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3章 即興間奏
第35音 挙止進退
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【挙止進退】きょししんたい
人の立ち居振る舞いや身の処し方。
===============
一方、ルカ達の方では。
ルカ達一行は目的の学校へと足を運ぶ。
ルカは教室をチラ見してから言った。
「授業する時って、みんなカッコイイ顔してる~
うちの児童園の授業とは、また違う雰囲気~」
ツウはそれを見て言った。
「僕は監禁されてるみたいで可哀想だと思う」
しかしユネイは言う。
「これは世の中の動きや知らない事も知れるからとてもいい施設だと思う」
『へぇ~』
二人が言うと、ダニエルが遠くから手招きしてくれる。
「三人共こっちよ~」
三人は急がず焦らず、ゆっくりと歩くのであった。
「あら、みんなマイペースで遅いわ~。
まあ、普段は私が一番言えないんだけど。」
とダニエルは呟くのであった。
その学校の体育館にて、四人は重唱を始める。
聞きに来た者達はその歌声に魅了され、戦争の痛みを癒し、この時間だけは気を楽にできた。
それでも中には、不安だらけの者もいるのだが。
歌が終わると、観客の一部が四人を取り囲む。
ある一人の女性は言った。
「あなた達、孤児児童園の子でしょ?
そこの児童は戦争に出されていないって本当?」
その言葉に四人はピンとくる。
確かにこの児童園の児童は誰一人戦争に連れて行かれない。
東軍が歌を歌って欲しいと児童園に頼んだ代わりに、まめきちがここの児童を誰も戦争に連れて行かせない様にしたのだ。
その条件を呑んだ東軍は、児童園の児童を誰一人戦争には連れて行かないのである。
また別の女性は言う。
「私のお兄さんは連れて行かれたわ。ここの街の殆どは戦争に出されてしまって。
東は元から人口が少ないし、その上今は軍隊がなくなりつつあるんですって。
…だから…お兄さんが心配で…」
それを聞くと、他の人は悲しそうな顔をする。
別の女性は言った。
「で、多分人がいなくなってきたらあなた達も出されるかもよ?軍の命令は絶対なんだから。
合唱団の中枢であるリーダーさん達は連れて行かれないって話はあるけど。」
それに思わず、ルカは青ざめてしまう。
「なっ…」
「ルカ兄!しっかり!」
と、ツウはルカを立て直してくれる。
ダニエルは深刻そうに考えていた。
ユネイは平常心を保っている。
更に別の女性は言った。
「もっと怖いのは魔法戦争が始まるかもって話!地雷よりも怖い魔法戦争が始まろうとしているのよ!」
その言葉に、周りはざわざわしてくる。
するとその中から、頭を抱えて膝をつく者も現れ始めた。
「私、魔法力があるって言われた事があるわ!連れて行かれるのかしら…!」
「もしかしたら…」
歌で癒された皆の心は再び、戦争に恐怖する。
それを冷静に見ていたダニエルは呟く。
「魔法戦争…」
ルカは震えが止まらなく、ツウも流石に表情を歪めた。
ユレイは事態を真剣に考え始める。
すると、他の女性の一人がこう言い出した。
「そう言えば最近、ベスドマグ隊長がここに来たらしいわよ。」
その言葉に、四人は疑問符を浮かべる。
それを見た女性は言った。
「妨害魔法解除の兵隊さんの中で、トップクラスの魔法を持つ人。
あの人の手にかかれば解除できない魔法もないって話。」
その話を聞いたルカは思わず呟く。
「ベスドマグ隊長…」
すると、近くから声がした。
「呼んだかぁ?少年達よぉ…」
一同は驚いた。
すると近くの椅子に座って寝ていた男性が、起きてきた。
その男性は立ち上がってここに近づきつつ、少し長めと思われる葉巻を口にくわえる。
ダニエルはその男性を見て目を丸くした。
「ベスドマグ…隊長…?」
「ああ、俺がベスドマグ。【ベスドマグ・シルクーペ】だ」
とその男性、もといベスドマグは言った。
周りは驚いて「ベスドマグ隊長だわ」と言っていた。
するとユネイは解説する。
「ベスドマグ隊長…。
児童園付近の森の中に建設された、東軍基地の隊長。
最近児童園に来て、まめきちさんに挨拶に来ていた。」
と、珍しく早口でない落ち着いた口調で喋るユネイ。
ベスドマグは言った。
「よく知っているな。
お前達に話がある。ここには応接室があってな。行こうか。」
その言葉にルカは反発した。
「戦争の話は俺達子供達じゃなくてまめきちさんにして欲しいぜ!
