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遺体
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数成が加わって四人になった所で、徳助は一つの鍵を見せた。
「てか鍵が見つかってねぇんだわ。玄関に続く鍵しかなくってよ。」
すると数成も一つの鍵を見せて言う。
「あるぞ、もう一つ。この廊下の先に二階へ続く階段がある。その先の部屋の鍵だ。」
「お!じゃあ行こうぜ!」
徳助は相変わらずのテンションで答えると、茉百合は顔を真っ青に。
「待ってよ!」
三人は茉百合の方に視線を落とすと、茉百合は上の方を指差す。
その先は、天井から吊るされた謎の遺体。
この廊下の奥に行く為には、その遺体の横、又は真上を通らなければならないのだ。
「ここを渡れって言うの!?」
「はい。」
と即答したのは数成。
茉百合はムキになって言う。
「無理!血溜まりもあるし、靴が汚れちゃうわ!」
それに対し、晴真は言った。
「だけど他に行ける場所が無い。茉百合ちゃん、このまま立ち往生していれば君が帰れない。」
「うぅ…でも…!」
茉百合は涙目になっていると、あの恐ろしい遺体を見上げる。
今まで恐怖に怯えていたせいか、遺体が放つ悪臭にやっと気づく。
茉百合は鼻を押さえて晴真に飛びついた。
すると晴真は優しく茉百合に言う。
「大丈夫、何があってもお巡りさんがいるから。
勇気を持って、一緒に来てくれないかい?」
茉百合は晴真にしがみつきながら、少し考えた。
徳助や数成も茉百合を見つめていると、茉百合は言う。
「うん。お巡りさんが行くなら、行く。」
「ありがとう。」
晴真はそう言うと、しがみついたままの茉百合をそのままにして歩き出した。
勿論茉百合を死体の逆側に避難させつつ。
廊下の奥に行くと、左に階段があったので四人はそれを登った。
階段の先は、先程の廊下の様に血塗れ…ではなかった。
この館で怪奇現象が起こっているのが嘘みたいに、この廊下だけは普通だった。
まともな廊下に茉百合は平静を取り戻していき、一番奥に部屋の扉を一つ発見する。
「ここだな。」
数成はそう言うと、鍵で扉を開く。
扉を開くと、そこは実験室とも言える研究室だった。
晴真は実験テーブルの上にある鍵に気づいて、その鍵を手に取る。
「これ、玄関廊下の二階中央の鍵です。」
「つまりこれで、六歳娘が隠れた部屋以外は全部開けられたって事になるなぁ。」
「ううん、その部屋も開けたよ。でも中には何も…」
と言った所で、数成は言った。
「書斎だった。研究資料がひとつだけ外に出ていてな、この実験室にはどうやら皮膚や肉を溶かすほど危険な薬品があるから気をつけろだそうだ。」
「なるほど、使い道は無さそうですね。」
晴真が言うと、数成は頷く。
すると徳助はスマホの時間を眺める。
「もうすぐお昼かー。早く最後の部屋を確認して、脱出方法を探そうぜ!」
「そこにも方法がなかったら…」
茉百合が呟くと、徳助は即答する。
「ここに住むしかねぇな。」
「嫌よっ!」
茉百合が全力で拒否すると、徳助は笑った。
晴真はそんな徳助に困った顔をしつつも、四人で部屋を出るのであった。
階段を下り、再びあの遺体の前へとやってきた。
茉百合は怖がっていると、徳助は言う。
「落ちてきたりなァ!」
「やめて!」
「中野さん、茉百合ちゃんを怖がらせない。」
「ヘッヘ~」
徳助は相変わらず楽しそう。
数成は遺体を見つめていると、遺体が動いているのを見た。
数成は思わず足を止めると、他の三人も足を止める。
「数成お兄ちゃん?」
