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人間ドール開放編
第四十七話 人間ドールは召使。
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ある日、善光とロディオンは病院を退院し、数日ぶりに家に帰る。
しかし歩いて帰るわけではなく、正実の計らいでリムジンで帰宅する事に。
ロッキーと結夏は家の方向が違うので別れたが、セオーネは一緒に来るようだ。
つまり車内には、ロディオンと瑠璃とセオーネと善光と正実とニコライがいた。
「って、ニコライはなんでここにいるんだよ。」
善光が言うと、正実は笑顔。
「だって約束したじゃん?先輩見つけたら僕の着せ替え人形になるって!
前払いのつもりで僕の家に泊めてあげる事にしたんだ!」
「八九三の方に行っとけよ。」
と善光の言葉にニコライは答えた。
「あっちは人形売買する社と密接な関係がある。命を狙われてる限り、戻ったらまた奴等に捕まる。
…あの仕事も、人形師の仕事ももうできない。」
するとロディオンは笑顔で言う。
「善光の家に来いよ!」
「馬鹿!ただでさえ小さい家なんだからこれ以上入れられねぇよ!」
善光の言葉にロディオンはしょんぼりすると、次に閃く。
「なあニコライ!シャ・ベ クルに入らないか!?」
と、ロディオンはポケットから先日拾った赤い風見鶏を出した。
そしてニコライに差し出すが、ニコライはそっぽ向く。
「やらない。」
すると正実は言った。
「え、僕はいいと思うけどな~」
思いもよらぬ正実の反応に、一同は正実の方を見てしまう。
「いやだってさ~、シャ・ベ クルって子供の集まりじゃん?大人が一人くらいいてもいいと思うんだよね。」
その言葉にロディオンは車内で立ち上がると言った。
「俺もうすぐで二十歳だよ!セオーネだってもうすぐ二十歳なんだからな!瑠璃なんて大昔から生きてる宇宙じ…」
とロディオンが言ったところで、善光は言葉を阻む。
「年齢が大人だからと言って、俺達は一人前の社会人やってるわけじゃない。どこか欠けた部分も多いだろう。」
正実は笑顔になると言った。
「そ!だから一回りも上のお兄さんが必要でしょ?ニコライ連れていきなって。」
「はあ?俺はやらねえって言ってんだろ!」
正実は浮かない表情になると、ニコライに意地悪を言う。
「へ~?僕が先輩探して君の生活も守ってあげるのに言う事聞いてくれないの~?」
「約束では「シャ・ベ クルに入れ」なんて言われてねえからな。」
「じゃあ今約束しよ。断ったら全部無しにしちゃうからね。」
正実の笑顔に、ニコライは不機嫌な顔を向けた。
「チッ、卑怯な奴。…仕方ねえ、やるか。」
「いやぁ良かったね!」
正実が言うので、ロディオンは苦笑しつつも
「ありがと正実。」
と言うのだった。
正実宅。
ニコライは召使の様な服装をさせられて、首の締まったシャツに違和感を覚え気にしていた。
長い長い髪はお団子にされている。
「似合うよニコライ~。流石僕のドール!」
「どーるって何。」
ニコライの問いに正実は笑うと
「人形の事だよ。君は人間ドールなのさ!僕の。」
ニコライは次にサングラスをかけて
「へ~。で、召使って何をするんだ?」
と言うと、正実はニコニコで言った。
「僕の性処理してくれる?」
するとニコライは怒った顔をして、足で正実の顔面を蹴ろうとするが正実に手で受け止められる。
「じょーだんだよ、ロディオンに固く禁じられてるよそんな事。あーあ、残念だよ僕は。」
やれやれとした顔で答える正実を見ると、ニコライはイライラするのか足に力を入れた。
「お前、ヴァルヴァラに手エ出してねえよな?」
「いやぁお父さんだね~ニコライは!手出ししてないよ、最近は仕事が忙しかったからね。」