俺等帰んねぇといけねぇんだ、ノノ様をお出迎えしなきゃなんねぇんだ!」
ユネイはその言葉に溜息をつく。
ベスドマグも疑問符を浮かべていると、ツウも言った。
「めんどくさいなぁ。
僕もこれから予定があるんだ、だから行けないや。」
(機械弄りしたいだけだけど。)
と、ツウは物いじりの計画の事を語る。
ベスドマグは更に目を丸くすると、ダニエルも二人に便乗したように言った。
「あら~私だって夕食作らなきゃなのよ?私が一番忙しいの。」
ベスドマグはふっと笑った。
「お前等今の状況わかってて言ってんのか?」
すると三人は一斉に言う。
『関係ないですから。』
他人事すぎる三人を見て、ユネイはベスドマグに言った。
「無理矢理にでも連れて行って結構です。
この人達は自分第一にしか考えられないものなので。」
「そうか。」
ベスドマグが真顔で言うと、ルカは言った。
「人聞きの悪い!東軍だって自分の事しか考えてないくせに!」
更にツウとダニエルは言った。
「僕等は自分の時間を大事にしているだけ!」
「東軍の事情に巻き込まれるのは御免だわ~」
その言い草に、ユネイは眉を潜めた。
(これほど言えば東軍の怒りを勝って三人は処刑されてしまう)
そう思っていたが、ベスドマグはなんと笑った。
ユネイは目を丸くすると、ベスドマグは言った。
「コイツ等面白いヤツだなぁ。やっぱり連れて行くわ。
来い、応接室はここだ。」
と言って四人を案内するのであった。
三人は心から嫌な顔をした。
ルカとツウとダニエルは、それぞれ呟く。
「あの人怖い。」
「面倒臭そうなタイプだよね」
「きっと苦手なターイープ」
と、人差し指を唇に当ててダニエルは言った。
そんな事はお構いなしに、ユネイは三人に言う。
「行くよ」
五人は応接室の椅子に腰掛ける。
児童の四人はベスドマグの対極に座った。
ベスドマグは、早速質問をした。
「児童園の児童であるお前等が、亜種族なのは知ってるぜ。
そこで聞きたい、お前等は魔法を持っているか。」
ユネイの表情は真剣モードなのだが、三人は堂々としている。
ダニエルは言った。
「亜種族なのは認めるわーでも魔法は持ってないの」
事実、ダニエルは魔法は使えない。
ツウも使えないが、ルカは少量使えるのと、ユネイも使える。
だからあえてダニエルがその言葉を買って出た。
するとベスドマグは言った。
「最近大きな魔法化身を見た事あるだろ?」
それに四人は頷く。
すると、ベスドマグは一枚の写真を出した。
そこにはその日の魔法化身が写されていた。
「この形、どっかで見た事あるんだよ。
これに似たヤツと先日会ったんだ、俺は」
ベスドマグが言うと、四人は驚いた。
ベスドマグはニヤリと笑うと続けた。
「ほら知ってるんだろう?俺はそいつと話がしたいんだ。」
四人は少し黙った。
その沈黙を破るように、ユネイは言った。
「会った事があると言うならば なぜ僕達に聞くのですか?」
「だってそいつはお前等のパートリーダーだろぉ?
この街のヤツ等は知ってたぜ?
