陽のあたる場所

こたろ

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戦士の呟き

戦士の呟き12

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「将吾くんもそう思う…?」


「うん。あんな才能ある奴が芽も出さずにド素人でやってるなんてゾッとするわ…。

きっと才能ある奴でも、そのまま表にでることなく埋もれて…

…そんな勿体無い奴が世の中いっぱいおるんやね、きっと…。」


「そうだね…。

"勿体無い"よね…。」



そういえば以前、真央が言ってたっけ…


"勿体無い"って日本人独特の言葉で

他の国にはない素晴らしい価値観なのだ、と…。



"勿体無い"なんて当たり前のように使っている言葉で

真央に言われるまでは深く考えたことがなかった…。



そういや俺が子供の頃、母親は"勿体無いから…"って何かと口癖のように言っていて、

勿体無いから残さず食べたり、勿体無いからと古着をもらってきたり、

勿体無いから物を大切にしなさいとか、勿体無いから無駄使いはやめなさいとか……。


その頃は『ケチくさいなぁ。』って母親の価値観が恥ずかしいと思ってたけど……。




勿体無い…勿体無い……。




俺は真央にそう言われてから"勿体無い"が頭から離れなくなっていたんだ--。




「福永さんっ!!

その奈良ちゃんと音楽続ける気ぃはないんかっ!?」



その日の昼休憩、将吾くんは相変わらず興奮気味で(笑)

俺にまた音楽の話を続けてきた…。



「別にそもそも俺がやめたワケじゃないよ。

奈良くんが俺らを避けてるだけで、

俺ともう1人のマイキーって奴は続ける気だったよ?」


「……。

勿体無い…っ。



俺はこの曲聴いて嫉妬した…っ!!」



何か溜め込んだように喋る将吾くんの顔をフとみると、

表情は強張っていて、瞳からは涙がこぼれ落ちそうで…



「…えっ!?嫉妬?」



俺は正直びっくりした…。


あまりに真剣な将吾くんのその表情に……。



「その奈良ちゃんに正直嫉妬した…っ!!


こんな天才、俺なら手放さん…っ



こんな友達がおったら、俺なら絶対一生離さんっっ!!!」
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