陽のあたる場所

沈む太陽

沈む太陽29

「でも、今はみんなしんどいですよね？

福永さんだってそうなんじゃないですか？

俺も将吾よりも働いてますし、将吾にだけキツい仕事を与えてるワケではないですよ？」



「でも感じ方は人それぞれなんですよ！

同じ事やってもツラいと感じる人と感じない人がいます。


将吾くんは真面目で几帳面な分、仕事に手を抜けないからしんどくなるんだと思います。


俺は別に全然大丈夫ですよ!!

多分シゲルなんかも、もし今ここに居ても全然大丈夫だと思います。


シゲルなんてすぐ『疲れた～』とか『キツい』とか口に出すじゃないですか。


でもそうゆうタイプの人って口で言えてる分発散できて、

ホントは大してしんどいと感じてないと思うんですよ。


将吾くんも今、俺に『しんどい』って言えてるだけマシだと思ってます。


でも一番コワいのは、将吾くんが俺にさえ『しんどい』と言えなくなった時だと思ってます…。」


「…。

確かに、そうなったら危険ですね…。」


「せめて早くシゲルが戻ってくるといいですね…。」




それから翌日、治さんは早速仕事のやり方を意識してくれて、

多少仕事場の圧迫感が減り、俺も仕事がしやすくなった。



だけど仕事は日々忙しくなる一方で、やっぱり将吾くんは暗かった…。




またその翌日も更に暗くて…将吾くんと俺は、ほとんど会話しなくなっていた…。



「……。」

「……。」


静まり返った空間…。


それでも俺は将吾くんと昼飯を食べ、ずっと一緒に行動していた－－。



でもずっと一緒に行動していると、

なんだかもう見てられなくなってきて……




「治さん、すみません。

今日、将吾くんを早く上げてもらうことできませんかね？」