ニコライは表情をどんどん暗くして
「じゃあ忙しくなかったら手出しすんのか?」
と言うと、正実は笑顔で頷く。
「だって可愛いじゃん!ヴァルヴァラ。」
と、二人の終わりそうにない空気は置いておき、ヴァルヴァラはニコライに割り当てられた部屋にやってきていた。
「ニコライ、いる?」
ニコライの部屋には勿論、正実とニコライがいる。
「いるぞ。」
ニコライが答えると、ヴァルヴァラは部屋に入ってきた。
ヴァルヴァラは正実を見るとギョッと嫌な顔をしてしまい、正実はニコニコとヴァルヴァラを見つめる。
「数日前…何があったのよ。神様(ロディオン)も善光さんの家にいないし…ニコライがやってくるし。」
忘れているかもしれないので補足するが、ロディオンの妹であるヴァルヴァラの故郷は宗教で、ロディオンは神として信仰されているのでロディオンの事は神様呼びだ。
「詳しい事は言えねえな。ロディオンは事故に巻き込まれたから病院送りにされただけだ。」
「神様が…!?大丈夫なの!?」
ヴァルヴァラはニコライに詰め寄って言うと、
「無事だよ。退院して今は家に帰ってる。」
ニコライが答えるのでヴァルヴァラは安心した。
そこに正実は口を挟む。
「ちょっとロディオンがやらかしちゃってね。
反省してるみたいだからさ、もしまだ落ち込んでる様子だったらヴァルヴァラちゃんからも慰めてあげて欲しいよ。」
「わ、わかりました。事情は知らないけれど…」
ヴァルヴァラは承知すると、正実は付け加えで言った。
「あ!今日からニコライが君の召使になったからね!なんでも言いつけていいよ!」
「はあッ!?」
ニコライは正実の方を見ると、ヴァルヴァラは目を丸くする。
「召使……?」
それからヴァルヴァラは思惑のある笑みでニコライを見た。
(嫌な予感しかしねえんだけど。)
と、ニコライは謎の予感を感じずにはいられなかった。
しかし歩いて帰るわけではなく、正実の計らいでリムジンで帰宅する事に。
ロッキーと結夏は家の方向が違うので別れたが、セオーネは一緒に来るようだ。
つまり車内には、ロディオンと瑠璃とセオーネと善光と正実とニコライがいた。
「って、ニコライはなんでここにいるんだよ。」
善光が言うと、正実は笑顔。
「だって約束したじゃん?先輩見つけたら僕の着せ替え人形になるって!
前払いのつもりで僕の家に泊めてあげる事にしたんだ!」
「八九三の方に行っとけよ。」
と善光の言葉にニコライは答えた。
「あっちは人形売買する社と密接な関係がある。命を狙われてる限り、戻ったらまた奴等に捕まる。
…あの仕事も、人形師の仕事ももうできない。」
するとロディオンは笑顔で言う。
「善光の家に来いよ!」
「馬鹿!ただでさえ小さい家なんだからこれ以上入れられねぇよ!」
善光の言葉にロディオンはしょんぼりすると、次に閃く。
「なあニコライ!シャ・ベ クルに入らないか!?」
と、ロディオンはポケットから先日拾った赤い風見鶏を出した。
そしてニコライに差し出すが、ニコライはそっぽ向く。
「やらない。」
すると正実は言った。
「え、僕はいいと思うけどな~」
思いもよらぬ正実の反応に、一同は正実の方を見てしまう。
「いやだってさ~、シャ・ベ クルって子供の集まりじゃん?大人が一人くらいいてもいいと思うんだよね。」
その言葉にロディオンは車内で立ち上がると言った。
「俺もうすぐで二十歳だよ!セオーネだってもうすぐ二十歳なんだからな!瑠璃なんて大昔から生きてる宇宙じ…」
とロディオンが言ったところで、善光は言葉を阻む。
「年齢が大人だからと言って、俺達は一人前の社会人やってるわけじゃない。どこか欠けた部分も多いだろう。」
正実は笑顔になると言った。
「そ!だから一回りも上のお兄さんが必要でしょ?ニコライ連れていきなって。」
