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泥棒
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晴真から逃げた茉百合は、書斎の様な部屋の隅で蹲っていた。
部屋の壁には、子供が入れる小さな穴。
そう、茉百合は一階右廊下にある、壁に穴の空いた扉の先に来ていたのだ。
(廊下はあまり見ないようにして入ったけど…やっぱり怖かった。)
茉百合は部屋の扉を確認すると、しっかり鍵がかかっていた。
(これだったら、お化けも入ってこないよね。)
茉百合は暇なのか、書斎の椅子に座る。
柔らかで座り心地のいい大きな椅子。
茉百合は机の上にある絵本が目に付く。
山に火を吹く大虎の絵。
その絵を見ると、茉百合は眉を困らせる。
「そう言えば去年の終わりにママと喧嘩して、家出した先で山火事に遭ったな。
軽傷で済んでよかったぁ。」
そう呟くと、茉百合はふと火事の炎を思い出す。
――山中に燃え盛る炎、一面が真っ赤か、煙の二色なのだ。
山の中でたった一人泣く茉百合。
そこに人の影が、自分に手を伸ばしているのが見えた…――
茉百合は黙り込むと、その絵本を閉じる。
「火事の次はお化けって、本当に運が悪いな。私達この先どうなるのか、怖いよ…」
すると、茉百合はとある異変に気づく。
(この絵本…それだけじゃない、この部屋だけ埃が少ない気がする…)
そう、どの部屋も埃だらけの館だがこの部屋だけは人がいたのか、埃が一部払われているのだ。
茉百合は顔を真っ青にした。
(まさか誰かがこの部屋に…!)
その時だ。
ガタンッ
すぐ真横にある大きなクローゼットが揺れた。
茉百合は肩を跳ね上がらせて驚くと、ギィ…と扉は開く。
(お、お化け…!?)
茉百合は恐怖で動けなくなっており、思い切り目を瞑る。
恐怖を感じると茉百合は、脳裏に晴真の顔が浮かんだ。
(ダメ。やっぱり私、お巡りさんがいないと怖いよ…!
助けて…!お巡りさん!)
晴真はどの部屋にも茉百合がいない為か、頭を抱えていた。
そこに、徳助がやってくる。
「犯人に逃げられちまったぜ。犯人は、大人の男性だったな。
もしかしたらあっちの廊下の天井に腕や死体を飾ったのもその犯人の仕業かもしんねぇ。」
あっちの廊下とは、
先ほど茉百合の心身を気遣ってか、茉百合の目を伏せて一度立ち去った廊下である。
そこにはロープで吊るされた人型、つまり遺体があったのだ。
すると晴真の顔色が悪くなり、焦りが浮かぶ。
「茉百合ちゃんが危ない…!」
「そう言や六歳娘は?」
晴真は徳助の言葉に反応すると、正直に話す。
全てを聞いた徳助は言った。
「きっと子供しか入れないあの部屋にいるんだな。
あの部屋にいるなら犯人に狙われる心配もない、俺達は早くその部屋の鍵を探そうぜ。」
「はい。」
晴真は返事をすると、二階左の部屋の鍵を開けて二人は入った。
ダブルベッドに二つのタンス、紛れもなく祖父と祖母の部屋だろう。
徳助はポケットから、一つの鍵を出した。
「じゃーん!さっき六歳娘が逃げたであろう部屋の廊下に死体飾ってあったじゃん!あそこにあった鍵!」
晴真はその鍵を確認。
「この鍵は、その廊下の鍵ですね。玄関側からもかけられます。」
「っほ~、廊下に鍵かけるなんて、相変わらずすげぇ家だな。」
「祖父は科学者でしたから、危ない薬品も多く取り扱ってたみたいです。
娘である母が間違って入らないよう、そういう施しをしたのではないでしょうか。」
晴真はそう言うと、部屋の棚の前に向かう。
二人は鍵がないか部屋を探索していると、徳助は晴真に言った。
「そう言や晴真、随分六歳娘に懐かれてんな。昔は子供を泣かしちまうほどキビしかった晴真が子供に懐かれるとは~」
「流石に大人になったんですから、子供に優しくできますよ。学生の頃は子供の気持ちを考えずに発言ばかりしていましたから。」
晴真は困った顔でそう言うと、更に溜息をつく。
徳助はその様子を見逃さなかった。
「どうした?晴真が溜息つくなんて珍しいな。」
「珍しいって…、いつも中野さんと関わっていて溜息出てますけど。」
晴真は若干引いた顔を徳助にしている。
徳助は笑った。
「そうだっけぇ!?」
晴真は続けて困った顔をすると言う。
「さっき茉百合ちゃんに怖がられたと言いましたよね。また僕は傷つく発言したんだろうなと思ったら、溜息が出たんです。」
「まあ晴真は突っ走り勝ちだからな~、目の前の事に手一杯っていうか。」
徳助は棚を物色しながら言っていた。
晴真はその言葉が刺さったのか、若干痛そうな顔をする。
「視界が狭くて悪かったですね。」
「ホントにそれ!」
徳助は笑った。
徳助は笑い終えると、晴真に言う。
「ま、晴真は真っ直ぐだからイイんだよ。六歳娘もきっとお前のそういう所に惚れてんだと思うぜぇ?
