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お祭りは昔から好きだったけど、こんなに憂鬱なお祭りは初めてだ。
「はぁ……おやじさん○と△で600Nだ。そして型抜き2枚追加だ」
俺は憂鬱な気分を吹き飛ばす為に、型抜き屋台でもう2時間も座り込んでいる。
「いた! イント君何やってるのこんなとこで!」
型抜き屋台のテントをめくり上げ、大声を張り上げたのはナナさんだった。
「型抜きで一攫千金を狙ってますが?」
型抜き屋台で一攫千金を狙う仲間たちも、うんうんと頷く。
「いいから来なさい!」
ナナさんが型抜きテーブルを蹴り上げた。
「ぎゃああ!」 「けひっ!」
「なんて事を……一番のマナー違反ですよ! すまない……同志諸君」
ぐいぐいと屋台の外に引っ張られた俺は、建物の影にまで引っ張られて行く。
「あの……なんですか、こんな物陰に引っ張ってきて」
「イント君あなたね、三姉妹に負けるなって言われたのよね?」
「え? まあはい」
「その負けられない人が、何故型抜きで一獲千金を狙ってるのよ?」
「なんか、一体感が好きで……」
ナナさんはキョロキョロと辺りを見回し、俺の襟首を掴んで自分の方に引き寄せて来た。
「え、えっちな事は……」
ナナさんが後頭部を殴りつけて来た。
「誰がえっちな事を強要するって言うのよ! いいから、耳を貸しなさい」
ナナさんが小声でぼそぼそと喋りかけて来た。
「伯爵は帝国のギルドから、イント君の情報を引き出しているわ、イント君の魔法や攻撃方法などは全部伯爵に筒抜けよ、本来ギルドでは個人情報を横流しする事は無いんだけれど、帝国のギルドはやっているみたいよ」
「お、おう……」
時が止まったかの様な静寂が流れる。
「ええとね、解りやすく言うわね、帝国はギルドの機密情報を、ブラックライセンスを持つハンターに不正に横流ししているの! こっちもブラックライセンス持ちのハンターにその点を指摘されたら、不公平感を無くすために情報公開も吝かではないなあとか、ササクのじじいがぶつぶつ呟いていたわよ!」
「でも、スポーツ的な模擬戦ですよね? そこまで必要っすか?」
「模擬戦でもね、もし大きくて、やたら素早い犬に飼い主が「殺すな」と命令して、イント君と模擬戦したら絶対死なない?」
「相手は一応人間すよ?」
「ブラックライセンス持ちは、余り人間として扱わない方がいいわね」
「……」
「……」
ナナさんが溜息を吐く。
「インチキにギルドが手を貸すって言ってんのよ?」
「ギルドにインチキで手を借りると、後から大変だから嫌がってんすよ」
「しばらく目を離している間に小賢しくなって……」
「手腕が老獪になってますよ……」
ナナさんがぐぬぬと呻き声を上げ、すたすたと人混みに消えて行く。
「やたら大きくて、素早い犬か……噛み付いて来るんですかねえ?」
気配を消して物陰に隠れていたデックスが、フラリと姿を現して俺を蹴りつける。
「せっかく無料で情報をよこすって言うんだから、聞いておけば良かったのよ」
「後でその事をチラつかせて、無料で仕事やれって言ってきますよ?」
「そんな事は知らないって言えば通るわよ、ギルドでは広めて欲しくない情報だもの」
あ……そっか、失敗した。
「今から行って聞いてきますか?」
「やめてよ……カッコ悪い」
ついと空を見上げると、眩しかった日差しも傾いてきて、若干涼しくなった気もする。
「冷やしパインの屋台もありましたよね?」
「東の外れね、急ぐわよ!」
デックスが俺の腕を掴み、人混みに向かって走りだした。
「はぁ……おやじさん○と△で600Nだ。そして型抜き2枚追加だ」
俺は憂鬱な気分を吹き飛ばす為に、型抜き屋台でもう2時間も座り込んでいる。
「いた! イント君何やってるのこんなとこで!」
型抜き屋台のテントをめくり上げ、大声を張り上げたのはナナさんだった。
「型抜きで一攫千金を狙ってますが?」
型抜き屋台で一攫千金を狙う仲間たちも、うんうんと頷く。
「いいから来なさい!」
ナナさんが型抜きテーブルを蹴り上げた。
「ぎゃああ!」 「けひっ!」
「なんて事を……一番のマナー違反ですよ! すまない……同志諸君」
ぐいぐいと屋台の外に引っ張られた俺は、建物の影にまで引っ張られて行く。
「あの……なんですか、こんな物陰に引っ張ってきて」
「イント君あなたね、三姉妹に負けるなって言われたのよね?」
「え? まあはい」
「その負けられない人が、何故型抜きで一獲千金を狙ってるのよ?」
「なんか、一体感が好きで……」
ナナさんはキョロキョロと辺りを見回し、俺の襟首を掴んで自分の方に引き寄せて来た。
「え、えっちな事は……」
ナナさんが後頭部を殴りつけて来た。
「誰がえっちな事を強要するって言うのよ! いいから、耳を貸しなさい」
ナナさんが小声でぼそぼそと喋りかけて来た。
「伯爵は帝国のギルドから、イント君の情報を引き出しているわ、イント君の魔法や攻撃方法などは全部伯爵に筒抜けよ、本来ギルドでは個人情報を横流しする事は無いんだけれど、帝国のギルドはやっているみたいよ」
「お、おう……」
時が止まったかの様な静寂が流れる。
「ええとね、解りやすく言うわね、帝国はギルドの機密情報を、ブラックライセンスを持つハンターに不正に横流ししているの! こっちもブラックライセンス持ちのハンターにその点を指摘されたら、不公平感を無くすために情報公開も吝かではないなあとか、ササクのじじいがぶつぶつ呟いていたわよ!」
「でも、スポーツ的な模擬戦ですよね? そこまで必要っすか?」
「模擬戦でもね、もし大きくて、やたら素早い犬に飼い主が「殺すな」と命令して、イント君と模擬戦したら絶対死なない?」
「相手は一応人間すよ?」
「ブラックライセンス持ちは、余り人間として扱わない方がいいわね」
「……」
「……」
ナナさんが溜息を吐く。
「インチキにギルドが手を貸すって言ってんのよ?」
「ギルドにインチキで手を借りると、後から大変だから嫌がってんすよ」
「しばらく目を離している間に小賢しくなって……」
「手腕が老獪になってますよ……」
ナナさんがぐぬぬと呻き声を上げ、すたすたと人混みに消えて行く。
「やたら大きくて、素早い犬か……噛み付いて来るんですかねえ?」
気配を消して物陰に隠れていたデックスが、フラリと姿を現して俺を蹴りつける。
「せっかく無料で情報をよこすって言うんだから、聞いておけば良かったのよ」
「後でその事をチラつかせて、無料で仕事やれって言ってきますよ?」
「そんな事は知らないって言えば通るわよ、ギルドでは広めて欲しくない情報だもの」
あ……そっか、失敗した。
「今から行って聞いてきますか?」
「やめてよ……カッコ悪い」
ついと空を見上げると、眩しかった日差しも傾いてきて、若干涼しくなった気もする。
「冷やしパインの屋台もありましたよね?」
「東の外れね、急ぐわよ!」
デックスが俺の腕を掴み、人混みに向かって走りだした。
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