俺と真柴、石田と富田さんが隣り合って座った。
真柴は想像通り、絶叫系は大好きみたいではしゃぎまくってた。
石田は……意外とこいつ、絶叫系が苦手で俺の前の席に座っていたのだが、終始叫んでいた。 勿論、悲鳴である。
富田さんはというと、真柴と同じく絶叫系が大好きで別の意味で叫んでいた。
そして今、俺たちは観覧車に乗ろうとしている。
観覧車なんてカップルのためのアトラクションだって聞いたことがある。
観覧車がてっぺんに到達した時にキスをするとか……
……そんなことを考えていると何だか意識してしまうな。
「はい、では前から5列の人まで入場してください」
係員の人が俺たちを案内した。
前から5列ということで4列目と5列目の俺たちはギリギリ入場することができた。
「じゃあ後でなお前ら!」
笑顔でそう話す石田。
よっぽど富田さんと二人きりでいれることが嬉しいようだ。
「よいしょっと」
観覧車に中に入ると当たり前だが真柴と二人きりになった。
「おぉー、やっぱり狭いねー。 観覧車」
「だな。 久しぶりに乗った気がする」
「私もー……ねえ、やっと2人きりだね」
真柴がニヤニヤと笑う。
こいつ……からかってやがるな。
まあ、からかってるってわかれば俺も意識しないで済むしな。
「そりゃあ今この観覧車には俺と真柴しか乗ってないからな。 そりゃあ2人きりだろう」
「もー、またそうやって淳一くんはつまらないことを言うんだから」
「いや、だってお前俺をからかってるだけだからな」
「んー、からかってるつもりはないんだけどなー」
「嘘つけ」
俺がそう言ったのと同時に、目の前に真柴の顔が現れた。
唇が触れるんじゃないかと思うほど近い。
5センチ、いやあと3センチだろうか。
後ろから誰かに背中を押されでもしたら唇に触れてしまいそうだ。
そんな状況に、目の前に現れた真柴の整った顔、ぷっくりとした唇に思わず胸が高鳴る。
「これでもからかってるって思う?」
いつもより真剣な顔で真柴は尋ねた。
石田は俺たちを置いてどんどん先を進んでいく。
勿論、富田さんも置いてだ。
「ふふっ。 石田くん張り切りすぎだね」
張り切る石田を見て富田さんと顔を合わせて笑う真柴。
「石田くんのあーいうとこ、可愛いよね」
富田さんが笑顔でそんなことを言う。
「おっ、さては石田くんに気があるのかい?」
すかさず真柴が問う。
まったく女子ってのはどうしてこう恋バナってのが好きなのだろう。
……唯はどうなんだろうか。
「ち、違う違う! た、ただ石田くんみたいに子供っぽい人っていいなぁって!」
「ふーん、真由美ちゃん顔赤~い!」
「え、本当?」
そう言って笑い合う二人。
いつの間にか結構仲良しになってやがる。
何だか俺だけ浮いてる感じがするんだが。
11年後の俺と富田さん(11年後には真由美と呼んでる)は俺が石田の友達ということもあってそれなりに仲が良い。
だけど今は初対面に近いんだよなぁ。
「ねえ、淳一くんは部活とか入ってるの?」
富田さんが俺に問う。
いきなり話しかけられたのでびっくりした。
「あー、俺は帰宅部」
「はーい! 私も帰宅部でーす!」
真柴がすかさず会話に参戦する。
俺の手を取って手を上げさせる。
「そうなんだ、二人とも仲良しだね」
「そうそう、私たちは深~い関係!」
「いやいや、ただのバンドメンバーな」
「むうっ。 冷静に突っ込みすぎだよ淳一くん。 面白くないやつだなぁ」
「こんなのに面白い必要なんかあるかよ」
「ふふっ、本当に仲良しなんだね二人とも」
俺と真柴のやり取りを見て富田さんは声を出して笑った。
「おぉー、ウケましたぜ相方」
「バーカ、コントじゃねえよ」
まったく。 真柴と話してると突っ込みたくなくても突っ込んでしまう。
……まあそれも楽しいのだが。
*
遊園地は日曜日であるにも関わらず空いていた。
今思えば、この頃から集客難で閉園フラグは立っていたんだろうな。
俺たちはコーヒーカップ、ジェットコースター、ゴーカート、とアトラクションを回っていった。
当たり前だがコーヒーカップもジェットコースターもゴーカートも俺と真柴、石田と富田さんが隣り合って座った。
真柴は想像通り、絶叫系は大好きみたいではしゃぎまくってた。
石田は……意外とこいつ、絶叫系が苦手で俺の前の席に座っていたのだが、終始叫んでいた。 勿論、悲鳴である。
富田さんはというと、真柴と同じく絶叫系が大好きで別の意味で叫んでいた。
そして今、俺たちは観覧車に乗ろうとしている。
観覧車なんてカップルのためのアトラクションだって聞いたことがある。
観覧車がてっぺんに到達した時にキスをするとか……
……そんなことを考えていると何だか意識してしまうな。
「はい、では前から5列の人まで入場してください」
係員の人が俺たちを案内した。
前から5列ということで4列目と5列目の俺たちはギリギリ入場することができた。
「じゃあ後でなお前ら!」
笑顔でそう話す石田。
よっぽど富田さんと二人きりでいれることが嬉しいようだ。
「よいしょっと」
観覧車に中に入ると当たり前だが真柴と二人きりになった。
「おぉー、やっぱり狭いねー。 観覧車」
「だな。 久しぶりに乗った気がする」
「私もー……ねえ、やっと2人きりだね」
真柴がニヤニヤと笑う。
こいつ……からかってやがるな。
まあ、からかってるってわかれば俺も意識しないで済むしな。
「そりゃあ今この観覧車には俺と真柴しか乗ってないからな。 そりゃあ2人きりだろう」
「もー、またそうやって淳一くんはつまらないことを言うんだから」
「いや、だってお前俺をからかってるだけだからな」
「んー、からかってるつもりはないんだけどなー」
「嘘つけ」
俺がそう言ったのと同時に、目の前に真柴の顔が現れた。
唇が触れるんじゃないかと思うほど近い。
5センチ、いやあと3センチだろうか。
後ろから誰かに背中を押されでもしたら唇に触れてしまいそうだ。
そんな状況に、目の前に現れた真柴の整った顔、ぷっくりとした唇に思わず胸が高鳴る。
「これでもからかってるって思う?」
いつもより真剣な顔で真柴は尋ねた。
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