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ブルマン子爵領引き継ぎ-4

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「紹介しよう、こちらの方は北西辺境地区王騎士ジェルド・オールマン殿
隣の方はバーモア男爵家役務所長バルマン殿だ。バルマン殿は
ヘクター・バーモア男爵の弟で全権代理としていらした」
魔物退治は済んだから仕事の話は無いと淡い期待で話を聞く。

20日前位から大森林の様子が変わり、魔物の出現量が増え体長も
大きくなり、昨日はデ・ラビットさえ2~3人で倒す事が難しくなった。
大森林も国道を乗り越えいつの間にか半マルも領地を侵しだしている。
更に、バーモア男爵家では今朝早く領地境で魔物の大軍を発見したと
連絡が入り、対策の為に男爵が残り急遽バルマンさんと入れ替わり
王都経由でマドック家に応援を求めに来た。

雨の日前に4家で集まり対策を話し合ったが防衛するにも領兵が少なく、
武具も揃わないのでマドック家の援助を求める事に決まった。

マドック家は商会を通じて農畜ギルドから売れずに困っていたライ麦や、
大麦を買い上げて領民の財政を助けてくれた。
又農畜ギルド情報で魔物退治や移住民保護を聞かされ昨日4家領主会議で
王家に忠誠を捧げているが、マドック家が王家に忠誠を捧げる限り
マドック家に影忠誠を捧げ寄子となる決定をした。

具体的な要望は各領主の下で堀と土壁の有る村に領民を保護して欲しい。
移住後、作物の収穫が出来るまで援助を求める。
代わりに王税と領地の自由使用をマドック家に認める。

一礼して話し終わると男爵が僕を見て顎で合図を送って来る。
「4家の全権代理を確認させて頂いた後で決まった事項は
実行できますか?」

男爵に4家の誓約書が渡され、決まりごとは直ちに実行する誓約もされる。
マドック家との誓約は昨日付けで交わす。
王税は5%として領主とマドック家で1%と分け合う。
現在の市以外に9ヤルドの新市を造りマドック家で中心部の1ヤルドを
支配し王騎士家は2家入り各家4ヤルをド支配する。
領地防衛は2家で橋梁するが不足部分はマドック家で応援する。
作物が採れるまでの1年間食糧援助を行う。
男爵家は12ヤルドの市に入るが王騎士家と同様な扱いにして、
マドック家が4ヤルド使い男爵家の耕作地不足を解除する為に9ヤルド村
を新規に造る。
中心の1ヤルドはマドック家占有地とする。

獣人族や混血族の扱いはマドック家と同様の待遇で差別を禁止する。
奴隷は原則扱わない。重度の犯罪者は処刑し軽度の犯罪者は罰金刑とする
経済奴隷の虐待は犯罪として能力に応じた賃金を支払い充当させる。
マドック家や領民と4家の住民は昨日から自由往来が出来る。
マドック家の指揮下の者は4家の領地を自由に使用支配できる。
問題が発生する時は会議を開いて決める。

これらの約書を交わし2人と男爵はフレンズに記録してから、
男爵の許しを受け今日騎士家領で見た大森林や魔物退治とデ・水竜を
倒した事の話を始める。

領地境に現れた魔物はデ・水竜を中心にした水性魔物でどこから来たのか
不明だが全部倒して、大森林縁の小型魔物は北に半マル幅で国境まで
大量に倒し今後も注意して退治する。
大森林の異常を治す作業をするので協力を求める事も有ると話す間に
マドック領民は当たり前な顔で聞いていたが、、、全権使者の2人は
固まったまま姿勢を崩さない
「了解を受ける前に魔物狩りした事は謝罪します」

僕が声を掛けても、口パク状態は暫く続き、やっと言葉が出て来た
「デ・水竜ですと? マドック家で倒したと噂を聞きましたが、
今朝見つけた魔物がデ・水竜でもう倒されたのか?」
バーモア男爵家のバルマンさんはかすれた声で問いかけて来る

