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第5章 大絶滅―グレートダイイング―
050 虫も人も同じ 前半
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ミンス達は、秋田の家に帰る事もなく砂漠に来ていた。
そう、これから砂漠の一国に向かうのだ。
ミンスは砂漠の景色を見つめようとしたが、すぐに俯いて歩いた。
(テオドール…)
ミンスはまだ、テオドールの事を考えていた。
「ミンスはクニ行ってどうするです?」
ミィシェルが聞くと、ミンスは微笑む。
「ただあの国を拠点とするだけですよ。クロマが時間稼ぎをしている間に一部の植物人間も開放しましたし、力がそろそろ足りる頃でしょう。」
「遂に隕石を落とす事ができるのだな。」
クロマが言うと、ミンスは頷いた。
「王宮の上で願いましょう、私達の幸せを。
降らせましょう、制裁のジラーチを。」
ミィシェルは空を見上げた。
「ジラーチ…。ミンス、カミサマですネ。世界作り直す。」
ミンスはクスッと笑った。
「破壊するだけですがね。以前もこんな事をして一人で真っ新になった大地を見てきましたが、今度は一人ではありませんね。」
ミンスはそう言うので、ミィシェルは笑った。
するとクロマは言う。
「その破壊があったからこそ、人間という脆い生物が生まれた。」
「そうですね。わたくしが来ていなかったら、今頃この世界はまた別の形になっていたのでしょうか。」
「不思議です。ミンスはこの世界のママですね!」
ミンスはクスクスと笑った。
そこでクロマはミンスを見て言う。
「ミンス、体は大丈夫なのか?いつもは暑いだの何だの言うはずなのだが。背負ってやろうか。」
しかしミンスは首を横に振った。
「今は平気ですよ。あの女以上に力を手に入れたわたくしですもの。」
「そうか。」
そしてミンスの指に光る指輪を見た瞬間、クロマはミンスの指輪を取った。
この指輪は、テオドールと石の巫女の婚約指輪だ。
「あらクロマ、何をするのです?」
ミンスが驚くと、クロマは指輪を砂漠に落として言う。
「貴様に、もうこんな物は必要ないだろう。」
ミンスは思わず悲しそうな顔をすると、その指輪を見つめてしまう。
クロマはそれが気に入らず、指輪を踏みつけてしまった。
「ミンス、貴様はなぜそこまであの男に執着する。」
クロマはミンスの両肩を掴んだ。
「奴の方がいいのか?なぜ迷いのある顔をする。」
ミンスはクロマの顔を見つめるとしょんぼり。
「すいません…わたくし、変なんです…
クロマも好きですが…テオドールも好きで…!彼が死んだ時…凄く悲しかったです…!」
ミンスが言うので、クロマは眉を潜めた。
「昔は貴様が殺したのだろう!奴を!」
「そうです。あの時は本当に…クロマだけいればいいと…浮気性な彼が嫌いで…。
でも、でも今になってまた…!」
そう言ってミンスは涙を滲ませるので、クロマは悔しくなってしまう。
「私だけでは足りんのか?」
クロマが聞くと、ミンスは虚しそうな顔をする。
「足りんのかと聞いているのだ!」
クロマは強く聞いた。
ミィシェルがビクッと驚くと、次に俯いてミンスは呟くようにして言う。
「わたくし…クロマがちょっと怖い時があります。
テオドールは、全く怖くありません。そんなテオドールにちょっと安心しています。」
クロマが歯を食いしばると、ミンスは更に言った。
「思うのです、なぜクロマがこれほど残酷になったのか…。
躊躇いもなく生物を殺し、猟奇的な手を使っても平然としている。
テオドールはわたくしに一途だから、子供だからと言っていましたが、違う気もするのです。
わたくし、何か貴方にいたしましたか?」
それを聴いたクロマは心当たりがあるのか反応を見せた。
ミンスは目を見開く。
「何かあるのですね…!わたくしに…わたくしに教えてください…!」
涙ぐむミンスに、クロマは眉を潜めて聞いた。
「なぜ…そこまでして…」
するとミンスはクロマに抱きしめて言った。
「だって…わたくしが原因なら…クロマをこうしたのはわたくしです…!