一回怖がられた程度で落ち込むなって、晴真らしくない。」
そう言われると、晴真は思わず微笑んだ。
「そうですね。少し神経質になっていました、ありがとうございます中野さん。」
すると、再び徳助は腹を抱えて笑った。
「俺に対してデレるのもらしくねぇ!」
「笑わないでください。」
晴真は若干突き放すように言うので、徳助の笑いに滑車をかけてしまう。
「晴真は俺にツンツンしてる方がらしいわ!」
徳助はそう言うので、晴真は不機嫌な顔を見せて言った。
「そうですか?そんなに僕怒ってますかね。」
「今も怒ってんじゃん!ハァーッ六歳娘とおんなじ顔してやがる!」
徳助の腹も捩れてきた所で、晴真は呆れ顔で溜息をつくのだった。
対し、茉百合の所では…
扉の開いたクローゼットに、声が出ず黙り込む茉百合。
クローゼットから誰かが出てくる。
革靴がコツンと床に着く音が響くと、茉百合は肩を跳ね上がらせた。
無音が続いたので、思い切って茉百合は固く閉じていた目を開く。
相手の姿は扉で見えなかったが、やがて相手は顔を出した。
身長の高い、眼鏡をかけた短髪の若い男性。
ワイシャツにセーター、左手には何やら怪しい手提げバッグを持っていた。
男性は、見下ろすように茉百合を見ている。
無表情で、無機質な瞳が茉百合を見つめていた。
茉百合は恐怖のあまり叫ぶ。
「イヤッ!眼鏡のお化けェ!」
茉百合は部屋の隅まで走り、そのまま蹲った。
男性は返事をする事もなく、歩き出す。
足音が一つ、また一つ、茉百合に近づく。
茉百合は恐怖で震えていると、男性は茉百合に言った。
「おい、どうした。怯えているのか?」
茉百合は何も答えまいと黙っていると、男性は更に言う。
「腹が減っているのか?」
「なわけあるか!!」
と、思わず茉百合は声を出した。
「フン、随分と強気だな。」
男性は驚く素振りも見せず、手に提げていたバッグを探る。
茉百合は驚いて後すざりすると、男性はバッグから取り出した。
弁当を。
茉百合は思わず目を丸くした。
男性は弁当を茉百合に差し出す。
「弁当ならあるぞ、食べろ。」
「要らない!大人もお化けも信じるもんか!」
茉百合はそう言い放ったが、
ぎゅるる… と腹の音が鳴った。
茉百合は顔を真っ赤にすると、男性は弁当を茉百合に押し付ける。
「小さい子供が痩せ我慢するな。」
男性は淡々としていたが、茉百合は男性が悪い人には見えなかった。
茉百合は急に畏まって言う。
「いいんですか?…毒とか入ってない?」
「そんな事を気にしているのか?なんなら私が毒見をしてもいいぞ。」
「あ…。ううん、いい。いただきます。」
茉百合はそう言うと、弁当を開く。
弁当の中身はおせちばかり。
「おせちが入ってる。そうだ、今は一月三日だよね。」
茉百合は思わず呟いた。
茉百合はかまぼこを食べると、表情に笑顔が戻ってきた。
「美味しい…。お兄さん、この伊達巻も食べていい?」
「勝手にしろ。」
男性に言われると、茉百合は美味しそうに伊達巻を食べた。
甘い味。
ふと茉百合は、ポケットから飴を取り出した。