紫のラインのついた上着を着た男は、ラム・ローフって言うバスのパートリーダーだって。」
流石にルカはゲッとしたが、ツウは落ち着いた様子で言った。
「その子と何を話すの?」
「お前等も聞いた通り魔法戦争が始まるかもしれない。
その時に手伝ってくれるかと聞くだけさ。」
その言葉に、ダニエルは言う。
「あの子はパートリーダー。戦争には出せないわ。」
しかしそれがおかしかったのか、ベスドマグは大声で笑った。
四人はいきなり笑うので何だと思っていると、ベスドマグは言う。
「歌を歌うから戦争に出せないってか?面白い事を言うな。
でも安心しろぉ命は保証するからよぉ。
危険な場所には連れていかんさ。」
四人は怪しいと思いながら、ユネイは言った。
「わかりました」
すると真っ先に反応したのはルカ。
「は!?」
それを、ツウが制止した。
「まあ落ち着いて。」
ルカは一度落ち着くと、ベスドマグは言った。
「そうだ。その日にあの子を守るためか、基地のシャッターに妨害かけた児童がいるはずだ。
あと、基地のヤツ等を気絶させたヤツ。
同一人物か違うかは知らんが、そこの児童に決まってる。」
ルカは反発したいが為立ち上がったが、それをユネイが止めた。
そしてユネイは言う。
「聞いてみます」
するとベスドマグは笑顔で答えた。
「ありがとよ。」
それからは四人は開放され、帰る事になったのだが。
ルカはどうやら不機嫌な様子。
「なぜそんなに何でもボンボンはいはい言っちゃうんだぁ」
それに対し、ユネイは落ち着いた表情で言う。
「分からない?
相手は何を言っても聞かないような頑固者
自分の言う事は正しいと思っていて これ以上相手をしていても時間の無駄
適当に合わせておいてあとはまめきちさんに相談すべき」
早口で解説するのであった。
ルカはムッとして「そうかい」と言って落ち着いて歩き始めた。
嫌な予感しかしてならない。
四人は向こうの夕日を、ただ虚しく見つめるだけであった。
人の立ち居振る舞いや身の処し方。
===============
一方、ルカ達の方では。
ルカ達一行は目的の学校へと足を運ぶ。
ルカは教室をチラ見してから言った。
「授業する時って、みんなカッコイイ顔してる~
うちの児童園の授業とは、また違う雰囲気~」
ツウはそれを見て言った。
「僕は監禁されてるみたいで可哀想だと思う」
しかしユネイは言う。
「これは世の中の動きや知らない事も知れるからとてもいい施設だと思う」
『へぇ~』
二人が言うと、ダニエルが遠くから手招きしてくれる。
「三人共こっちよ~」
三人は急がず焦らず、ゆっくりと歩くのであった。
「あら、みんなマイペースで遅いわ~。
まあ、普段は私が一番言えないんだけど。」
とダニエルは呟くのであった。
その学校の体育館にて、四人は重唱を始める。
聞きに来た者達はその歌声に魅了され、戦争の痛みを癒し、この時間だけは気を楽にできた。
それでも中には、不安だらけの者もいるのだが。
歌が終わると、観客の一部が四人を取り囲む。
ある一人の女性は言った。
「あなた達、孤児児童園の子でしょ?