茉百合がそう言った途端、吊るされていた遺体がモゾモゾと揺れた。
微かにグチャグチャと、肉と血が擦れる音が聞こえる。
それを見た一同の表情が、不穏になっていく。
勿論徳助はキラキラな笑顔のまま。
やがて遺体は重力に従い、下に落ちた。
ベチャッ
血を飛び散らせ、鳥肌が立つほどの気持ち悪い音を出す遺体。
一同は驚いていると、遺体の顔がよく見えたのか数成は言った。
「【香 カオル】…!」
「香?」
徳助が首を傾げると、数成は続ける。
「私の息子なんだ。昨年、事故で亡くなっているんだ。…なぜこの館に…」
数成の呆然とした様子で、茉百合は驚いたのか言った。
「去年死んだ人がここにいるのおかしいじゃん!きっとお化けよ!」
晴真も警戒した様子で香の遺体を見ると、遺体は動き出す。
遺体は口元を裂けさせて笑った。
引き攣った様な笑い声、しゃがれた声を聞くと、茉百合と徳助はピンと来る。
「この声、洗面所で聞いた声と同じだ。」
「じゃあこのお化けが私達を閉じ込めた犯人…?」
徳助と茉百合はそう言うが、晴真は眉を潜めたまま。
それどころかこんな事を思っていた。
(確かにこの声『も』聞こえた。でももう一つ…
母さんの声も…)
そう、晴真が聞いた声の正体は晴真の母親の声だったのだ。
晴真がそう思った所で、香の遺体は起き上がる。
茉百合は恐怖のせいか、晴真の服に顔を埋めていた。
遺体は両足が動かないのか、腕で体を支えて起き上がる。
片腕は肘から下はなく、引きちぎられた様にピンクの肉が残り、白い骨が見えていた。
全体的に血だらけで、顔が半分ただれ、髪も縮れている。
遺体は開きにくい口を小さく開く。
「 ト ウ サ ン 」
遺体はそう言うと、数成を見つめた。
「香…?」
数成は呟くと、遺体は続けて言う。
「 ケ ガ レ テ 」
そう言うと遺体の口は更に裂け、それと同時に腕だけを使ってこちらにやってくる。
そのスピードは尋常なものではなく、一同は驚いて反射的に上の階へ逃げた。
数成は反射的に逃げ、晴真は茉百合を抱えてその後を追う。
徳助とは言うと…
「うっひゃあ!ガチのお化けじゃん!」
と、楽しそうに二人の後を追った。
楽しそうなのは徳助だけではない。
ククク…
キャハハハハハッ ハハッ!!!
香の遺体のけたたましい笑い声が聞こえてくる。
相手のあまりのスピードに、一同は追いつかれそうになる。
階段を上りきった所で、そこを直角に左折。
左折した先に研究室の扉があるからだ。
遺体は勢い余り、そのまま正面の壁にぶつかってしまう。
グッチョォ…
血が一滴も無かった廊下の壁や床に、遺体の血が飛び散った。
遺体の様子を見ないまま、一同はただ焦りと共にその先の扉に入る。
鍵を閉め、一同は安堵の溜息をついた。
「危なかったな!!てか眼鏡っ子、息子死んでたんだな!」
徳助は相変わらず元気だった。
数成は顔色が優れなかったが、クールを装って話す。
「ああ。事故やら病気やらで、家族全員亡くなっているんだ。」
「なんで襲ってきたのでしょう…」
晴真が困った顔をすると、数成は心当たりがあるのか言った。
「香は私の事を好いていなかったからな。私の事を襲った…そんなところではないか。」
すると茉百合は言う。
「そんなのわかんないじゃない!あのお化け、私達も狙ってるかも…!」
晴真は扉に耳を当てると、廊下で何かが暴れる音が聞こえた。
荒い息遣いが聞こえ、血と肉が床に着く音が聞こえ続ける。
晴真は緊迫した表情で様子を伺い続け、数成は茉百合に言った。
「お化け?馬鹿を言うな、物体があったろう。奴から飛び散った血を見たか?人である可能性が高い。」
「ですが、とても生きていける様な体ではありません。」
