陽のあたる場所２

静寂の祈り

静寂の祈り6

桃井の彼女"三葉（ミツハ）ちゃん"は、現在"女優の卵"で、

『私は演技のスキルアップの為に一緒にパリに行く』と言っている…。


とは言え、フランス語を勉強している桃井に比べ、彼女はフランス語が喋れないどころか英語さえままならない状態だ…。


桃井は英語やフランス語で周りのコミュニケーションが取れる上に、大親友のピョン吉までパリにいるからいいのだが

彼女には、桃井しか頼れる人がいないワケで……



「彼女の立場を考えたら、そりゃ籍入れた方がいいでしょ？

だって、どっちにしろいずれ籍入れるつもりだったんでしょ！？」


「そうなんスけど……

学生の身分でいいのかなぁ…って。」


「それを彼女の方が望んでるのに、断る理由なんて無くない？

ただでさえ彼女の方が不安だろうしさ。」


「そんなん俺だって不安ですよぉ…。」


「それなら尚更入れた方が良くない？

彼女はずっと片思いしてやっと桃井と付き合えたんだから、桃井の心が離れないか心配なんだと思うよ？

しかもフランス語も英語も話せないまま桃井に付いていくワケじゃん？

桃井とは立場が違うんだからっ！」



「"付いていく"って…っ

三葉も勉強の為に行くワケですよっ！？

別にお互いパリに勉強しに行くって意味では同じ立場じゃないですかっ！？」


「そんなの三葉ちゃんの優しさで、建前上そう言ってくれてるだけでしょ！？

もし本当に自分の勉強の為にパリ行くなら、もっと前からフランス語を勉強してる筈でしょっ！？」