あの空の向こう

麒麟

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出会い

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僕には、今でも 鮮明に覚えてる 記憶がある。

母が亡くなり 父の弟という人が僕を引き取ることになり、日本に向かった時のことだ。

家は見たことないくらい大きく、花がたくさん咲いていて僕には場違いの場所。

(僕には不釣り合いだ。)

自己嫌悪に陥り、とうとう頭がくらくらしてきた時にフイにドアが開いた。

「ガチャ!」

そこには、身長が高くて二重の目、薄い脣の優しそうな男の人が立っていて、僕は不覚にも見とれてしまった。

僕が固まっていると、スッと手がのびてきて、

(爽希)「やあ、こんにちは。今日から君のお兄さんになります、爽希です。突然のことで、驚いたと思うけど宜しくね。」


頭をポンポンと撫でられた。

今まで、「お前は疫病神だ」「私に迷惑かけるな。」とひどい扱いを受けてきた僕にとって、その瞬間から彼、いや爽兄は神様になった。


〈爽兄サイド〉

僕には従兄弟がいるらしい。

父さんのお兄さんがいつの間にか、どこかの国の人と子供をつくっていたみたいだ。

叔父さんは自由奔放で縛られたくない人。
そのため、その女の人と籍を入れることはなく、今回、不慮の事故で亡くなってしまった妻?のことも知らないだろう。

その子供は天涯孤独だ。

いよいよ僕の従兄弟は行くあてを失い、父さんが引き取ることになった。

はじめ、話を聞いた時はすごく驚いたけど一目見て僕は弟を気に入った。

黒色の艶のある髪、そして母親譲りの大きな綺麗な緑の目、身長は11歳にしては少し小さいが、庇護よくを掻き立られる子供。

初めて会った時は服の帽子を深く被り、見えないようにしていたみたいだが、思わず話かけてしまった。

「やあ、こんにちは。
 今日から君のお兄さんになります、爽希です。
 突然のことで、驚いたと思うけど宜しくね。」
(今日からは、僕が兄として蒼を守るよ。)
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