晴真が言うと、数成は溜息をついた。
数成は三人の様子を見ている。
晴真は扉の前で廊下の様子を確認し続けていた。
徳助は薬品棚の前で本を読んでいる。
恐怖で実験テーブルの下で蹲る茉百合。
すると数成は言う。
「この部屋を開いた途端、奴は襲いかかってきたな。もしかしたら、奴にとって不利益になるものがこの部屋にあるのやもしれん。」
数成はそこまで言うと、心当たりがあるのか呟いた。
「…この部屋にあるっていう薬品を使えば…奴を退ける事ができるやもしれん。」
数成が言うと、晴真は驚いた顔。
「ま、まさか皮膚や肉を溶かすっていう…」
数成は何も答えずに薬品棚の前に行く。
晴真は無視されたと気づくと微妙な顔を見せた。
数成は薬品棚の前まで来たが、そこには徳助。
「どけ。」
数成が言うと、徳助は棚にある本を読んでいた。
徳助はどうやら心理学の本を読んでいて、数成の方を見て言う。
「面白いぜここ!まさかこんな所に心理学の本があるとはー!」
呑気な徳助に、数成は無表情のまま。
徳助は素直にどいてくれるので、数成は棚を触った。
棚自体には埃が沢山被ってあったが、棚の中は引き戸式なので埃は一つもなかった。
実験資料を読み漁り、数成は幾つかの薬品を手に取る。
(ここの実験資料によれば、この三つを混ぜれば完成。これを外にいる奴に使えば…)
数成は薬品を持って棚を離れると、実験テーブルの前に立った。
すると唐突にも、香の顔を思い出す。
それは今外にいる香ではない、遺体ではなく綺麗な頃の香だ。
数成は険しい表情を見せる。
そして想像を終わらせるように首を横に振ると、薬品作りをする為に机の埃を払う。
茉百合はそんな数成を机の下から見ていて、心配そうにしていた。
「てか鍵が見つかってねぇんだわ。玄関に続く鍵しかなくってよ。」
すると数成も一つの鍵を見せて言う。
「あるぞ、もう一つ。この廊下の先に二階へ続く階段がある。その先の部屋の鍵だ。」
「お!じゃあ行こうぜ!」
徳助は相変わらずのテンションで答えると、茉百合は顔を真っ青に。
「待ってよ!」
三人は茉百合の方に視線を落とすと、茉百合は上の方を指差す。
その先は、天井から吊るされた謎の遺体。
この廊下の奥に行く為には、その遺体の横、又は真上を通らなければならないのだ。
「ここを渡れって言うの!?」
「はい。」
と即答したのは数成。
茉百合はムキになって言う。
「無理!血溜まりもあるし、靴が汚れちゃうわ!」
それに対し、晴真は言った。
「だけど他に行ける場所が無い。茉百合ちゃん、このまま立ち往生していれば君が帰れない。」
「うぅ…でも…!」
茉百合は涙目になっていると、あの恐ろしい遺体を見上げる。
今まで恐怖に怯えていたせいか、遺体が放つ悪臭にやっと気づく。
茉百合は鼻を押さえて晴真に飛びついた。
すると晴真は優しく茉百合に言う。
「大丈夫、何があってもお巡りさんがいるから。
勇気を持って、一緒に来てくれないかい?」
茉百合は晴真にしがみつきながら、少し考えた。
徳助や数成も茉百合を見つめていると、茉百合は言う。
「うん。お巡りさんが行くなら、行く。」
「ありがとう。」
晴真はそう言うと、しがみついたままの茉百合をそのままにして歩き出した。
勿論茉百合を死体の逆側に避難させつつ。
廊下の奥に行くと、左に階段があったので四人はそれを登った。
階段の先は、先程の廊下の様に血塗れ…ではなかった。
この館で怪奇現象が起こっているのが嘘みたいに、この廊下だけは普通だった。
まともな廊下に茉百合は平静を取り戻していき、一番奥に部屋の扉を一つ発見する。
「ここだな。」
数成はそう言うと、鍵で扉を開く。