徳助から貰った飴だ。
茉百合はすっかりご機嫌で、男性に飴を渡す。
「お兄ちゃん、お礼にこれあげる!お兄ちゃん名前は?」
「…。」
男性は素直に飴を貰うと、その場で食べた。
男性は黙っていたが、茉百合の笑顔を見るとやがて口に出した。
「【遠藤 数成 エンドウカズナリ】。」
「数成お兄ちゃん、ありがとう!」
茉百合は笑顔で言うと、数成は茉百合から視線を逸らす。
茉百合は一通り好きなものを食べ終えると言った。
「お兄ちゃん、ここにお化けっていると思う?」
それを聞いた数成は反応。
数成は茉百合を見つめると言う。
「お化けなんてどこにでもいる。お前も霊感が強いのか?」
「お兄ちゃん、お化けが見えるの?」
茉百合は感心すると、数成は逆に聞いた。
「お前は見えるか?」
「わかんないよ…」
茉百合は視線を落として言うので、数成は次に聞く。
「お前は警察官と一緒に来ていたな。この家に何か用か?」
「ここに泥棒がいるんだって、だからお巡りさん達が捕まえに来たの。
お兄ちゃんはどうやって中に入ったの?」
「窓を割って入ってきた。」
数成が即答するので、茉百合は再び青ざめる。
「じゃ…数成お兄ちゃんが泥棒…!?」
茉百合が呟くと、数成は茉百合の方を見た。
それから急に距離を縮めてくるので、茉百合は思わず目を閉じた。
部屋の壁には、子供が入れる小さな穴。
そう、茉百合は一階右廊下にある、壁に穴の空いた扉の先に来ていたのだ。
(廊下はあまり見ないようにして入ったけど…やっぱり怖かった。)
茉百合は部屋の扉を確認すると、しっかり鍵がかかっていた。
(これだったら、お化けも入ってこないよね。)
茉百合は暇なのか、書斎の椅子に座る。
柔らかで座り心地のいい大きな椅子。
茉百合は机の上にある絵本が目に付く。
山に火を吹く大虎の絵。
その絵を見ると、茉百合は眉を困らせる。
「そう言えば去年の終わりにママと喧嘩して、家出した先で山火事に遭ったな。
軽傷で済んでよかったぁ。」
そう呟くと、茉百合はふと火事の炎を思い出す。
――山中に燃え盛る炎、一面が真っ赤か、煙の二色なのだ。
山の中でたった一人泣く茉百合。
そこに人の影が、自分に手を伸ばしているのが見えた…――
茉百合は黙り込むと、その絵本を閉じる。
「火事の次はお化けって、本当に運が悪いな。私達この先どうなるのか、怖いよ…」
すると、茉百合はとある異変に気づく。
(この絵本…それだけじゃない、この部屋だけ埃が少ない気がする…)
そう、どの部屋も埃だらけの館だがこの部屋だけは人がいたのか、埃が一部払われているのだ。
茉百合は顔を真っ青にした。
(まさか誰かがこの部屋に…!)
その時だ。
ガタンッ
すぐ真横にある大きなクローゼットが揺れた。
茉百合は肩を跳ね上がらせて驚くと、ギィ…と扉は開く。
(お、お化け…!?)
茉百合は恐怖で動けなくなっており、思い切り目を瞑る。
恐怖を感じると茉百合は、脳裏に晴真の顔が浮かんだ。
(ダメ。やっぱり私、お巡りさんがいないと怖いよ…!
助けて…!お巡りさん!)
