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第2章 正体―アイデンティティ―
018 石の巫女は生きているのか 後半
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陽の下院のクロマとミンスの部屋にて、ミィシェルとミンスは一緒にいた。
ミンスはハープを奏でていた。
「あら、フランスからお越しになられたのですね。」
ミンスはそう言ってハープを弾き始めると、ミィシェルはぎこちなく首を縦に動かした。
「クロマ…兄様、故郷…どこです?」
ぎこちない日本語に、ミンスは微笑むと教える。
「アジアの砂漠地帯に小さな国があるのです。そこが故郷ですが、面白い国ではありません。」
「言語…その国、独特?」
「言語はそうですね、覚えていませんが日本語ではないでしょうか。」
ミンスはミィシェルの聞きたい事を、汲み取ってあげようとしている。
するとミィシェルはただでさえいつも潤っている目に涙を溜めてしまう。
「日本語…勉強するです。」
そこに、クロマが買い物袋を抱えて部屋に帰ってくる。
「お帰りなさいクロマ、何を買ってきたのですか?」
ミィシェルはクロマをじっと見つめている。
クロマは袋から寝袋を取り出すとミンスに見せた。
「野宿ができるらしい。」
ミンスはプッと笑うと、笑顔でクロマに言った。
「何に使うのですか?」
するとクロマは黙り込み、少しの間用途を考える。
ミンスは弾く曲を癒しのムードのあるものに変え、クロマの思考時間をずっと微笑みながら観察していた。
「野宿…する…です」
ミィシェルは提案するが、クロマは眉を潜める。
「外で寝るためにあるのだから、外で寝る事しか用途はない。使わないな。」
「クロマ」
ミンスが手を止めて話しかけるので、クロマはミンスを見る。
「衝動買いとは恐ろしいものですねえ。」
ミンスは鼻で笑った。
クロマは怒りが沸いたのか一瞬だけフリーズすると、ミンスを連れ出し寝袋に詰める。
「あら、おやめなさい。」
そしてミンスは、そのまま担がれて廊下に連行されていく。
ミィシェルは後をつけて様子を見る事に。
クロマは外に出ると、ミンスが入った寝袋を木に吊るす。
「酷いです。ミィシェルさん、お助けを。」
ミィシェルはクロマの服を引っ張ったので、クロマは少し不機嫌そうにミィシェルの方を見た。
ミィシェルは目に涙を溜めていた為、クロマは微妙に焦る。
「クロマ…兄様…」
「下ろさんぞ。」
クロマが強めに言うが、ミィシェルは言った。
「Michel…を吊るです。」
クロマは黙り込み、ミンスも黙り込んでミィシェルを見ていた。
「前々から思っていました。ミィシェルさんはちょっと被虐の気がありますね。」
クロマは顔を引き攣ると、ミィシェルに言う。
「お前こんなふうに吊るされて嬉しいのか?」
ミィシェルは少し黙り、言葉を理解すると笑顔で頷いた。
「ウィ[はい]。ツルー、バトー、好きです!」
クロマは何語を言っているか理解できないでいると、ミンスはあまりの酷さに少し青ざめる。
「Anjel[アンジェル]兄、ぼくをカワイカワイするです。ダカラ、クロマ兄様、ぼくニ、吊るです。」
「アンジェル…?」
「Michel ノ家族!おニーさん。吊るです!」
(なぜそこまで吊る事に固執する…)
クロマは呆然とミィシェルを見つめながら思っていた。
「兄上に頼んだらどうだ。」
クロマが言うと、ミィシェルは再び涙目になる。
「クロマ兄様!…クロマ兄様!ダメ!吊るです!」
クロマは何を言っているかさっぱりでいるが、ミンスはわかるのかクロマに説明してくれた。
「『クロマでないといけません。ぼくをつるしてください。』と言っていると思われます。」
「そうか。」
クロマが意味を納得すると、ミィシェルは溢れる涙を拭う。
クロマはミィシェルに言った。
「貴様を吊るしてもな…。わかった、少しだけだぞ。」
ミィシェルはそれを言われると喜んだ。
クロマはミンスを解放し、ミィシェルを寝袋に入れようとするとミィシェルは言った。
「ヌノッキレ!ヌノッキレNonです。要るないです。」
それを聞いたクロマは溜息をつく。
