陽のあたる場所

剥落の虚偽

剥落の虚偽14

今日は珍しく高円寺とは別の仕事で、

出勤すると、俺から遠く離れた奥のスタジオにシャドーさんがいるのが確認できた。



そして仕事をはじめると、やっぱり今日も震えと動悸がやってきて、

俺はなるべく人と関わらないように黙々と仕事をこなしていた…。



そのまま昼休憩を迎えると、俺は迷いながらシャドーさんの元に向かった－－。



「シャドーさんお疲れ様です。」


「あ、フクくん久しぶり！」


「あの…一緒に飯行きませんか…？」


この職場に出勤すると、シャドーさんと俺は自然と一緒に昼飯に行くことが多い。


シャドーさんとは仕事の付き合いも長いし、プライベートでも仲良しだから、

俺は割となんでも相談したりしている…。


「うん、行こうか♪」

「はい♪」



最近はすっかり高円寺ばかりに出勤していたから、シャドーさんに会うのは久しぶりで、

シャドーさんの落ち着いた声を聴くとなんだか少しだけホッとした。


「…あ!!お疲れ様です。」


そのまま２人で外に向かおうと、エレベーターの前に着くと

既にエレベーターを待つ人が２人いた。



…あ。


「お疲れ様です♪」


それは俺らと仲良いスタイリストアシスタントとカメラマンだった…。



「あ!!福永さん久しぶりですね♪」


「だね？(笑)

前園くん久しぶり♪」


俺は挨拶しながらも、表情が苦笑いになっているのが自分でも分かった…。


正直、今日はシャドーさん以外の人とは関わりたくない…。



それから、４人でエレベーターに乗ると俺の動悸は急に激しくなった…。