陽のあたる場所3

裏切りの犯人

裏切りの犯人6

「………。

本当は寅さんと結婚したいよ？

でも………。」



「"でも"なんスか？」


「でも…浩志さんを２度も裏切れない……。


だからどうしたらいいのか分かんなくて……。」



「俺はハッキリ言って、浩志さんを選んだ方がいいと思いますよ？」


「……え？

桃井はそう思うの？」



「当たり前じゃないですか！

今ココに住まわして貰ってるんですからっ！」


「でも…それを望んでいるのは浩志さんの方で、私は何度も出て行く話をしたよ！？」


「でも北海道から戻って来た時は、フクさんの方から頼んだワケですよね！？」


「……っ！確かにその時はね？

だけど私はもう別々に生活しようと考えてたし、それも浩志さんに何度も伝えてあるっ！

だけど浩志さんの方が

『今までずっと独りだったけど、２人で一緒にいることの楽しさを知ってしまった。だからもう独りにはなりたくないっ！』

って言ってきて……


浩志さんの事は嫌いじゃないけど、私はハッキリ言って、子供が欲しいだけなの。

正直、浩志さんは"友達"としてなら、問題ない人柄だけど、現実問題"夫"としては役不足なの。

家事もできないし、お金は稼いだ額以上に自分で使ってしまう…。

そんな人が、自分の夫だったらやっていけないのは目に見えてる！


正直言うとね、昨日話した旅行は子作り旅行のつもりで計画したんだ。

とりあえず妊娠するまでは一緒に住んで、妊娠したら別々に生活しようと考えてたから。

別々に住んでも子供がいれば繋がりはできるから、それなら浩志さんも多少は寂しくないかなぁ…て。

正直、浩志さんに対する感情は今、"情"でしかないの……。」



「それはフクさん個人の感情の話ですよね！？

それでも今、住まわせて貰ってる立場で、他の男に言い寄られたらそっちに行っちゃうんスか！？

篤史さんの時もそうですけど、ハッキリ言って、

フクさんはただ言い寄られた人に靡いてるようにしか思えませんよっ！？」