「『要るない』ではなくて『要らない』だろう。」
しかしミィシェルは首を傾げた。
「イラナイ?占い。」
全く言葉を理解していないミィシェル。
クロマは呆れて相手をするのも面倒に思えてくるのである。
「要るない は 要らない と言うです。」
ミンスはミィシェルの口調を少し真似て、ミィシェルに説明する。
ミィシェルはそれを聞いて小さく頷く。
「要るないハ要らないです!」
更に呆れるクロマ。
するとミンスはミィシェルに聞いた。
「ミィシェルさん、年齢は?」
ミィシェルは一瞬だけ首を傾げたが、言葉を理解して言う。
「…十四です。」
「お若い、お兄さんは?」
「十五です。Anjel兄、勉強できるです。Michelできるないです。Anjel兄、日本語話すです。」
「本当に不自由な日本語だな。」
クロマが言うと、ミンスは鼻で笑う。
「クロマは育った国の言語を話せないでしょう。」
ミィシェルは少し大人しくなると、更に続けた。
「Michel、勉強無理です。Anjel兄できる、父、母、期待するです。Michel、応援するです。Anjel兄、沢山怒るです、ストレスです。ダカラ、Michel、Anjel兄ストレス、戦うです。」
クロマはやはり慣れないのか全く通じない。
ミンスはわかるのかミィシェルの頭を撫でる。
「あら、素敵ですね。お兄さん思いのいい弟さんです。」
「わかるのか?」
クロマが聞くと、ミンスは説明をする。
「ぼくは勉強ができないけれど、アンジェルお兄さんはできます。父と母は兄に期待をします。
アンジェルお兄さんはそのストレスでよく怒ります。だからぼくはアンジェルお兄さんのストレスを緩和する。…これは被虐趣味の理由でしょうかね。」
クロマは少し黙るとミィシェルを見る。
「貴様は奴隷か何かか?」
ミィシェルは首を傾げると「ドレー?」と意味をわからないでいる。
「そうですね、クロマが言いたいのは…、沢山尽くす と言いたいのではないでしょうか。…少し皮肉がありますけれど。」
「タクサン…尽くす?」
ミィシェルは理解できたのか笑顔を見せた。
「Michel、幸せです…!ソレデ、幸せ。」
クロマはどうもミィシェルの雰囲気が苦手なのか微妙な反応をしていたが、ミンスは微笑ましいのかミィシェルの頭を暫く撫でていた。
ミィシェルはクロマにも撫でてもらいたいと思っていたので、クロマを見つめて少し寂しそうな顔をしている。
するとミィシェルは、クロマに聞いた。
「母?父?どこです?クロマ兄様?」
クロマは思わず眉を潜めると、ミンスが言う。
「わたくし達の両親は、もういないのです。」
「すてる…?です?」
「いいえ…」
ミンスはそう言って俯くと、クロマは溜息。
「死んだらしい。どちらも死因はわからんが。」
それを聞いたミィシェルは涙を目に溜め、思わず手で口を隠してしまう。
ミィシェルは申し訳なさそうな顔をした。
「ごめん…なさい…です。」
「なぜ謝る。」
「悲しい…二人…」
ミィシェルはそう言ったが、ミンスはミィシェルの頭を撫でた。
ミィシェルはミンスを見ると、ミンスは言う。
「大丈夫です。ずっと二人で歩んできましたから、寂しい事はありませんよ。」
それを聞いたミィシェルは、クロマの方も見た。
クロマは両親の記憶がない為に、全く気にしていない様子だった。
ミィシェルは言った。
「二人…強いです。Michel、マネ…できるない。」
それを聞いてクロマとミンスは目を丸くする。
するとクロマは言った。
「そんなの真似をしたところで、何にもならない。人と比べるな。」
クロマはそう言うと、院内へ帰っていくのであった。
ミィシェルはそんなクロマの後ろ姿を眺めながらも呟く。
「クール…です。」
それを聞いて、ミンスは思わず笑ってしまうのであった。
その日の夜。
第二故郷病院、数男の部屋にて。
数男は眠っているが、最近は夢にうなされていない。
夢の中では、数男はいつもの様に男の子と歩く夢を見ていた。
数男は自分を見て微笑む男の子の顔を見つめながらも溜息。
(この夢にも慣れてきたな。)
ふと、自分の胸に手を当てる数男。
(最初は嫌悪しかなかったこの感情も、今では少しだけ…心地よく感じてしまう。
私はどうかしてしまったのか?)