わたくしは…貴方の全てを知りたいのです…。」
それを聴いたクロマは静かに目を閉じ、首を横に振った。
ミンスはその意味を理解できずにいるが、クロマはまだ幼かった日を思い出していた。
――砂漠の国、王宮の中。
「ミンス、外で遊ぶぞ。」
クロマはミンスの部屋の前で言った。
クロマはまだ幼く、四歳ほどの年齢だ。
そこにサウザが立ち塞がる。
「ダメだよクロマ~。ミンスは熱さで倒れたんだよ?ゆっくりさせてあげなって。」
「あの程度でバテているのか?」
「あ~んね、クロマがミンスを国から出したからこうなっちゃったんだよ?
少しは反省して欲しいな~なんて。」
しかしクロマは意地を張って「フン!」と鼻で言う。
「別にミンスがいなくとも一人で遊べる!」
そう言って、走って外に出て行ってしまった。
「あ!クロマ~!」
クロマは城下町に出ていて、商店街を歩いていく。
道行く人がクロマを見つける度に言う。
「あれクロマ王子、今日はミンス王子とは別行動なのね。良かったらお二つりんごどうぞ。」
りんごを貰ったり(勿論ミンスの為に一つは持って帰る)、
「第二王子!今度の祭りに射的勝負な!」
と言われたり。
クロマ自身も受け答えや物をもらったりしているだけでなく、困っている人の手助けを進んでして町の人とコミュニケーションをとっていた。
「第二王子はまだ幼いのにご立派ねぇ。お手伝いありがとうございます。」
老婆は荷物運びを手伝ってくれたクロマに深々と頭を下げた。
クロマはニヤっとしたような顔で笑う。
「お安い御用だ。御婦人も体にはお気をつけて、深く頭を下げすぎて腰を折るでないぞ。」
そう言って立ち去るのである。
すると老婆は笑った。
「本当に逞しい王子様だねぇ」
クロマはふと、建物と建物の間にある道が気になる。
あの路地は子供にとっては良い探検ロード。
クロマも行ってみたくて仕方がないのだが、いつもはミンスが怖がって進ませてもくれなかったのだ。
(いつもはミンスが行きたくないと駄々を捏ねるが、今日こそ…!)
クロマはその先に堂々と進み歩いた。
その先には七人ほど、クロマよりも年上の男の子達がいた。
どうやら何かをしているようで、クロマは話しかける。
「貴様等、一体そこで何をしている。」
少年達はクロマを見ると驚いた。
「あ!第二王子のクロマじゃね!?」
「ホントにまだガキだよ!」
クロマは動じずに言った。
「もう一度聞こう、貴様等は何をしている。」
すると次はしっかり答えてくれた。
「虫殺してんの。」
一人の少年が言うと、別の少年がその少年の頭を軽く殴ってから言った。
「バカ!王子に何て事言うんだよ!」
「害虫駆除だよ。町の人が嫌いな虫を殺してんのさ。」
「どれ。」
クロマはそう言ってその様子を見ると、セミが何匹か踏み潰されて殺されていた。
「セミは害虫なのか?」
クロマが聞くと、少年等は頷く。
「だってセミのお陰でみんな悲鳴をあげたりするんだぜ?一日の気分はもう最悪、だから俺等がこうして駆除してあげてんの!」
「ほう。」
クロマが答えると、少年は言う。
「王子も混ざる?隠れてコソコソっと人助けするってのはいいもんだぜ?」
クロマはそれを聴いて数回頷いた。
「ふむ、そういう人助けもあるのか。私もやろう。」
少年等は面白そうな顔でクロマを見ていたが、一部は不穏そうに思っているようだ。
「王子、これは影でやるからこそ意味があるんだ。だから外の人には内緒なんだぜ?」
「承知した。」
ある日の事だ。
ミンスはクロマに言う。
「クロマお兄様、一緒に城下町まで遊びに行きましょう。久々に公園に行きたくなりました。」
「すまん、また後日な。」
「え?な、なぜですか!クロマお兄様!わたくしと遊んでください!」
ミンスは我儘を言うが、クロマは言う。
「たまには兄上と遊んでおけ。私にも用事というものがある。」
それを聴いてミンスは膨れてしまい、クロマはそれを無視して外に出かけていってしまった。
クロマは少年等の元に来ていて、少年等は今日も虫に残虐行為を働いている。
「オラオラ!人間様には逆らえないだろ!オラ!」
楽しそうに少年等は虫を殺して遊んでいる。
「うっわこの貝殻キメェ…中身グチャグチャだよ。ほら見ろよ!アハハハ!」
クロマはそんな少年等の楽しそうな声を聞きながらも、クロマも虫を殺していく。
「貴様等が悪を働くからいけないのだぞ。」
クロマは虫に言う。
そこで仲間の少年の一人が言った。
「もうやめようぜこんなの!」
他の少年はその少年を見つめる。
「俺、親に見つかったんだ。そしたらカンカンに怒られてよ…!