そこの児童は戦争に出されていないって本当?」
その言葉に四人はピンとくる。
確かにこの児童園の児童は誰一人戦争に連れて行かれない。
東軍が歌を歌って欲しいと児童園に頼んだ代わりに、まめきちがここの児童を誰も戦争に連れて行かせない様にしたのだ。
その条件を呑んだ東軍は、児童園の児童を誰一人戦争には連れて行かないのである。
また別の女性は言う。
「私のお兄さんは連れて行かれたわ。ここの街の殆どは戦争に出されてしまって。
東は元から人口が少ないし、その上今は軍隊がなくなりつつあるんですって。
…だから…お兄さんが心配で…」
それを聞くと、他の人は悲しそうな顔をする。
別の女性は言った。
「で、多分人がいなくなってきたらあなた達も出されるかもよ?軍の命令は絶対なんだから。
合唱団の中枢であるリーダーさん達は連れて行かれないって話はあるけど。」
それに思わず、ルカは青ざめてしまう。
「なっ…」
「ルカ兄!しっかり!」
と、ツウはルカを立て直してくれる。
ダニエルは深刻そうに考えていた。
ユネイは平常心を保っている。
更に別の女性は言った。
「もっと怖いのは魔法戦争が始まるかもって話!地雷よりも怖い魔法戦争が始まろうとしているのよ!」
その言葉に、周りはざわざわしてくる。
するとその中から、頭を抱えて膝をつく者も現れ始めた。
「私、魔法力があるって言われた事があるわ!連れて行かれるのかしら…!」
「もしかしたら…」
歌で癒された皆の心は再び、戦争に恐怖する。
それを冷静に見ていたダニエルは呟く。
「魔法戦争…」
ルカは震えが止まらなく、ツウも流石に表情を歪めた。
ユレイは事態を真剣に考え始める。
すると、他の女性の一人がこう言い出した。
「そう言えば最近、ベスドマグ隊長がここに来たらしいわよ。」
その言葉に、四人は疑問符を浮かべる。
それを見た女性は言った。
「妨害魔法解除の兵隊さんの中で、トップクラスの魔法を持つ人。
あの人の手にかかれば解除できない魔法もないって話。」
その話を聞いたルカは思わず呟く。
「ベスドマグ隊長…」
すると、近くから声がした。
「呼んだかぁ?少年達よぉ…」
一同は驚いた。
すると近くの椅子に座って寝ていた男性が、起きてきた。
その男性は立ち上がってここに近づきつつ、少し長めと思われる葉巻を口にくわえる。
ダニエルはその男性を見て目を丸くした。
「ベスドマグ…隊長…?」
「ああ、俺がベスドマグ。【ベスドマグ・シルクーペ】だ」
とその男性、もといベスドマグは言った。
周りは驚いて「ベスドマグ隊長だわ」と言っていた。
するとユネイは解説する。
「ベスドマグ隊長…。
児童園付近の森の中に建設された、東軍基地の隊長。
最近児童園に来て、まめきちさんに挨拶に来ていた。」
と、珍しく早口でない落ち着いた口調で喋るユネイ。
ベスドマグは言った。
「よく知っているな。
お前達に話がある。ここには応接室があってな。行こうか。」
その言葉にルカは反発した。
「戦争の話は俺達子供達じゃなくてまめきちさんにして欲しいぜ!
俺等帰んねぇといけねぇんだ、ノノ様をお出迎えしなきゃなんねぇんだ!」
ユネイはその言葉に溜息をつく。
ベスドマグも疑問符を浮かべていると、ツウも言った。
「めんどくさいなぁ。
僕もこれから予定があるんだ、だから行けないや。」
(機械弄りしたいだけだけど。)
と、ツウは物いじりの計画の事を語る。
ベスドマグは更に目を丸くすると、ダニエルも二人に便乗したように言った。
「あら~私だって夕食作らなきゃなのよ?私が一番忙しいの。」
ベスドマグはふっと笑った。
「お前等今の状況わかってて言ってんのか?」
すると三人は一斉に言う。
『関係ないですから。』
他人事すぎる三人を見て、ユネイはベスドマグに言った。
「無理矢理にでも連れて行って結構です。
この人達は自分第一にしか考えられないものなので。」
「そうか。」
ベスドマグが真顔で言うと、ルカは言った。
「人聞きの悪い!東軍だって自分の事しか考えてないくせに!」
更にツウとダニエルは言った。
「僕等は自分の時間を大事にしているだけ!」