扉を開くと、そこは実験室とも言える研究室だった。
晴真は実験テーブルの上にある鍵に気づいて、その鍵を手に取る。
「これ、玄関廊下の二階中央の鍵です。」
「つまりこれで、六歳娘が隠れた部屋以外は全部開けられたって事になるなぁ。」
「ううん、その部屋も開けたよ。でも中には何も…」
と言った所で、数成は言った。
「書斎だった。研究資料がひとつだけ外に出ていてな、この実験室にはどうやら皮膚や肉を溶かすほど危険な薬品があるから気をつけろだそうだ。」
「なるほど、使い道は無さそうですね。」
晴真が言うと、数成は頷く。
すると徳助はスマホの時間を眺める。
「もうすぐお昼かー。早く最後の部屋を確認して、脱出方法を探そうぜ!」
「そこにも方法がなかったら…」
茉百合が呟くと、徳助は即答する。
「ここに住むしかねぇな。」
「嫌よっ!」
茉百合が全力で拒否すると、徳助は笑った。
晴真はそんな徳助に困った顔をしつつも、四人で部屋を出るのであった。
階段を下り、再びあの遺体の前へとやってきた。
茉百合は怖がっていると、徳助は言う。
「落ちてきたりなァ!」
「やめて!」
「中野さん、茉百合ちゃんを怖がらせない。」
「ヘッヘ~」
徳助は相変わらず楽しそう。
数成は遺体を見つめていると、遺体が動いているのを見た。
数成は思わず足を止めると、他の三人も足を止める。
「数成お兄ちゃん?」
茉百合がそう言った途端、吊るされていた遺体がモゾモゾと揺れた。
微かにグチャグチャと、肉と血が擦れる音が聞こえる。
それを見た一同の表情が、不穏になっていく。
勿論徳助はキラキラな笑顔のまま。
やがて遺体は重力に従い、下に落ちた。
ベチャッ
血を飛び散らせ、鳥肌が立つほどの気持ち悪い音を出す遺体。
一同は驚いていると、遺体の顔がよく見えたのか数成は言った。
「【香 カオル】…!」
「香?」
徳助が首を傾げると、数成は続ける。
「私の息子なんだ。昨年、事故で亡くなっているんだ。…なぜこの館に…」
数成の呆然とした様子で、茉百合は驚いたのか言った。
「去年死んだ人がここにいるのおかしいじゃん!きっとお化けよ!」
晴真も警戒した様子で香の遺体を見ると、遺体は動き出す。
遺体は口元を裂けさせて笑った。
引き攣った様な笑い声、しゃがれた声を聞くと、茉百合と徳助はピンと来る。
「この声、洗面所で聞いた声と同じだ。」
「じゃあこのお化けが私達を閉じ込めた犯人…?」
徳助と茉百合はそう言うが、晴真は眉を潜めたまま。
それどころかこんな事を思っていた。
(確かにこの声『も』聞こえた。でももう一つ…
母さんの声も…)
そう、晴真が聞いた声の正体は晴真の母親の声だったのだ。
晴真がそう思った所で、香の遺体は起き上がる。
茉百合は恐怖のせいか、晴真の服に顔を埋めていた。
遺体は両足が動かないのか、腕で体を支えて起き上がる。
片腕は肘から下はなく、引きちぎられた様にピンクの肉が残り、白い骨が見えていた。
全体的に血だらけで、顔が半分ただれ、髪も縮れている。
遺体は開きにくい口を小さく開く。
「 ト ウ サ ン 」
遺体はそう言うと、数成を見つめた。
「香…?」
数成は呟くと、遺体は続けて言う。
「 ケ ガ レ テ 」
そう言うと遺体の口は更に裂け、それと同時に腕だけを使ってこちらにやってくる。
そのスピードは尋常なものではなく、一同は驚いて反射的に上の階へ逃げた。
数成は反射的に逃げ、晴真は茉百合を抱えてその後を追う。
徳助とは言うと…
「うっひゃあ!ガチのお化けじゃん!」
と、楽しそうに二人の後を追った。
楽しそうなのは徳助だけではない。
ククク…
キャハハハハハッ ハハッ!!!