晴真はどの部屋にも茉百合がいない為か、頭を抱えていた。
そこに、徳助がやってくる。
「犯人に逃げられちまったぜ。犯人は、大人の男性だったな。
もしかしたらあっちの廊下の天井に腕や死体を飾ったのもその犯人の仕業かもしんねぇ。」
あっちの廊下とは、
先ほど茉百合の心身を気遣ってか、茉百合の目を伏せて一度立ち去った廊下である。
そこにはロープで吊るされた人型、つまり遺体があったのだ。
すると晴真の顔色が悪くなり、焦りが浮かぶ。
「茉百合ちゃんが危ない…!」
「そう言や六歳娘は?」
晴真は徳助の言葉に反応すると、正直に話す。
全てを聞いた徳助は言った。
「きっと子供しか入れないあの部屋にいるんだな。
あの部屋にいるなら犯人に狙われる心配もない、俺達は早くその部屋の鍵を探そうぜ。」
「はい。」
晴真は返事をすると、二階左の部屋の鍵を開けて二人は入った。
ダブルベッドに二つのタンス、紛れもなく祖父と祖母の部屋だろう。
徳助はポケットから、一つの鍵を出した。
「じゃーん!さっき六歳娘が逃げたであろう部屋の廊下に死体飾ってあったじゃん!あそこにあった鍵!」
晴真はその鍵を確認。
「この鍵は、その廊下の鍵ですね。玄関側からもかけられます。」
「っほ~、廊下に鍵かけるなんて、相変わらずすげぇ家だな。」
「祖父は科学者でしたから、危ない薬品も多く取り扱ってたみたいです。
娘である母が間違って入らないよう、そういう施しをしたのではないでしょうか。」
晴真はそう言うと、部屋の棚の前に向かう。
二人は鍵がないか部屋を探索していると、徳助は晴真に言った。
「そう言や晴真、随分六歳娘に懐かれてんな。昔は子供を泣かしちまうほどキビしかった晴真が子供に懐かれるとは~」
「流石に大人になったんですから、子供に優しくできますよ。学生の頃は子供の気持ちを考えずに発言ばかりしていましたから。」
晴真は困った顔でそう言うと、更に溜息をつく。
徳助はその様子を見逃さなかった。
「どうした?晴真が溜息つくなんて珍しいな。」
「珍しいって…、いつも中野さんと関わっていて溜息出てますけど。」
晴真は若干引いた顔を徳助にしている。
徳助は笑った。
「そうだっけぇ!?」
晴真は続けて困った顔をすると言う。
「さっき茉百合ちゃんに怖がられたと言いましたよね。また僕は傷つく発言したんだろうなと思ったら、溜息が出たんです。」
「まあ晴真は突っ走り勝ちだからな~、目の前の事に手一杯っていうか。」
徳助は棚を物色しながら言っていた。
晴真はその言葉が刺さったのか、若干痛そうな顔をする。
「視界が狭くて悪かったですね。」
「ホントにそれ!」
徳助は笑った。
徳助は笑い終えると、晴真に言う。
「ま、晴真は真っ直ぐだからイイんだよ。六歳娘もきっとお前のそういう所に惚れてんだと思うぜぇ?