もうやめようぜ、俺なんか怖くなってきた!」
訴える少年に対し、他の少年は大笑いする。
「親に怒られただけでビビってやんのコイツ!」
「虫如き殺して罪になるわけねえだろ!」
「王子も何か言ってやれよ!」
少年等が口々に言うので、クロマは言った。
「貴様は、善行を働いているのにも関わらず親に処罰を受けたのか?」
「善行なわけないだろ!これは立派な!」
少年が言ったところで、他の少年はその少年を囲んだ。
「あーはいはいもういいから。お前は黙っとけって!」
一人の少年は反対した少年を殴る。
そして続くように他の少年もその少年に手を出すので、クロマは焦った。
「貴様等!何をしている!暴力は恐ろしい行為なのだぞ!」
クロマは叱るが、少年等は言った。
「あ?善行を否定したヤツが悪いに決まってんだろ?コイツは裏切ったんだよ!逆らいやがって!」
「これは暴力じゃなくて躾だよ!悪いヤツに使う!善い行いなんだよッ!」
「こういうヤツがいるからまた世の中は不穏になっていくんだぜ?王子。」
「王子も一発殴ってやったら?」
クロマは反対した少年を見つめる。
暴力に怯えた目で、クロマに助けを求めていた。
しかし、
「貴様は、悪だ。」
クロマは言い、その少年を思い切り殴るのであった。
そう、これから砂漠の一国に向かうのだ。
ミンスは砂漠の景色を見つめようとしたが、すぐに俯いて歩いた。
(テオドール…)
ミンスはまだ、テオドールの事を考えていた。
「ミンスはクニ行ってどうするです?」
ミィシェルが聞くと、ミンスは微笑む。
「ただあの国を拠点とするだけですよ。クロマが時間稼ぎをしている間に一部の植物人間も開放しましたし、力がそろそろ足りる頃でしょう。」
「遂に隕石を落とす事ができるのだな。」
クロマが言うと、ミンスは頷いた。
「王宮の上で願いましょう、私達の幸せを。
降らせましょう、制裁のジラーチを。」
ミィシェルは空を見上げた。
「ジラーチ…。ミンス、カミサマですネ。世界作り直す。」
ミンスはクスッと笑った。
「破壊するだけですがね。以前もこんな事をして一人で真っ新になった大地を見てきましたが、今度は一人ではありませんね。」
ミンスはそう言うので、ミィシェルは笑った。
するとクロマは言う。
「その破壊があったからこそ、人間という脆い生物が生まれた。」
「そうですね。わたくしが来ていなかったら、今頃この世界はまた別の形になっていたのでしょうか。」
「不思議です。ミンスはこの世界のママですね!」
ミンスはクスクスと笑った。
そこでクロマはミンスを見て言う。
「ミンス、体は大丈夫なのか?いつもは暑いだの何だの言うはずなのだが。背負ってやろうか。」
しかしミンスは首を横に振った。
「今は平気ですよ。あの女以上に力を手に入れたわたくしですもの。」
「そうか。」
そしてミンスの指に光る指輪を見た瞬間、クロマはミンスの指輪を取った。
この指輪は、テオドールと石の巫女の婚約指輪だ。
「あらクロマ、何をするのです?」
ミンスが驚くと、クロマは指輪を砂漠に落として言う。
「貴様に、もうこんな物は必要ないだろう。」
ミンスは思わず悲しそうな顔をすると、その指輪を見つめてしまう。
クロマはそれが気に入らず、指輪を踏みつけてしまった。
「ミンス、貴様はなぜそこまであの男に執着する。」
クロマはミンスの両肩を掴んだ。
「奴の方がいいのか?なぜ迷いのある顔をする。」
ミンスはクロマの顔を見つめるとしょんぼり。
「すいません…わたくし、変なんです…