男の子の幸せそうな笑顔。
数男はそれを見て眉を困らせた。
(子供って、こんな顔するんだな…。
私には到底理解のできないものだが…。)
そう思いつつも、数男は確かに心を動かされつつあった。
ミンスはハープを奏でていた。
「あら、フランスからお越しになられたのですね。」
ミンスはそう言ってハープを弾き始めると、ミィシェルはぎこちなく首を縦に動かした。
「クロマ…兄様、故郷…どこです?」
ぎこちない日本語に、ミンスは微笑むと教える。
「アジアの砂漠地帯に小さな国があるのです。そこが故郷ですが、面白い国ではありません。」
「言語…その国、独特?」
「言語はそうですね、覚えていませんが日本語ではないでしょうか。」
ミンスはミィシェルの聞きたい事を、汲み取ってあげようとしている。
するとミィシェルはただでさえいつも潤っている目に涙を溜めてしまう。
「日本語…勉強するです。」
そこに、クロマが買い物袋を抱えて部屋に帰ってくる。
「お帰りなさいクロマ、何を買ってきたのですか?」
ミィシェルはクロマをじっと見つめている。
クロマは袋から寝袋を取り出すとミンスに見せた。
「野宿ができるらしい。」
ミンスはプッと笑うと、笑顔でクロマに言った。
「何に使うのですか?」
するとクロマは黙り込み、少しの間用途を考える。
ミンスは弾く曲を癒しのムードのあるものに変え、クロマの思考時間をずっと微笑みながら観察していた。
「野宿…する…です」
ミィシェルは提案するが、クロマは眉を潜める。
「外で寝るためにあるのだから、外で寝る事しか用途はない。使わないな。」
「クロマ」
ミンスが手を止めて話しかけるので、クロマはミンスを見る。
「衝動買いとは恐ろしいものですねえ。」
ミンスは鼻で笑った。
クロマは怒りが沸いたのか一瞬だけフリーズすると、ミンスを連れ出し寝袋に詰める。
「あら、おやめなさい。」
そしてミンスは、そのまま担がれて廊下に連行されていく。
ミィシェルは後をつけて様子を見る事に。
クロマは外に出ると、ミンスが入った寝袋を木に吊るす。
「酷いです。ミィシェルさん、お助けを。」
ミィシェルはクロマの服を引っ張ったので、クロマは少し不機嫌そうにミィシェルの方を見た。
ミィシェルは目に涙を溜めていた為、クロマは微妙に焦る。
「クロマ…兄様…」
「下ろさんぞ。」
クロマが強めに言うが、ミィシェルは言った。
「Michel…を吊るです。」
クロマは黙り込み、ミンスも黙り込んでミィシェルを見ていた。
「前々から思っていました。ミィシェルさんはちょっと被虐の気がありますね。」
クロマは顔を引き攣ると、ミィシェルに言う。
「お前こんなふうに吊るされて嬉しいのか?」
ミィシェルは少し黙り、言葉を理解すると笑顔で頷いた。
「ウィ[はい]。ツルー、バトー、好きです!」
クロマは何語を言っているか理解できないでいると、ミンスはあまりの酷さに少し青ざめる。
「Anjel[アンジェル]兄、ぼくをカワイカワイするです。ダカラ、クロマ兄様、ぼくニ、吊るです。」
「アンジェル…?」
「Michel ノ家族!おニーさん。吊るです!」
(なぜそこまで吊る事に固執する…)
クロマは呆然とミィシェルを見つめながら思っていた。
「兄上に頼んだらどうだ。」
クロマが言うと、ミィシェルは再び涙目になる。
「クロマ兄様!…クロマ兄様!ダメ!吊るです!」
クロマは何を言っているかさっぱりでいるが、ミンスはわかるのかクロマに説明してくれた。
「『クロマでないといけません。ぼくをつるしてください。』と言っていると思われます。」
「そうか。」
クロマが意味を納得すると、ミィシェルは溢れる涙を拭う。
クロマはミィシェルに言った。
「貴様を吊るしてもな…。わかった、少しだけだぞ。」
ミィシェルはそれを言われると喜んだ。
クロマはミンスを解放し、ミィシェルを寝袋に入れようとするとミィシェルは言った。
「ヌノッキレ!ヌノッキレNonです。要るないです。」
それを聞いたクロマは溜息をつく。
「『要るない』ではなくて『要らない』だろう。」
しかしミィシェルは首を傾げた。
「イラナイ?占い。」
全く言葉を理解していないミィシェル。
クロマは呆れて相手をするのも面倒に思えてくるのである。
「要るない は 要らない と言うです。」
