陽のあたる場所2

こたろ

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愛の音

愛の音19

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女に戻りたいと思ったキッカケは将吾くんだったにしろ、ニューハーフの愛ちゃんに影響を受けたのも事実だ。

5年前の秋、新宿の自分の家のすぐ近くの”ミックスバー”で愛ちゃんに出会った当日…


「フクちゃん、”私達みたいな人間”って苦悩して、結局いずれ自殺してしまう人が多い…。

だから私もいずれ男に戻らなきゃならないのかな…って。」


愛ちゃんのこの一言には衝撃を受けた…。

まさかいつか男に戻ることを前提に生きているだなんて……。


性別不詳な当時の自分や愛ちゃんみたいな人の自殺率は確かに相当高い。


とはいえ、自分の場合はもう女に戻りたくても女に戻ることはタブーだと思っていたし、

男性ホルモンの投与と改名で肉体的にも世間的にももう女に戻ることは難しいと思ってたから……。



その後愛ちゃんに告白したけど、上手くいくはずもなかった(笑)


将吾を好きになった時点で、もう既に私の乙女心が蘇ってしまってたのだから……。


むしろ今思えばそんな状況で自分に告白された愛ちゃんこそ”被害者”だったのかもしれない…w


男と女って同じ人間だけど、やっぱり意識の違いは常にあると思う。


女性の場合、子供ができる事により
母親としての責任感が生まれるだろうし、その責任感は男性の何十倍あるか計り知れない…。


しかし男性の場合、社会に出た時点で男としてのプレッシャーは常にある。

男性の場合、自分の稼ぎがなければ結婚さえ難しいと認識するのが普通だし、

それによって”一生家族を支えていく”というプレッシャーもまた計り知れない…。



私はおなべをやっていても結局性別は女だったし、篤史の男気に比べたら当時の自分なんて薄っぺらいものだったのかもしれない……。



だからこそ本当の男であり、私と本気で結婚を考えてくれている篤史は人一倍仕事を頑張ってるワケでーーー




『幸子、またやっちまったわT_T

今から、病院でるわ!』
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