香の遺体のけたたましい笑い声が聞こえてくる。
相手のあまりのスピードに、一同は追いつかれそうになる。
階段を上りきった所で、そこを直角に左折。
左折した先に研究室の扉があるからだ。
遺体は勢い余り、そのまま正面の壁にぶつかってしまう。
グッチョォ…
血が一滴も無かった廊下の壁や床に、遺体の血が飛び散った。
遺体の様子を見ないまま、一同はただ焦りと共にその先の扉に入る。
鍵を閉め、一同は安堵の溜息をついた。
「危なかったな!!てか眼鏡っ子、息子死んでたんだな!」
徳助は相変わらず元気だった。
数成は顔色が優れなかったが、クールを装って話す。
「ああ。事故やら病気やらで、家族全員亡くなっているんだ。」
「なんで襲ってきたのでしょう…」
晴真が困った顔をすると、数成は心当たりがあるのか言った。
「香は私の事を好いていなかったからな。私の事を襲った…そんなところではないか。」
すると茉百合は言う。
「そんなのわかんないじゃない!あのお化け、私達も狙ってるかも…!」
晴真は扉に耳を当てると、廊下で何かが暴れる音が聞こえた。
荒い息遣いが聞こえ、血と肉が床に着く音が聞こえ続ける。
晴真は緊迫した表情で様子を伺い続け、数成は茉百合に言った。
「お化け?馬鹿を言うな、物体があったろう。奴から飛び散った血を見たか?人である可能性が高い。」
「ですが、とても生きていける様な体ではありません。」
晴真が言うと、数成は溜息をついた。
数成は三人の様子を見ている。
晴真は扉の前で廊下の様子を確認し続けていた。
徳助は薬品棚の前で本を読んでいる。
恐怖で実験テーブルの下で蹲る茉百合。
すると数成は言う。
「この部屋を開いた途端、奴は襲いかかってきたな。もしかしたら、奴にとって不利益になるものがこの部屋にあるのやもしれん。」
数成はそこまで言うと、心当たりがあるのか呟いた。
「…この部屋にあるっていう薬品を使えば…奴を退ける事ができるやもしれん。」
数成が言うと、晴真は驚いた顔。
「ま、まさか皮膚や肉を溶かすっていう…」
数成は何も答えずに薬品棚の前に行く。
晴真は無視されたと気づくと微妙な顔を見せた。
数成は薬品棚の前まで来たが、そこには徳助。
「どけ。」
数成が言うと、徳助は棚にある本を読んでいた。
徳助はどうやら心理学の本を読んでいて、数成の方を見て言う。
「面白いぜここ!まさかこんな所に心理学の本があるとはー!」
呑気な徳助に、数成は無表情のまま。
徳助は素直にどいてくれるので、数成は棚を触った。
棚自体には埃が沢山被ってあったが、棚の中は引き戸式なので埃は一つもなかった。
実験資料を読み漁り、数成は幾つかの薬品を手に取る。
(ここの実験資料によれば、この三つを混ぜれば完成。これを外にいる奴に使えば…)
数成は薬品を持って棚を離れると、実験テーブルの前に立った。
すると唐突にも、香の顔を思い出す。
それは今外にいる香ではない、遺体ではなく綺麗な頃の香だ。
数成は険しい表情を見せる。
そして想像を終わらせるように首を横に振ると、薬品作りをする為に机の埃を払う。
茉百合はそんな数成を机の下から見ていて、心配そうにしていた。
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