クロマも好きですが…テオドールも好きで…!彼が死んだ時…凄く悲しかったです…!」
ミンスが言うので、クロマは眉を潜めた。
「昔は貴様が殺したのだろう!奴を!」
「そうです。あの時は本当に…クロマだけいればいいと…浮気性な彼が嫌いで…。
でも、でも今になってまた…!」
そう言ってミンスは涙を滲ませるので、クロマは悔しくなってしまう。
「私だけでは足りんのか?」
クロマが聞くと、ミンスは虚しそうな顔をする。
「足りんのかと聞いているのだ!」
クロマは強く聞いた。
ミィシェルがビクッと驚くと、次に俯いてミンスは呟くようにして言う。
「わたくし…クロマがちょっと怖い時があります。
テオドールは、全く怖くありません。そんなテオドールにちょっと安心しています。」
クロマが歯を食いしばると、ミンスは更に言った。
「思うのです、なぜクロマがこれほど残酷になったのか…。
躊躇いもなく生物を殺し、猟奇的な手を使っても平然としている。
テオドールはわたくしに一途だから、子供だからと言っていましたが、違う気もするのです。
わたくし、何か貴方にいたしましたか?」
それを聴いたクロマは心当たりがあるのか反応を見せた。
ミンスは目を見開く。
「何かあるのですね…!わたくしに…わたくしに教えてください…!」
涙ぐむミンスに、クロマは眉を潜めて聞いた。
「なぜ…そこまでして…」
するとミンスはクロマに抱きしめて言った。
「だって…わたくしが原因なら…クロマをこうしたのはわたくしです…!
わたくしは…貴方の全てを知りたいのです…。」
それを聴いたクロマは静かに目を閉じ、首を横に振った。
ミンスはその意味を理解できずにいるが、クロマはまだ幼かった日を思い出していた。
――砂漠の国、王宮の中。
「ミンス、外で遊ぶぞ。」
クロマはミンスの部屋の前で言った。
クロマはまだ幼く、四歳ほどの年齢だ。
そこにサウザが立ち塞がる。
「ダメだよクロマ~。ミンスは熱さで倒れたんだよ?ゆっくりさせてあげなって。」
「あの程度でバテているのか?」
「あ~んね、クロマがミンスを国から出したからこうなっちゃったんだよ?
少しは反省して欲しいな~なんて。」
しかしクロマは意地を張って「フン!」と鼻で言う。
「別にミンスがいなくとも一人で遊べる!」
そう言って、走って外に出て行ってしまった。
「あ!クロマ~!」
クロマは城下町に出ていて、商店街を歩いていく。
道行く人がクロマを見つける度に言う。
「あれクロマ王子、今日はミンス王子とは別行動なのね。良かったらお二つりんごどうぞ。」
りんごを貰ったり(勿論ミンスの為に一つは持って帰る)、
「第二王子!今度の祭りに射的勝負な!」
と言われたり。
クロマ自身も受け答えや物をもらったりしているだけでなく、困っている人の手助けを進んでして町の人とコミュニケーションをとっていた。
「第二王子はまだ幼いのにご立派ねぇ。お手伝いありがとうございます。」
老婆は荷物運びを手伝ってくれたクロマに深々と頭を下げた。
クロマはニヤっとしたような顔で笑う。
「お安い御用だ。御婦人も体にはお気をつけて、深く頭を下げすぎて腰を折るでないぞ。」
そう言って立ち去るのである。
すると老婆は笑った。
「本当に逞しい王子様だねぇ」
クロマはふと、建物と建物の間にある道が気になる。
あの路地は子供にとっては良い探検ロード。
クロマも行ってみたくて仕方がないのだが、いつもはミンスが怖がって進ませてもくれなかったのだ。
(いつもはミンスが行きたくないと駄々を捏ねるが、今日こそ…!)