ミンスはミィシェルの口調を少し真似て、ミィシェルに説明する。
ミィシェルはそれを聞いて小さく頷く。
「要るないハ要らないです!」
更に呆れるクロマ。
するとミンスはミィシェルに聞いた。
「ミィシェルさん、年齢は?」
ミィシェルは一瞬だけ首を傾げたが、言葉を理解して言う。
「…十四です。」
「お若い、お兄さんは?」
「十五です。Anjel兄、勉強できるです。Michelできるないです。Anjel兄、日本語話すです。」
「本当に不自由な日本語だな。」
クロマが言うと、ミンスは鼻で笑う。
「クロマは育った国の言語を話せないでしょう。」
ミィシェルは少し大人しくなると、更に続けた。
「Michel、勉強無理です。Anjel兄できる、父、母、期待するです。Michel、応援するです。Anjel兄、沢山怒るです、ストレスです。ダカラ、Michel、Anjel兄ストレス、戦うです。」
クロマはやはり慣れないのか全く通じない。
ミンスはわかるのかミィシェルの頭を撫でる。
「あら、素敵ですね。お兄さん思いのいい弟さんです。」
「わかるのか?」
クロマが聞くと、ミンスは説明をする。
「ぼくは勉強ができないけれど、アンジェルお兄さんはできます。父と母は兄に期待をします。
アンジェルお兄さんはそのストレスでよく怒ります。だからぼくはアンジェルお兄さんのストレスを緩和する。…これは被虐趣味の理由でしょうかね。」
クロマは少し黙るとミィシェルを見る。
「貴様は奴隷か何かか?」
ミィシェルは首を傾げると「ドレー?」と意味をわからないでいる。
「そうですね、クロマが言いたいのは…、沢山尽くす と言いたいのではないでしょうか。…少し皮肉がありますけれど。」
「タクサン…尽くす?」
ミィシェルは理解できたのか笑顔を見せた。
「Michel、幸せです…!ソレデ、幸せ。」
クロマはどうもミィシェルの雰囲気が苦手なのか微妙な反応をしていたが、ミンスは微笑ましいのかミィシェルの頭を暫く撫でていた。
ミィシェルはクロマにも撫でてもらいたいと思っていたので、クロマを見つめて少し寂しそうな顔をしている。
するとミィシェルは、クロマに聞いた。
「母?父?どこです?クロマ兄様?」
クロマは思わず眉を潜めると、ミンスが言う。
「わたくし達の両親は、もういないのです。」
「すてる…?です?」
「いいえ…」
ミンスはそう言って俯くと、クロマは溜息。
「死んだらしい。どちらも死因はわからんが。」
それを聞いたミィシェルは涙を目に溜め、思わず手で口を隠してしまう。
ミィシェルは申し訳なさそうな顔をした。
「ごめん…なさい…です。」
「なぜ謝る。」
「悲しい…二人…」
ミィシェルはそう言ったが、ミンスはミィシェルの頭を撫でた。
ミィシェルはミンスを見ると、ミンスは言う。
「大丈夫です。ずっと二人で歩んできましたから、寂しい事はありませんよ。」
それを聞いたミィシェルは、クロマの方も見た。
クロマは両親の記憶がない為に、全く気にしていない様子だった。
ミィシェルは言った。
「二人…強いです。Michel、マネ…できるない。」
それを聞いてクロマとミンスは目を丸くする。
するとクロマは言った。
「そんなの真似をしたところで、何にもならない。人と比べるな。」
クロマはそう言うと、院内へ帰っていくのであった。
ミィシェルはそんなクロマの後ろ姿を眺めながらも呟く。
「クール…です。」
それを聞いて、ミンスは思わず笑ってしまうのであった。
その日の夜。
第二故郷病院、数男の部屋にて。
数男は眠っているが、最近は夢にうなされていない。
夢の中では、数男はいつもの様に男の子と歩く夢を見ていた。
数男は自分を見て微笑む男の子の顔を見つめながらも溜息。
(この夢にも慣れてきたな。)
ふと、自分の胸に手を当てる数男。
(最初は嫌悪しかなかったこの感情も、今では少しだけ…心地よく感じてしまう。
私はどうかしてしまったのか?)
男の子の幸せそうな笑顔。
数男はそれを見て眉を困らせた。
(子供って、こんな顔するんだな…。
私には到底理解のできないものだが…。)
そう思いつつも、数男は確かに心を動かされつつあった。
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