「先ほど話した様に魔物はデ・水竜を中心とした水性魔物の群れで、
大森林縁からバーモア男爵を横切り当家のベルテル市へと
目指していたようです」
「噂ではイシュタル様のお力でマドック家に害する魔物を退治した
とか??本当の事でしたか?」

「当家から大森林縁の魔物を今日退治された? 僅かな時間では
国境まで不可能な技?本当でしょうか?」
「オールマン様のご不審はもっともですが、あの辺に生えている草も
半セチの背高で小型の魔物も集めてから見た所、1.5倍から2倍
位に大きくなっていますが、狩り取った数が多いのか少ないのかは
判りません。
判っている事は太湖から3マル地点までの魔物は2倍の大きさです。
国境までの3マルは段々小さくなり1.5倍位が多い様でした」

「お疑いする様で申し訳ないのですが、大森林縁まで半マルの魔物を
倒されたのですか?」
「雨の降る日の前にマドック領で倒したデ・ワニイノは2シラ位の
大きさでしたが、今日倒したデ・ワニイノは5シラ近い魔物でした。
多少逃したとしても国道からオールマン市迄の魔物は少なくなったと
思います。明日また狩りをします」

「お許し頂き、魔物を見せて下さい?」

男爵の許可が出て玄関ホールでデ・水竜は無理なので他の魔物を
アイテム袋から出して見せる事になる。
玄関ホールに集まると、大小を比較する為アイテム袋から出した
デ・ワニイノの2倍と1.5倍でホールが狭くなる。
半分重ねる様にデ・ラット、デ・ラビット、デ・ハムシ、デ・アリ
特にデ・アリは1プテ位のデ・アリと4プテ近い巨大なデ・アリが
いたので並べて置く。

2人の使者は言葉を失い口を開いて魔物を見つめている。。。
2プテのデ・バッタを出すとコンロイさんが飛び出して来て
細かく調べ出し・・・
「サスケ様、このデ・バッタと大きさの違う種類はいますか?」

アイテム袋の中を深探知で確認したが、少し大きさの違いが有るだけで
大きさ別に2匹のデ・バッタを出した。
更に詳しくデ・バッタを調べていたコンロいさんは額の汗を手でぬぐい
「サスケ様、デ・バッタの大きさは大きな物で1プテ前後です。
過去の記録にデ・バッタが倍の大きさに成り色が赤く変わると竜を
凌ぐ魔物になると伝えられています。出来るだけ大きなデ・バッタと
デ・アリを退治して下さい。お願い致します」

「サスケ殿、何卒、領地の魔物を退治して下さるようお願い致します」
気を取り戻した使者からも頭を下げられお願いされてしまった。

この調子では倒した魔物の数は内緒にしておくことにしよう。なんせ
デ・アリだけで5千匹はいたから、、、もっともイシュタルまで真似を
したミシン爆撃で大小関係なく瞬殺だったから、デ・バッタ事も内緒に
しておこう、全部で1万匹を越していたはず。
過去最高記録を塗り替えかねない数だから。

3美姫の力は家族以外に話すとパニックが起きそうだからね。
お茶室に戻り一息つくと使者の2人は男爵の前に片膝を付いて、
再度忠誠を誓い救援の履行を請願すると、男爵も出来るだけ早く
新市建設と移動の為に応援要員を出す検討を約束している。

移住担当の役務所員とコンロいさんを交えて開拓村の建設予定変更を
相談する。
出来る限り早く大森林の問題を解決したいので僕の希望としては、1日で
9ヤルド新開拓村6造れるが、既存の村を拡大すると効率が落ちるので
5村平均建設する予定の計画で、急ぐ最小建設村数を討議して貰う。

第2マドック市分村を2村と、第3マドック市分村を2村、ダリル市に
2村とベルテル市に2村9ヤルド開拓村を造った後に騎士家用9ヤルド市
2市と4ヤルド開拓分村を6村造る事で決まり、郷士族と獣人族の移動村は
暫く待って貰う事にした。

騎士家にはアイテム袋が2個しか無いとの事なので、移動担当役務所員の
求めに応じ大、中容量のアイテム袋を各家に5個づつ移動用に貸し出した。
使者の2人と役務所員、コンロイさんと揃って退室する。
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