「東軍の事情に巻き込まれるのは御免だわ~」
その言い草に、ユネイは眉を潜めた。
(これほど言えば東軍の怒りを勝って三人は処刑されてしまう)
そう思っていたが、ベスドマグはなんと笑った。
ユネイは目を丸くすると、ベスドマグは言った。
「コイツ等面白いヤツだなぁ。やっぱり連れて行くわ。
来い、応接室はここだ。」
と言って四人を案内するのであった。
三人は心から嫌な顔をした。
ルカとツウとダニエルは、それぞれ呟く。
「あの人怖い。」
「面倒臭そうなタイプだよね」
「きっと苦手なターイープ」
と、人差し指を唇に当ててダニエルは言った。
そんな事はお構いなしに、ユネイは三人に言う。
「行くよ」
五人は応接室の椅子に腰掛ける。
児童の四人はベスドマグの対極に座った。
ベスドマグは、早速質問をした。
「児童園の児童であるお前等が、亜種族なのは知ってるぜ。
そこで聞きたい、お前等は魔法を持っているか。」
ユネイの表情は真剣モードなのだが、三人は堂々としている。
ダニエルは言った。
「亜種族なのは認めるわーでも魔法は持ってないの」
事実、ダニエルは魔法は使えない。
ツウも使えないが、ルカは少量使えるのと、ユネイも使える。
だからあえてダニエルがその言葉を買って出た。
するとベスドマグは言った。
「最近大きな魔法化身を見た事あるだろ?」
それに四人は頷く。
すると、ベスドマグは一枚の写真を出した。
そこにはその日の魔法化身が写されていた。
「この形、どっかで見た事あるんだよ。
これに似たヤツと先日会ったんだ、俺は」
ベスドマグが言うと、四人は驚いた。
ベスドマグはニヤリと笑うと続けた。
「ほら知ってるんだろう?俺はそいつと話がしたいんだ。」
四人は少し黙った。
その沈黙を破るように、ユネイは言った。
「会った事があると言うならば なぜ僕達に聞くのですか?」
「だってそいつはお前等のパートリーダーだろぉ?
この街のヤツ等は知ってたぜ?
紫のラインのついた上着を着た男は、ラム・ローフって言うバスのパートリーダーだって。」
流石にルカはゲッとしたが、ツウは落ち着いた様子で言った。
「その子と何を話すの?」
「お前等も聞いた通り魔法戦争が始まるかもしれない。
その時に手伝ってくれるかと聞くだけさ。」
その言葉に、ダニエルは言う。
「あの子はパートリーダー。戦争には出せないわ。」
しかしそれがおかしかったのか、ベスドマグは大声で笑った。
四人はいきなり笑うので何だと思っていると、ベスドマグは言う。
「歌を歌うから戦争に出せないってか?面白い事を言うな。
でも安心しろぉ命は保証するからよぉ。
危険な場所には連れていかんさ。」
四人は怪しいと思いながら、ユネイは言った。
「わかりました」
すると真っ先に反応したのはルカ。
「は!?」
それを、ツウが制止した。
「まあ落ち着いて。」
ルカは一度落ち着くと、ベスドマグは言った。
「そうだ。その日にあの子を守るためか、基地のシャッターに妨害かけた児童がいるはずだ。
あと、基地のヤツ等を気絶させたヤツ。
同一人物か違うかは知らんが、そこの児童に決まってる。」
ルカは反発したいが為立ち上がったが、それをユネイが止めた。
そしてユネイは言う。
「聞いてみます」
するとベスドマグは笑顔で答えた。
「ありがとよ。」
それからは四人は開放され、帰る事になったのだが。
ルカはどうやら不機嫌な様子。
「なぜそんなに何でもボンボンはいはい言っちゃうんだぁ」
それに対し、ユネイは落ち着いた表情で言う。
「分からない?
相手は何を言っても聞かないような頑固者
自分の言う事は正しいと思っていて これ以上相手をしていても時間の無駄
適当に合わせておいてあとはまめきちさんに相談すべき」
早口で解説するのであった。
ルカはムッとして「そうかい」と言って落ち着いて歩き始めた。
嫌な予感しかしてならない。
四人は向こうの夕日を、ただ虚しく見つめるだけであった。
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