クロマはその先に堂々と進み歩いた。
その先には七人ほど、クロマよりも年上の男の子達がいた。
どうやら何かをしているようで、クロマは話しかける。
「貴様等、一体そこで何をしている。」
少年達はクロマを見ると驚いた。
「あ!第二王子のクロマじゃね!?」
「ホントにまだガキだよ!」
クロマは動じずに言った。
「もう一度聞こう、貴様等は何をしている。」
すると次はしっかり答えてくれた。
「虫殺してんの。」
一人の少年が言うと、別の少年がその少年の頭を軽く殴ってから言った。
「バカ!王子に何て事言うんだよ!」
「害虫駆除だよ。町の人が嫌いな虫を殺してんのさ。」
「どれ。」
クロマはそう言ってその様子を見ると、セミが何匹か踏み潰されて殺されていた。
「セミは害虫なのか?」
クロマが聞くと、少年等は頷く。
「だってセミのお陰でみんな悲鳴をあげたりするんだぜ?一日の気分はもう最悪、だから俺等がこうして駆除してあげてんの!」
「ほう。」
クロマが答えると、少年は言う。
「王子も混ざる?隠れてコソコソっと人助けするってのはいいもんだぜ?」
クロマはそれを聴いて数回頷いた。
「ふむ、そういう人助けもあるのか。私もやろう。」
少年等は面白そうな顔でクロマを見ていたが、一部は不穏そうに思っているようだ。
「王子、これは影でやるからこそ意味があるんだ。だから外の人には内緒なんだぜ?」
「承知した。」
ある日の事だ。
ミンスはクロマに言う。
「クロマお兄様、一緒に城下町まで遊びに行きましょう。久々に公園に行きたくなりました。」
「すまん、また後日な。」
「え?な、なぜですか!クロマお兄様!わたくしと遊んでください!」
ミンスは我儘を言うが、クロマは言う。
「たまには兄上と遊んでおけ。私にも用事というものがある。」
それを聴いてミンスは膨れてしまい、クロマはそれを無視して外に出かけていってしまった。
クロマは少年等の元に来ていて、少年等は今日も虫に残虐行為を働いている。
「オラオラ!人間様には逆らえないだろ!オラ!」
楽しそうに少年等は虫を殺して遊んでいる。
「うっわこの貝殻キメェ…中身グチャグチャだよ。ほら見ろよ!アハハハ!」
クロマはそんな少年等の楽しそうな声を聞きながらも、クロマも虫を殺していく。
「貴様等が悪を働くからいけないのだぞ。」
クロマは虫に言う。
そこで仲間の少年の一人が言った。
「もうやめようぜこんなの!」
他の少年はその少年を見つめる。
「俺、親に見つかったんだ。そしたらカンカンに怒られてよ…!
もうやめようぜ、俺なんか怖くなってきた!」
訴える少年に対し、他の少年は大笑いする。
「親に怒られただけでビビってやんのコイツ!」
「虫如き殺して罪になるわけねえだろ!」
「王子も何か言ってやれよ!」
少年等が口々に言うので、クロマは言った。
「貴様は、善行を働いているのにも関わらず親に処罰を受けたのか?」
「善行なわけないだろ!これは立派な!」
少年が言ったところで、他の少年はその少年を囲んだ。
「あーはいはいもういいから。お前は黙っとけって!」
一人の少年は反対した少年を殴る。
そして続くように他の少年もその少年に手を出すので、クロマは焦った。
「貴様等!何をしている!暴力は恐ろしい行為なのだぞ!」
クロマは叱るが、少年等は言った。
「あ?善行を否定したヤツが悪いに決まってんだろ?コイツは裏切ったんだよ!逆らいやがって!」
「これは暴力じゃなくて躾だよ!悪いヤツに使う!善い行いなんだよッ!」
「こういうヤツがいるからまた世の中は不穏になっていくんだぜ?王子。」
「王子も一発殴ってやったら?」
クロマは反対した少年を見つめる。
暴力に怯えた目で、クロマに助けを求めていた。
しかし、
「貴様は、悪だ。」
クロマは言い、その少年を思い切り殴るのであった。
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