陽のあたる場所

剥落の虚偽

剥落の虚偽8

実は俺のカバンの中には、既に２、３日前からこの"ソラニン"を入れていた。



ホントは早く渡したかったけど、

最近忙しくて渡すタイミングを忘れてカバンに入れっぱなしになっていた…。


「良かった♪今日はちゃんと渡せて♪」


将吾くんも読んで前向きになってくれたらいいな、と…。




そんな事を将吾くんに伝えたいと思いながらも、

俺は今前向きになれない自分がいる…。




"お母さんも先生と同じ考えよ…"



昨日の事を思い出し、再び震えが……。


震える手足を酒でごまかそうとしても止まらない…。

そしてまた焦って更に激しい動悸が…。




あぁ…


座っていても落ち着かない……。









「将吾くん!!」


「はい!?」




「そろそろ時間だから俺これ飲んだら行くね？

今日はちゃんと終電で帰るわ!!ｗ」



それから俺は、なんだかモヤモヤしたまま終電に乗った。



昨日寝ていなかった俺は終電に揺られ、

いつの間にか眠りに就いていた－－。









気が付くと、終点に到着。



そこは"小田原"だった…。