一回怖がられた程度で落ち込むなって、晴真らしくない。」
そう言われると、晴真は思わず微笑んだ。
「そうですね。少し神経質になっていました、ありがとうございます中野さん。」
すると、再び徳助は腹を抱えて笑った。
「俺に対してデレるのもらしくねぇ!」
「笑わないでください。」
晴真は若干突き放すように言うので、徳助の笑いに滑車をかけてしまう。
「晴真は俺にツンツンしてる方がらしいわ!」
徳助はそう言うので、晴真は不機嫌な顔を見せて言った。
「そうですか?そんなに僕怒ってますかね。」
「今も怒ってんじゃん!ハァーッ六歳娘とおんなじ顔してやがる!」
徳助の腹も捩れてきた所で、晴真は呆れ顔で溜息をつくのだった。
対し、茉百合の所では…
扉の開いたクローゼットに、声が出ず黙り込む茉百合。
クローゼットから誰かが出てくる。
革靴がコツンと床に着く音が響くと、茉百合は肩を跳ね上がらせた。
無音が続いたので、思い切って茉百合は固く閉じていた目を開く。
相手の姿は扉で見えなかったが、やがて相手は顔を出した。
身長の高い、眼鏡をかけた短髪の若い男性。
ワイシャツにセーター、左手には何やら怪しい手提げバッグを持っていた。
男性は、見下ろすように茉百合を見ている。
無表情で、無機質な瞳が茉百合を見つめていた。
茉百合は恐怖のあまり叫ぶ。
「イヤッ!眼鏡のお化けェ!」
茉百合は部屋の隅まで走り、そのまま蹲った。
男性は返事をする事もなく、歩き出す。
足音が一つ、また一つ、茉百合に近づく。
茉百合は恐怖で震えていると、男性は茉百合に言った。
「おい、どうした。怯えているのか?」
茉百合は何も答えまいと黙っていると、男性は更に言う。
「腹が減っているのか?」
「なわけあるか!!」
と、思わず茉百合は声を出した。
「フン、随分と強気だな。」
男性は驚く素振りも見せず、手に提げていたバッグを探る。
茉百合は驚いて後すざりすると、男性はバッグから取り出した。
弁当を。
茉百合は思わず目を丸くした。
男性は弁当を茉百合に差し出す。
「弁当ならあるぞ、食べろ。」
「要らない!大人もお化けも信じるもんか!」
茉百合はそう言い放ったが、
ぎゅるる… と腹の音が鳴った。
茉百合は顔を真っ赤にすると、男性は弁当を茉百合に押し付ける。
「小さい子供が痩せ我慢するな。」
男性は淡々としていたが、茉百合は男性が悪い人には見えなかった。
茉百合は急に畏まって言う。
「いいんですか?…毒とか入ってない?」
「そんな事を気にしているのか?なんなら私が毒見をしてもいいぞ。」
「あ…。ううん、いい。いただきます。」
茉百合はそう言うと、弁当を開く。
弁当の中身はおせちばかり。
「おせちが入ってる。そうだ、今は一月三日だよね。」
茉百合は思わず呟いた。
茉百合はかまぼこを食べると、表情に笑顔が戻ってきた。
「美味しい…。お兄さん、この伊達巻も食べていい?」
「勝手にしろ。」
男性に言われると、茉百合は美味しそうに伊達巻を食べた。
甘い味。
ふと茉百合は、ポケットから飴を取り出した。
徳助から貰った飴だ。
茉百合はすっかりご機嫌で、男性に飴を渡す。
「お兄ちゃん、お礼にこれあげる!お兄ちゃん名前は?」
「…。」
男性は素直に飴を貰うと、その場で食べた。
男性は黙っていたが、茉百合の笑顔を見るとやがて口に出した。
「【遠藤 数成 エンドウカズナリ】。」
「数成お兄ちゃん、ありがとう!」
茉百合は笑顔で言うと、数成は茉百合から視線を逸らす。
茉百合は一通り好きなものを食べ終えると言った。
「お兄ちゃん、ここにお化けっていると思う?」
それを聞いた数成は反応。
数成は茉百合を見つめると言う。
「お化けなんてどこにでもいる。お前も霊感が強いのか?」
「お兄ちゃん、お化けが見えるの?」
茉百合は感心すると、数成は逆に聞いた。
「お前は見えるか?」
「わかんないよ…」
茉百合は視線を落として言うので、数成は次に聞く。
「お前は警察官と一緒に来ていたな。この家に何か用か?」
「ここに泥棒がいるんだって、だからお巡りさん達が捕まえに来たの。
お兄ちゃんはどうやって中に入ったの?」
「窓を割って入ってきた。」
数成が即答するので、茉百合は再び青ざめる。
「じゃ…数成お兄ちゃんが泥棒…!?」
茉百合が呟くと、数成は茉百合の方を見た。
それから急に距離を縮めてくるので、茉百合は思わず目を閉じた。
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