「はあ?俺はやらねえって言ってんだろ!」
正実は浮かない表情になると、ニコライに意地悪を言う。
「へ~?僕が先輩探して君の生活も守ってあげるのに言う事聞いてくれないの~?」
「約束では「シャ・ベ クルに入れ」なんて言われてねえからな。」
「じゃあ今約束しよ。断ったら全部無しにしちゃうからね。」
正実の笑顔に、ニコライは不機嫌な顔を向けた。
「チッ、卑怯な奴。…仕方ねえ、やるか。」
「いやぁ良かったね!」
正実が言うので、ロディオンは苦笑しつつも
「ありがと正実。」
と言うのだった。
正実宅。
ニコライは召使の様な服装をさせられて、首の締まったシャツに違和感を覚え気にしていた。
長い長い髪はお団子にされている。
「似合うよニコライ~。流石僕のドール!」
「どーるって何。」
ニコライの問いに正実は笑うと
「人形の事だよ。君は人間ドールなのさ!僕の。」
ニコライは次にサングラスをかけて
「へ~。で、召使って何をするんだ?」
と言うと、正実はニコニコで言った。
「僕の性処理してくれる?」
するとニコライは怒った顔をして、足で正実の顔面を蹴ろうとするが正実に手で受け止められる。
「じょーだんだよ、ロディオンに固く禁じられてるよそんな事。あーあ、残念だよ僕は。」
やれやれとした顔で答える正実を見ると、ニコライはイライラするのか足に力を入れた。
「お前、ヴァルヴァラに手エ出してねえよな?」
「いやぁお父さんだね~ニコライは!手出ししてないよ、最近は仕事が忙しかったからね。」
ニコライは表情をどんどん暗くして
「じゃあ忙しくなかったら手出しすんのか?」
と言うと、正実は笑顔で頷く。
「だって可愛いじゃん!ヴァルヴァラ。」
と、二人の終わりそうにない空気は置いておき、ヴァルヴァラはニコライに割り当てられた部屋にやってきていた。
「ニコライ、いる?」
ニコライの部屋には勿論、正実とニコライがいる。
「いるぞ。」
ニコライが答えると、ヴァルヴァラは部屋に入ってきた。
ヴァルヴァラは正実を見るとギョッと嫌な顔をしてしまい、正実はニコニコとヴァルヴァラを見つめる。
「数日前…何があったのよ。神様(ロディオン)も善光さんの家にいないし…ニコライがやってくるし。」
忘れているかもしれないので補足するが、ロディオンの妹であるヴァルヴァラの故郷は宗教で、ロディオンは神として信仰されているのでロディオンの事は神様呼びだ。
「詳しい事は言えねえな。ロディオンは事故に巻き込まれたから病院送りにされただけだ。」
「神様が…!?大丈夫なの!?」
ヴァルヴァラはニコライに詰め寄って言うと、
「無事だよ。退院して今は家に帰ってる。」
ニコライが答えるのでヴァルヴァラは安心した。
そこに正実は口を挟む。
「ちょっとロディオンがやらかしちゃってね。
反省してるみたいだからさ、もしまだ落ち込んでる様子だったらヴァルヴァラちゃんからも慰めてあげて欲しいよ。」
「わ、わかりました。事情は知らないけれど…」
ヴァルヴァラは承知すると、正実は付け加えで言った。
「あ!今日からニコライが君の召使になったからね!なんでも言いつけていいよ!」
「はあッ!?」
ニコライは正実の方を見ると、ヴァルヴァラは目を丸くする。
「召使……?」
それからヴァルヴァラは思惑のある笑みでニコライを見た。
(嫌な予感しかしねえんだけど。)
と、ニコライは謎の予感を感じずにはいられなかった。
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この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

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